季節外れの暑さに負けないための暑邪対策

いつもご利用ありがとうございます、自然の薬箱の千田です。

梅雨冷えで肌寒い日になったと思ったら、夏日のような日が続いたり、気温差が激しい日が続いていますね。薄手のカーデガンや上着、日傘などを活用して体温を一定に保つケアをしながら過ごすことも大切です。

毎週火曜日にお届けしております、自然の薬箱の「Naturalist Web Magazine」。

皆様が穏やかな日常を取り戻せるその日まで、健やかに過ごせるお手伝いが出来ればという思いを込めて、Vol.57をお届けいたします。

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今年は、駆け足でやってきた梅雨前線が大雨を降らせたかと思えば、連日夏日を記録するなど、異例づくしの気象が続いてます。雨の日は湿気も高く、マスクをしたまま外出すると、内側に湿気と熱がこもって、いつも以上に息苦しく感じることも増えてきましたよね。

さらに寒暖の差が激しく、知らず知らずのうちに、体力や気力を消耗していることも。体力の低下は、免疫機能の低下につながることもあるので、しっかりケアしたいところです。

そこで今回は、湿気と暑さで例年以上に疲れやすい今を乗り切るために、おすすめしたい東洋医学の知恵をお届けします。まずは、どうして暑さが体に不調をきたすのか、そのメカニズムを東洋医学の視点でご紹介しながら、おすすめのケア方法や、暑さ負けしそうなときにぴったりなツボ等をご紹介します。

まだまだ続く暑い梅雨を乗り切るために、今からしっかりケアしていきましょう。

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<目次>

 1. 東洋医学の視点で考える「季節外れの暑さ」って?

 2. まずは暑邪の正体を知ろう

 3. 季節外れの「暑邪」を上手に取り去る!3つのケア方法

 4. ツボを刺激して、上半身の熱が溜まるのを予防しよう 


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1.東洋医学の視点で考える「季節外れの暑さ」って?

前回のNWM Vol.56では、梅雨時は「湿邪」対策の必要性をご紹介した通り、本来であれば、今は「湿邪」の対策をしっかり行う時季。しかし、今年の梅雨はいつもと様子が異なり、暑さも一緒に連れてきてしまっています。湿気と暑さが混在している今を、東洋医学ではどのように考えているのかという視点から、お話を進めていきましょう。

東洋医学のベースとなる五行説では、季節を5つに分けて、それぞれに対応する6つの自然界の気=「六気(ろっき)」があると考えています。人間は季節ごとに「六気」の影響を受けながら生活をしていますが、「六気」が過剰になったり、激しく変化してしまうと、私たちの心身に様々な悪影響を及ぼします。これを「六淫(りくいん)」と呼びます。その関係性と、特徴的な症状を表にしてみました。

五季 六気 六淫 邪気がもたらす特徴的な症状(一例)
風邪
(ふうじゃ)
発熱、頭痛、鼻水、鼻づまり、喉の痛みなど。症状の移り変わりが早く、上半身に症状が出ることが多い
梅雨 湿 湿邪
(しつじゃ)
倦怠感、むくみ、頭痛、食欲低下、吐気、下痢、古傷が痛む、関節痛、湿疹など
暑邪
(しょじゃ)
のぼせ、高熱、めまい、不眠、イライラ、興奮、意識障害など
燥邪
(そうじゃ)
鼻や口、のど、皮膚などの身体の乾燥、乾いた咳、切りにくい痰、喉痛、便秘など
寒邪
(かんじゃ)
強い寒気、頭痛、首肩の凝り痛み、関節痛、腹痛や下痢など
火邪
(かじゃ)
高熱、喉の腫れや痛み、粘々した痰を伴う咳、充血、顔面紅潮など、過度な高温によるものと他の邪気が体に侵入して炎症を起こし悪化したもの

