今だから知っておきたい!運動と免疫の関係って?
6月19日から、都道府県境をまたぐ移動自粛も全面解除となりましたね。週末になれば、街も以前のように賑わいを取り戻し始めましたが、以前の日常とは異なり、ソーシャルディスタンスを守るなど「新しい日常」が定着しはじめていること実感します。
さて、毎週火曜日にお届けしております自然の薬箱の「Naturalist Web Magazine」。
皆様が穏やかな日常を取り戻せるその日まで、健やかに過ごせるお手伝いが出来ればという思いを込めて、Vol.9をお届けいたします。
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感染拡大はひと段落したとはいえ、新型コロナウイルスが蔓延した影響で、私たちが改めて実感させられたのは、「健康を維持していくことの大切さ」ではないでしょうか。
そこで健康を維持するポイントは大きく3つです。
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①ー運動
体を動かす、運動だけではなく、日常の活動も指しています。
②ー食事
バランスのとれた食事をとること。ただ単に栄養を摂るのではなく、1人ではなく、なるべく家族や友人と一緒に食べることも大切です。
③ー休養
十分な睡眠はもちろん、買い物・旅行・家でゆっくりテレビを見たり、自分の好きなことをしたりすることも大切です。
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どれも当たり前と思われるかもしれませんが、この3つのバランスを整えることが健康への近道なのです。健康でいることで、たとえウイルスや病原体が体のなかに入ってしまっても、しっかりと免疫機能が働いて、病気を治してくれます。
それでは、免疫機能がしっかりと働くために必要なことはどんなことでしょうか?
実は、免疫機能は栄養・自律神経・ホルモン・運動・休養など、様々な要素が関係しています。
今回の<Naturalist Web Magazine>では、「今だから知っておきたい!運動と免疫の関係って?」と題して、「運動と免疫機能の関り」にフォーカスを当て、ボディワークインストラクター田島理帆先生による解説をお届けします。さらに、ご自宅でできる、ワークもご紹介。自粛生活で衰えがちだった身体を目覚めさせるワークで、免疫機能をアップさせましょう!
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<目次>
3. 運動と免疫機能の関係って?<知識編 ~知っておこう!正しい知識~ >
4. 運動と免疫機能の関係って?<実践編 ~身体を動かして免疫機能UP!~ >
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1.免疫ってなんだろう?
体内に異物が入ったときに、それを排除して体を守る仕組みのことを「免疫」と言います。
今、話題になっているコロナウイルスなどのウイルスはもちろん、病原菌や体内に侵入した異物、ほかの人から移植された組織や臓器などにも免疫が働き、私たちの生命活動を維持しようとしています。そのため、免疫機能が働かなくなると、色々な病原体に感染してしまいます。
例えば、エイズ(後天性免疫不全症候群)はHIVウイルスによって、免疫機能が低下してしまうため、色々な病気にかかりやすくなってしまうのです。逆に免疫が過剰に働きすぎると、アレルギー症状が出てしまいます。
免疫機能を正しく働かせることは、病気にかかりにくい元気な身体づくりに繫がっていくのです。
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2.体内の免疫のメカニズムとは?
私たちの体内の免疫には、二つの種類があるのはご存知でしょうか?
まず一つ目は、自然免疫(病原体を攻撃する)。
病原体が体内に入ると、まず、マクロファージ(白血球の1種)、好中球、NK細胞などが、病原体をパクパク食べてくれます。これは、人が生まれつき持っている免疫機能です。
二つ目が、獲得免疫(病原体を攻撃する・抗体をつくる)。
病原体の中でも、血液中に流れている毒素分子や小さな病原体、また細胞の中に入り込んだ病原体などは、自然免疫ではカバーしきれません。
そこで活躍するのが、B細胞とT細胞という免疫細胞。病原体に対して、抗体を作ったり、直接攻撃をしたりすることで、病原体を排除します。ここで注目したいのは、これらの免疫細胞の特徴は入ってきた病原体を「記憶することが出来る」ということ。
そのため、2回目以降同じ病原体が入ったときにすぐに戦うことが出来ます。これを獲得免疫と言います。この機能を使ったのがワクチンです。今、新型コロナウイルスでもワクチン開発が急がれているのは、この免疫機能獲得のためなのです。
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3.運動と免疫機能の関係って?
