今年の夏は漢方で熱中症を予防しませんか?

いつもご利用ありがとうございます、自然の薬箱の千田です。

自然の薬箱のある名古屋では、梅雨の晴れ間で気温が上昇しそうな天気です。しかし、梅雨が終わりに近づくこの時期は、天気が荒れやすく、激しい雨が降ることもありますので、いつも以上に気象情報には注意するようにしてくださいね。

毎週火曜日にお届けしております、自然の薬箱の「Naturalist Web Magazine」。

皆様が穏やかな日常を取り戻せるその日まで、健やかに過ごせるお手伝いが出来ればという思いを込めて、Vol.63をお届けいたします。

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「今年の夏は漢方で熱中症を予防しませんか?」をお届けします。 

今年の夏は、ダブル高気圧の影響を受けやすく、一段と厳しい暑さが予想されています。さらに、まだまだマスクを手放すことができない今は、例年以上にしっかりとした熱中症対策をしておきたいところです。

そこで今回は、改めて熱中症が起きるメカニズムをおさらいしながら、漢方でできる熱中症予防についてお届けします。今からしっかり熱中症対策をして、暑さに負けない体を作りましょう!

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<目次> 

 1. 熱中症はなぜ起きる?

 2. 今からすぐ始められる!熱中症予防の基本的対策

 3. 東洋医学の視点から見た熱中症予防


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1.熱中症はなぜ起きる?

毎年、夏を迎えると話題に上がるのが「熱中症」。ニュースでも、一日の搬送者数が報道されることもあり、この時期は特に注目を集めていますが、特に気を付けたい時期として挙げられているのが・・・

・5月の熱い日
・梅雨の晴れ間
・梅雨明け
・お盆明け

このような時だとご存知でしょうか?まさに、今の時期が熱中症に特に注意していただきたい時なのです。では、今の時期に特に注意が必要な熱中症とは、いったいどのようなもので、どうして発症するのでしょう?環境省の熱中症予防情報サイトによると、次の3つの要因により、熱中症が引き起こされる可能性があるとされています。

①「環境」
気温が高い、湿度が高い、風が弱いなど

②「からだ」
激しい労働や運動によって体内に著しい熱が生じたり、暑い環境に体が十分に対応できないことなど

③「行動」
激しい運動や、慣れない運動、屋外での長時間の作業、水分補給の不足など

本来であれば、私たちの身体は体温調節機能が備わっていて、体温を常に一定に保っています。体温が上がれば、毛細血管を拡張させ末端の血流をよくすることで、熱放出を高め、それでも追いつかない場合は汗を出します。この汗が、皮膚の表面で気化して水蒸気になる際、皮膚表面の熱を奪う役割を持ちます。これは「気化熱」と呼び、気化熱を放出することによって、体温を下げようとするのです。

しかし、外気温が高く、湿度も高く、風もない場合、汗が蒸発せず体温調節ができない状態になり、体内にたまった熱が放出されずに、どんどんとたまっていく一方になります。すると、体のほてりやのぼせを感じます。放熱するために毛細血管を拡張させて末端の血流が増える事によって、一時的に血液が不足して血圧が下がって脳血流量が減少し、めまいや立ちくらみがでたり、ひどいときには失神してしまいます。これは「熱失神」と呼ばれます。

また、大量の発汗によって脱水状態になると、全身倦怠感、悪心、嘔吐、頭痛が起こります。これは「熱疲労」と呼ばれます。

発汗は、血液中の水分と体内の電解質(塩分)を奪いますが、この電解質は筋肉の収縮に必要なので、不足することによって、手足がつったり、筋肉の痙攣が起こります。これが「熱痙攣」と呼ばれる症状です。

大量の発汗時に、水分のみを大量に摂取するのは危険です。血液が希釈され、電解質バランスが崩れる「水中毒」となり、熱痙攣の症状が悪化したり、命に関わることもあります。必ず塩分を含んだ水分や梅干しや塩飴などを、一緒に摂取して塩分補給を心掛けてください。経口補水液は、塩分と糖分がバランスよく配合された吸収の良い飲料ですので、夏には常備しておくと良いでしょう。

特に、小さいお子さんや高齢者、もともと体調が優れない方は、体温調節機能がうまく機能しない可能性があるので、注意しましょう。熱中症は、外出時だけではなく、室内でも発症する場合もありますので、気をつけてくださいね。

もし、熱中症の症状が現れた場合は、素早い対処が必要となります。熱中症は誰でもかかる可能性がある病気なので、あらかじめ「熱中症の対処方法(応急処置)」などで、対処方法を学んでおくと、万が一の場合もパニックにならず対処ができて安心ですよ。
※ ご自分やご家族で対処が出来ない時は、迅速に医療機関に連絡してください。


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2.今からすぐ始められる!熱中症予防の基本的対策

では、熱中症にかからないようにするにはどうしたらよいのでしょうか?すぐできる基本的な予防策をいくつかご紹介しましょう。

 