※季節や地域などの環境によって、強く影響する邪気の種類が異なります。

季節の気である「六気」は、そのままの状態であれば特に問題を引き起こすことはありません。しかし、「六気」はあるきっかけで、様々な不調を引き起こす病邪である「六淫」に変化してしまうことがあるのです。

「六気」が「六淫」になる要因は、

①気の過剰
②気の不足
③季節にそぐわない気が増える
④個人の資質(持って生まれたものや、体調不良の時など)

以上の4つと考えられます。

東洋医学の視点で今の状況を捉えると今はまさに、③の季節にそぐわない気が増えて、「暑邪」に侵されやすい状態。梅雨の「湿」の気が過剰になり、「湿邪」侵されやすいところに、季節外れの暑さで「暑」の気も増えて、「湿邪」と「暑邪」の両方が存在していると考えます。

季節にそぐわない気が増えたとき、気を付けたいのが、季節特有の邪気は軽症、季節外れの邪気は重症になりやすいといわれていることです。本来の季節ではない邪気への対策ができていないうちにに侵されてしまうので、邪気に負けやすくなり、重症化しやすくなってしまうのです。


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2.まずは「暑邪」の正体を知ろう

季節外れの邪気である「暑邪」が引き起こす様々な不調を重症化させないためも、早めのケアをしたいところですよね。そのためにも、まずは「暑邪」に、どのような特性があるかを把握しておきましょう。

東洋医学では、古来より夏を「生長」の季節としてとらえ、陽気というエネルギーがもっとも盛んになる時季で、植物が大きく茂り、生物の成長は促進されていきます。陽気とは熱や活動を意味し、夏にはあふれかえるように発生するといわれています。

ただし、陽気が体内に溜まりすぎてしまい、体内で邪気になると体の気・血・津液(水分)のバランスを崩してしまうことがあります。これを「暑邪」と呼びます。

「暑邪」は、上へ上へと向かって燃え上がる炎のような性質をもつので、顔や頭に症状が出やすいともいわれています。五臓の中では「心」が「暑邪」の影響を受けやすく、動悸やイライラ、不眠などを引き起こすといわれています。

また、「気」と「津液(しんえき)」つまり、気力や体内の水分を消耗しやすいのが「暑邪」の特徴。急に息切れがしたり、のどが頻繁に渇いたり、脱力感を感じやすくなったと感じたらら、「暑邪」が体内に侵入していると考えて、これからご紹介するケア方法を取り入れていきましょう。


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3.季節外れの「暑邪」を上手に取り去る!3つのケア方法

体内に侵入してしまった「暑邪」を取り去るには、体内の陽気を程よく発散せることが大切。無理のない範囲で軽く汗をかくことで、体内の「暑邪」を排出することができます。ここでは、直ぐに取り入れられる、おすすめの3つのケア方法をご紹介します。

3-①. 軽い運動で汗をかきましょう
ポイントは軽い運動であるということ。例えば、気功、ヨガ、ストレッチのような運動で、程よく汗を出すのがベストです。無理のない範囲で行いましょう。

3-②. クーラーの温度を下げすぎていませんか?
急に熱くなったからといってクーラーが良く効いた涼しい室内にいると、汗が出ず暑い外気の中でも汗がうまくかけなくなり、正しく熱が放出されません。すると、体内に熱がこもりがちになりますので、エアコンの室温と、外気温との差があまり大きくならないようにして、程よく涼しい環境作りを心掛けるようにしましょう。

3-③. お風呂にゆっくりつかりましょう
暑くなるとついついシャワーで手短に済ませがちな方も多いのではないでしょうか。でも、暑い日こそ、お風呂にしっかり肩までつかれば、汗を出すこともできますし、一日の疲れも癒すことができます。急に気温が下がった日も、冷えてしまった内臓を暖めることができるのでおすすめですよ。