<知識編 ~知っておこう!正しい知識~ >
実は、運動と免疫機能に深く関係しているのをご存知でしょうか?ここでは、どう関係しているのかをご紹介する<知識編>と、実際に身体を動かして免疫機能をキープする<実践編>をご紹介。正しい知識を身につけたうえで身体を動かせば、よりその効果を実感できますよ。
まずは<知識編>です。
近年、運動と免疫機能の関りについて様々な研究がなされ、その関係性が徐々に解き明かされつつあります。今回は、特に代表的なものを紹介しましょう。
3-1.<運動を習慣的に行うことで、血液中の免疫細胞が増加する>
現在の研究では、低~中程度の運動を習慣的に行うことで、血液中の好中球、単球、リンパ球(T細胞、B細胞、NK細胞)が増加することが分かってきています。
しかし、激しい運動をした後はこれらの数が減少することも分かってきています。激しい運動は逆に免疫機能を低下させてしまう可能性があるのです。
運動と免疫機能の詳細なメカニズムは今の研究ではまだ解明されていませんが、少なくとも、適度な運動によって免疫機能の維持・向上を図れることが期待できるのではないでしょうか。
3-2.<体温が高まることで、免疫機能が高まる>
人は体を動かすことで、筋肉で熱が産生されて、体温が上がります。通常、人の体温は36℃~37℃が適温といわれ、免疫細胞は、36.5℃より目覚めて、37.0~37.5℃で最も活発に働くそうです。
体温が36℃では、休止状態ですので、平熱は36.5℃くらいを維持していきたいもの。
身体を動かさない状態が続くと、低体温(35℃代)のリスクもありますので注意が必要です。特に、現代人の低体温の原因の多くは、筋肉不足と言われています。適度に体を動かして、熱を作っていきましょう。
3-3.<運動でリンパの巡りが良くなり、老廃物が代謝されやすい体に>
血液は心臓から出て、また心臓に戻りますが、血液の一部である血漿は、体の抹消の動脈側の毛細血管から外に出て組織液の中に入り、体内の細胞に酸素と栄養素を届けています。
一方で、組織液には細胞から出た二酸化炭素や老廃物、細菌、ウイルスなどの異物が含まれています。この組織液は再び、二酸化炭素などとともに静脈側の毛細血管に戻りますが、戻れなかった組織液は毛細リンパ管にも取り込まれます。これがリンパ液となります。
細胞に溜まった老廃物などは、リンパ管やリンパ節を通って、心臓に近い静脈から血管の中に入り、腎臓などを経由してその多くは尿として排泄されます。
リンパ管には、静脈と同じように、逆流を防ぐ弁がついていて、筋肉の収縮によって流れを作り出しています。その動きをよくするために、呼吸や運動で筋肉を動かし、正しくポンプとして機能させることで、リンパの巡りが良くなります。
3-4.<ヨガと免疫>
自然の薬箱では、ヨガのレッスンを行っていますが、最近はヨガと免疫の関係性も少しずつ研究がされてきています。米精神医学誌「Translational Psychiatry(トランスレーショナル・サイキアトリー)」に報告された研究をご紹介しましょう。
カリフォルニア州のチョプラ・センター・フォー・ウェルビーイング(Chopra Center for Wellbeing)に瞑想の経験がない女性94人に集まってもらい、6日間のバカンスを過ごすグループと、6日間にわたり瞑想を行うグループに分けて調査を行いました。また、瞑想の経験がある30人にも参加してもらいました。
すると全ての参加者グループで、ストレス(炎症と創傷治癒)に関連のある遺伝子の発現に変化がみられ、特に瞑想経験者たちは、ウイルス感染への抵抗に関連のある遺伝子に変化があったとの結果が得られました。
その他にも、自覚症状や健康に関わるテロメア合成酵素、認知症とうつに関連があるアミロイドβタンパク質の変化にも良好な結果が報告されています。
つまり、瞑想をすることで、不安やうつを軽減させる精神的なもの以外にも、ストレスを軽減することによる健康効果、ウイルス感染への抵抗力をも高めることができる可能性を示唆しています。
詳細についてはまだまだ研究が進められている段階ですが、ホルモンや免疫細胞の調節は自律神経とも密接に関わっていますので、ヨガを通して自律神経のバランスが整うことで、免疫機能にもよい影響があるのでしょうね。
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4.運動と免疫機能の関係って?
