香りとともにある暮らしのすすめ
少しづつではありますが、新型コロナウイルスの新規感染者数も減少し、医療関係者へのワクチンの摂取も始まるなど、明るい兆しが見えてきましたね。
毎週火曜日にお届けしております、自然の薬箱の「Naturalist Web Magazine」。
皆様が穏やかな日常を取り戻せるその日まで、健やかに過ごせるお手伝いが出来ればという思いを込めて、Vol.43をお届けいたします。
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長く続くコロナ禍での生活は、私たちの心や体に見えない負担をかけています。そこで今、注目されているのが、アロマテラピー。今年に入り、精油付きの雑誌が刊行されるなど、香りの持つ癒しの力や、暮らしに役立つ嬉しい作用に注目が集まっています。
そこで今回は、自然の薬箱のアロマセラピスト 光岡真里より、アロマテラピーの成り立ちや、得意とする領域、暮らしにさりげなく取り入れる方法をお伝えしたいと思います。ご自宅で簡単にできるセルフリフレもご紹介します。
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<目次>
2.アロマテラピーが得意な領域 ①香りが意識(考え癖)を切替える
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1.アロマテラピーってどんなもの?
アロマテラピーとは芳香療法のことで、自然療法といわれるもののひとつです。植物から得た芳香物質(精油・エッセンシャルオイル)を心身の健康維持に利用します。
ハーブそのものは医薬品が誕生する前、紀元前の時代からメディカルな用途に利用されていました。ハーブの持つ香りを利用した文化はありましたが、体系立ったアロマセラピーとしての歴史は比較的新しく、20世紀に入ってから確立され、それぞれの国の文化的背景や歴史、法律に基づいて発展してきました。
(公社)日本アロマ環境協会(AEAJ)では、以下のように定義しており、日本では、主にリラクセーションの目的で利用されています。
アロマテラピーとは 植物から抽出した香り成分である「精油(エッセンシャルオイル)」を使って、美と健康に役立てていく自然療法です。アロマテラピーの目的 ・心と身体のリラックスやリフレッシュを促す ・心と身体の健康を保ち、豊かな毎日を過ごす ・心と身体のバランスを整え、本来の美しさを引き出す |
出典:(公社) 日本アロマ環境協会 アロマテラピーとはhttps://www.aromakankyo.or.jp/basics/introduction/
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2.アロマテラピーが得意な領域 ①香りが意識(考え癖)を切替える
アロマテラピーというと、リラックスや癒しのイメージが強いものですが、そのほかにも得意な領域があるのをご存知でしょうか。
たとえば、小走りで駅へ向かう朝、今日のプレゼンはうまくいくか不安になったり、出掛けに家族と言い合いをしてしまったことがフラッシュバックしたり。頭の中が不安や心配・ネガティブに占拠されて、脳がせわしなく働いているとき、どこからともなくふわりと香る花の香りを感じた瞬間に意識を持っていかれたことがありませんか?花の香りだけではありません。バターとお砂糖の甘い香りやコーヒーの香りでも、目の前で「パチンッ」と手を叩かれてハッとするかのように、香りによって一瞬で「あっ!」と興味が切り替わりますよね。
心地よい香りで気分転換することをアロマテラピーというならば、それは特別なことではなく、実は私たちの生活の中にすでに溶け込んでいるのです。最近では、香りが一瞬で意識を整える働きを利用した「マインドフルネスアロマ」にも注目が集まっています。こうした「香りによって意識を切り替える」ことは、アロマテラピーのもっとも得意なことのひとつだと言えるでしょう。
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2ー実習. 春の陽気を取り込む呼吸法
本格的な春までもう一歩というところですが、少し春めいた暖かい日には、人混みを避けて森や公園の散策路へウォーキングにでかけてみませんか。神社やお寺、近所の路地などもいいですね。歩きながら少しキョロキョロと春の花や植物を探し、もし見つけたら近寄って、少しクンクンと鼻をきかせてみましょう。
ウォーキングの途中、マスクを外して立ち止まるのに適した場所があれば、どうぞ立ち止まってみてください。そして、足を肩幅程度に開き、しっかりと地面を感じたら、普段より少し深い腹式呼吸をします。お腹から空気を全部絞り出すように5秒程度吐き、おなかにしっかり空気を入れるように3秒程度吸い込みます。マスク生活で不足しがちな酸素をたっぷり取り込み、体の隅々まで新鮮な酸素を送り届けます。酸素は体のエネルギーを産生するのに不可欠なものです。3~5分程続けて心地良い程度で終了します。
春の陽気を体内に取り込むように意識して呼吸を行うと、体中がキラキラと陽気に満たされ、まるで自分からも新しい芽が出て花が咲きそうな気分になりませんか?屋内で呼吸法をするときには、好きな精油を焚きながら行うと自然と呼吸が深くなりますので、おすすめです。
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3.アロマテラピーが得意な領域 ②香りが体に働きかける
香りが体に働きかけるルートとして知られているのは
①脳の神経を介して自律神経系・内分泌系・免疫系へ働きかけるルート
②皮膚から血中に入るルート
③呼吸によって肺から血中に入るルート
の3つです。
血中にはいった植物化学成分は体内のしかるべき場所で、炎症を鎮めるなどの働きをしています。