ただし、お風呂上がりの冷たい飲み物を一気に飲むのはおすすめしません。せっかくあたたまった身体が一気に冷えてしまいます。できれば、常温のものが飲むようにしましょう。どうしても冷たいものが飲みたい場合は、コップに半分程度の量をゆっくり噛むように飲んでください。冷たい水分を一気にお腹に入れるよりは、天然素材で作ったアイスクリームなどの固形物で、とろみのあるものをゆっくり召し上がるのも良い方法です。


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4.ツボを刺激して、上半身の熱が溜まるのを予防しよう

続いて、東洋医学の視点から、暑邪対策におすすめの「セルフツボ押しにおすすめのツボ」と「お灸におすすめのツボ」をご紹介します。

今回ご紹介するツボは、暑邪の症状を改善したり、上半身こもりがちな熱を全身に分散させる効果が期待できます。リラックスタイムやお休み前に、ツボに刺激を与えて、季節外れの「暑邪」が体内に溜めないようにしていきましょう。

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4-①. セルフツボ押しにおすすめのツボ 

いずれも、痛気持ちいいと感じる程度の強さで押すのがポイントです。

<百会(ひゃくえ)>
眉間の真ん中を通る線と、両耳を結ぶ線が交わる点

効果:目の使いすぎによる前頭部と後頭部の緊張を和らげリラックス効果があります。

 

<合谷(ごうこく)>
親指と人差し指の谷間で人差し指に向かって押すと強い痛みがある点

効果:首から肩を緩めて顔面部の過剰な熱を手先へと巡りやすくします。

 

<湧泉(ゆうせん)>
足の裏で足指をギュッと握ると凹む場所

効果:上昇した熱を下半身へと誘導します

 

〇ツボの押し方

手や足のツボは狭い場所にあるので、親指1本で押すのがおすすめ。
親指の腹をツボに当て、ツボの上の皮膚を軽く動かすように押し回します。押しすぎは禁物。心地よいと感じる程度の力で1か所につき10秒ほどの刺激を目安にしましょう。


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4-②.  お灸におすすめのツボ 

<三陰交(さんいんこう)>
内かかとの中央から指4本分上の脛骨の前際にある圧痛点

<太衝(たいしょう)>
足の第2趾(人指し指)と第3趾(中指)が交差するところの前の少し凹んだところ

効果:この2つのツボは共に、鼠径(そけい)部から足の内側にかけての緊張を和らげ、足先への血流を促すことで、上半身の熱が下半身へめぐるのを助けます。

セルフお灸の仕方については、NWM Vol.4にて詳しくご紹介していますので、ぜひご覧ください。

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今回は、季節外れの「暑邪」について、特徴や対策、おすすめのツボをご紹介しました。

湿気と暑さで、体力的にも精神的にも負担がかかる時期ですが、湿邪と暑邪を体内から排出すれば、健やかに過ごせる上に、免疫機能の維持も期待できます。梅雨も暑さもこれからが本番です。日々の生活に、ケア方法やツボ押しを取り入れて、毎日を快適に過ごしていきましょう。

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<次回「Naturalist Web Magazine」のお知らせ>

~2021年6月8日(火)配信予定 ~

「Naturalist Web Magazine_Vol.58」では、

「5/R  ボディワークスタジオ、リスタートです!」をお届けします。

来る7月1日(木)、自然の薬箱4階のボディーワークスタジオが、レッスン内容を一新してリスタートいたします!新しいレッスンが続々登場し、今まで以上に皆様の健やかな体づくりを応援します。

次回は、新しいレッスンのご紹介はもちろん、プレオープンイベントとして6月24日(木)から開催の、「コロナに負けない健康づくり」レッスン無料体験会の内容も一挙ご紹介予定です。

新しい 「5/Rボディワークスタジオ」の全貌を、メルマガ読者の皆さまに、ひと足早くお伝えいたします!

※ 次回予告内容は、変更になる場合がございますので、あらかじめご了承ください。

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~「Naturalist Web Magazine」は、毎週火曜日の配信予定~

 

今後も、自然の薬箱ならではの様々な情報を予定しています。どうぞお楽しみに。

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