<実践編 ~身体を動かして免疫機能UP!~ >
ご自宅でも簡単にできるワークをご紹介します。すきま時間の気分転換にもおすすめです!続けることで、自粛生活で衰えがちだった筋肉も充実させて、リンパの巡りや免疫機能アップを目指しましょう。
それでは<実践編>の説明に移ります。
おひとりでも気軽に始められるよう、適度な運動の目安や、ヨガのポーズを写真付きで紹介します。久しぶりに運動される方も安心してトライしてください。
4-1.<まずは知っておこう!適度な運動の目安って?>
少し息が上がるくらいの運動を、30分~60分目安に続けて下さい。少し息が上がるとは、運動していても、おしゃべり出来る程度の強度です。おしゃべりができなくなったり、反対に、楽におしゃべりができすぎてしまうのは、強度が高すぎるか、低すぎるので気をつけましょう。
例:ウォーキングや軽いジョギング、ゆったりと動くヨガなど。
4-2.<具体的に自分に必要な強度を知りたい場合の目安>
運動の強度をはかる目安として、よく心拍数が用いられます。今は、腕時計型の心拍計測装置がついているものもあるので、それらを活用してみると良いかもしれません。
おおよそ最大心拍数の 50%~60%を目安に運動を行ってみましょう。最近のものはアプリとも連携し、色々な情報を得ることが出来ます。
・目標心拍数の計算方法
(220-年齢-安静時心拍数)×(50%~60%)+安静時心拍数
※人によって数値は変わってきます。
※安静時心拍数は、起床後、リラックスした後に、手首の親指側に指を添えて、測ります。15秒の脈拍を4倍にするか、30秒計測して2倍します。その結果が、安静時心拍数です。
<※ 図1>
腕時計型の心拍計測機で、ヨガのレッスン中に計測したものです。
適度な強度で行うと、右側のグラフのグレーゾーンのところに心拍数が収まってます。
4-3.<おうちで出来る簡単なヨガポーズ>
おうちで出来る簡単なヨガのポーズを紹介します。1ポーズ3呼吸~5呼吸の気持ち良い呼吸を繰り返してみましょう。まずは、3回ほど続けて行いましょう。
①ースチランドラアーサナ(針の穴のポーズ)
お尻の筋肉をほぐし、血流を良くします。股関節が詰まる感じがする人や、腰痛の人にもおすすめのポーズです。
②ーシャラバアーサナ(バッタのポーズ)
脊柱起立筋に刺激を入れ、姿勢を維持する力を高めていきます。手を背中で組み、胸を開いていくことで、鎖骨やわきのリンパの流れを良くしてきます。
③ーヴィラバトラアーサナⅡ(戦士のポーズⅡ)
脚の裏でしっかりと大地を踏みしめていきましょう。足腰の筋力アップや脚の引き締め効果が期待できます。筋肉を使って動かしていくことで、全身の血流やリンパの流れを良くしましょう。
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おうちで出来る簡単なヨガのポーズは、いかがでしたでしょうか。
週に1回、身体を動かす習慣がこれからの自分の健康を作っていきます。少しずつでも大丈夫ですので一度お試しください。
上手くポーズが取れない、一人でやるとどうしても続かない…おうちでヨガをはじめた方からは、「ついつい三日坊主になってしまう」というお声をよく伺いますが、そんな時は、まず集中できる環境を作りましょう。
どうしても上手くいかない、続けることができない、そんな時は自然の薬箱<ボディワークレッスン>で、インストラクターと一緒にやってみることも。
自然の薬箱では、皆様に気持ち良く体を動かしていただけるレッスンをご用意しております。経験豊かなインストラクターが、皆さまに合わせた指導を行っていきますので、初心者から経験者まで安心して体験していただけます。
日常生活の中で、身体を動かすことで免疫機能を高めて、健康を維持していきましょう!
※ 今回、解説をしていただいた田島先生の担当レッスンはこちらから。
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「Naturalist Web Magazine」お届け内容は、いずれも知識と経験豊富な自然の薬箱スタッフが、 自信を持ってお勧めする内容ばかり。「Naturalist Web Magazine」の更新は、毎週火曜日を予定していますのでぜひご覧ください。どうぞお楽しみに。
次回の「Naturalist Web Magazine_Vol.10」では、
「 お顔と頭のツボでリフレッシュ! 」をお届けします。
自然の薬箱の<しんきゅうルーム>から、首から上のツボの紹介と簡単にできるセルフケア、施術紹介を予定しています。
※ 次回予告内容は、変更になる場合がございますので、あらかじめご了承ください。
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あなたとあなたの大切な人を守るために、そして、新しい日常を楽しむために、少しでも皆様のお役に立てれば幸いです。
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