よく「〇〇に良い精油はどれですか?」というご質問を受けます。精油に含まれる植物化学成分は1種類ではなく、必ず決まった成分が一定量入っているものでもありません。植物化学成分によって、実際に心身に変化があることは否定しませんが、香りに対する感受性は人それぞれで体調によっても異なります。使っていて心地良い香りを選ぶことが一番よいといえるでしょう。アロマテラピーにおいて、「気持ちよいと感じること」がなにより大切なのです。
初めて精油を使ってみたいけれど、何を選んだらいいのかわからない!と、迷われた方向けにおすすめの精油をご紹介します。生活の中に常備する精油は 以下の4本程度で十分だと考えています。この4本は持っていると「使える」精油です。これらを揃えて、さらにアロマへの興味が尽きない時は、アロマへの学びを深め、その中で追加の精油をチョイスしていきましょう。
もっておくと良い精油 | 主な目的 | 使い方の例 |
ラベンダー
ラベンダー・アングスティフォリア |
リラックス スキンケア(顔体) 日焼肌・やけどケア 頭痛などにも |
マッサージオイルフェイスミスト ルームスプレー 軟膏 焚く(芳香浴) 温湿布 |
ペパーミント | 虫除け 眠気覚まし 気分転換 筋肉痛等の鎮静 頭痛などにも |
マッサージオイル ルームスプレー 虫除けスプレー 軟膏 焚く(芳香浴) |
ティートリー (カユプテ、又はニアウリでも代用可) |
抗菌・抗ウイルス 風邪や花粉症時に |
芳香浴 蒸気吸入 マスクスプレー |
お気に入りの香りの精油 | リラックス |
※精油の原液塗布、飲用は禁止されています。肌に用いる場合は、必ず1%未満に希釈して使いましょう。
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3ー実習. 足裏のセルフリフレにチャレンジ
乾燥するかかとの保湿にもおすすめ!アロマを使った足裏のセルフリフレです。
(トリートメントオイルの配合)
・マカデミアナッツオイル(またはホホバオイル) 10ml
・ラベンダー精油 1~2滴(1滴で0.5%、2滴で1%の濃度になります)
(足裏リフレに挑戦)
・トリートメントオイルを足の甲側・裏側(かかとにも)全体に塗布する
・両手でホールドしたら、足の裏を親指で押すように満遍なく揉んでいく
・ごりごりするところや押すと痛気持ちいい所を入念にほぐしていく
足の裏には全身の反射区が存在するといわれています。下記の表を参考にしながら、ほぐしてみてくださいね。
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4.アロマテラピーが得意な領域 ③香りは心(精神)を整える
香りにもうひとつ得意なことがあるとしたら、幸福感によって心(精神)を整えてくれるということだと思います。安心したり、落ち着いたり、受け入れたり、手放したり。医療や介護の現場でアロマが使われているのは、そうしたことも理由のひとつかもしれません。
最近は、アロマクラフトづくりのワークショップが人気です。これは香りの効能云々よりも、純粋に楽しい(心がときめく・わくわくする)ということだと思います。作品を創造する喜びや、友人同士でお喋りしながら手を動かすという楽しさが根底にありますし、お友達へのギフトにして喜んでもらえると嬉しいですよね。また、ちょっとハードルの高いクラフトに挑戦すると、完成時に達成感を得ることもできます。1人で作業をするときには、瞑想のように自分と向き合うこともできます。香りを選ぶ瞬間、作成している瞬間、できあがった作品を感じる瞬間、それぞれの時間に香りを感じて、何度でもハッピーになれる。それがアロマクラフトの良さでしょう。
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4ー実習. アロマワックスバー(サシェ)をつくろう
(材料)
・ソイワックス 10~30g(型・容器に合わせて適宜)
・ドライフラワーなど適宜
・型(シリコン型、お菓子の焼き型、ワックスペーパーで自作でも可 など)
(作り方)
・ソイワックスを湯せんにかけて溶かす
・型に流し入れる(高さ約1センチ程度)
・好みの精油を5~10滴ほどいれ、混ぜる
・少し冷めて白くなり始めたころ、ドライフラワーを飾る
・完全に白く固まったら完成
※穴をあけてリボンを通すと素敵なサシェになります。
アニスやユーカリなど、香りの強いドライハーブを使うと、精油との香りのハーモニーが楽しめます。玄関やお手洗い、クローゼットなどに飾ったり、プレゼントにしてもいいですね。
「香り(アロマ)」という同じ入口から入っても、行き先はひとりひとり異なります。香りとふれ合う中で、探していたものや目指す行き先を見つけていただければうれしいです。アロマのある生活を楽しみましょう!
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<次回「Naturalist Web Magazine」のお知らせ>
~2021年3月2日(火)配信予定 ~
「Naturalist Web Magazine_Vol.44」では、
「ウイルスからも花粉からも・・・体を衞る(まもる)力をサポートする漢方」
をお届けします。
東洋医学では、春の邪気である「風邪(ふうじゃ)」の侵入を許さないよう、体表面で体を衞る(まもる)「衛気」という「気」を高める漢方処方を用いることがあるのをご存知ですか?
次回は、春ならではの不調に悩まされないよう、体を護る力をサポートする漢方についてのお話と、これから気になる花粉症に使える漢方について、漢方薬剤師 木村良栄がご紹介します。
※ 次回予告内容は、変更になる場合がございますので、あらかじめご了承ください。
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~「Naturalist Web Magazine」は、毎週火曜日の配信予定~
今後も、自然の薬箱ならではの様々な情報を予定しています。どうぞお楽しみに。
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