①こまめな水分補給・適度な塩分補給
のどが渇いていなくても、定期的に水分を摂取することが大切です。水分は、補給してから血液の中に入るまで15分程度かかります。乾きのあるなしに関わらず、1時間に2回程度、こまめに適量の水を飲むのがおすすめです。前項でも説明しましたが、大量の汗をかいた後は、体内の塩分も不足しがちです。塩分補給の飴やタブレット、スポーツドリンクなどで、失われた塩分を補給するように心掛けてください。

②睡眠環境を整えて、寝不足回避
最近は夜も気温が下がらないため、寝ている間に熱中症を発症するケースも増えています。また、睡眠不足が熱中症リスクを高めるともいわれているので、睡眠環境を整えることは、熱中症予防にもつながります。そこでおすすめしたいのが、冷感素材の寝具に変えたり、お気に入りのアロマやお香でリラックスして眠りの質を上げること。また、寝苦しいほどの暑さの夜は、寝る前に水分補給をする、エアコンを活用するなどして、「睡眠中の熱中症」予防をすることも忘れないでくださいね。

③暑さを我慢しない!
エアコンは身体に悪い…と暑さを我慢するのはNG。気が付いたら取り返しのつかないことになる場合もありますので、エアコンや扇風機で、適度な涼しさを保つようにしてください。高齢者の方は、暑さを感じにくい場合もあり、気が付かない間に身体の中には放出されない熱がどんどんたまっていきます。

とはいえ、エアコンを効かせすぎると自律神経の乱れを招き、体温調節機能に悪影響を与える可能性があります。エアコンや扇風機を上手に活用して、室内温度を25度から28度程度に保つよう心がけましょう。

④風通しの良い衣服を選ぼう
これからの季節、服装にも注意が必要です。理想は通気性が良い綿や麻を使った、ゆったりとしたもの。熱を吸収しにくい白や淡い色がおすすめです。身体を締め付けたり、ピッタリと張りつくものは避けましょう。ゆったりとした服装にすることで、体の動きによって服の中の空気が換気され、熱が溜まりにくくなります。特に、襟元や袖が大きくあいたものが良く、シャツの裾をズボンの中に入れないようにすると、より涼しくなりますよ。


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3.東洋医学の視点から見た熱中症予防

では、東洋医学の視点から見た熱中症とはどのようなものなのでしょうか?東洋医学では熱中症を、この二つが不足した「気陰両虚」の状態としてとらえます。

・気虚(気の不足/エネルギー不足、全身機能・代謝・抵抗力の低下)
・陰虚(陰の不足/体内の水分不足、口渇、皮膚や粘膜の乾燥、脱水症状)

夏は、大量に汗をかくことで「気陰両虚」の状態になりやすいため、「気」と「陰」の両方を補う処方を用います。

その代表的な処方が「生脈散(しょうみゃくさん)」です。生脈散は、「人参・麦門冬・五味子」の三味のみのシンプル処方。「人参」が体力気力を増し、「麦門冬」が身体に潤いを与えて、「五味子」が収れん作用により大量の汗を抑えてくれる働きがあるとされます。

漢方というと、穏やかに作用するイメージがありますが、「生脈散」は、速効性があり、昔から「飲む点滴」とも呼ばれるほど、効果を実感しやすい漢方です。夏から秋にかけての常備される方も多く、暑いけれどどうしても外出をしなくてはいけない時や、身体を動かす前に服用したり、疲労回復ドリンクとして、運動や作業の後に服用したりと、気と陰の両方を補えるので、心と身体の疲れの予防や回復のために服用されています。味も比較的マイルドで飲みやすく、続けやすいというお声も多くいただきます。

また、熱中症の初期症状の喉の乾きや頭痛、倦怠感には「五苓散(ごれいさん)」がおすすめです。五苓散は、水分の吸収を高め、血管の中に水分を引き入れて循環させ、尿として熱とともに余分な水分を排出させる働きがあります。

夏が憂鬱に感じる方、熱中症や夏バテを予防したい方は、お気軽に漢方相談薬局までご相談・お声掛けください。

 

~ ブログ読者さまプレゼント ♪ ~

只今、自然の薬箱1階の漢方相談薬局では、「自然の薬箱のブログを見た」とご来店いただいた5/R会員様 先着20名様に、今回のブログでご紹介しました「麦味参顆粒(生脈散)」6包入のサンプルをプレゼントさせていただきます!
※これから5/R会員へご入会の方も対象とさせていただきます。

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今回は、熱中症のメカニズムを解説しながら、熱中症の予防方法や、おすすめの漢方薬をご紹介いたしました。

今年は、一段と暑くなるうえに、まだまだマスクは手放せない厳しい状態が予想されます。暑さに負けないためにも、今のうちからしっかりと対策をして、熱中症や夏バテを予防して、暑さに負けない身体を作りましょう!

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<次回「Naturalist Web Magazine」のお知らせ>

~2021年7月20日(火)配信予定 ~

「Naturalist Web Magazine_Vol.64」では、「夏野菜を上手に活用!食べながら涼をとる夏の薬膳」をお届けします。 キュウリやナス、とうもろこしなど、美味しい夏野菜には、夏ならでは不調を解決する様々な効能があるのをご存知でしょうか?オリンピックの選手村のメニューとして、だしをきかせた夏野菜の冷たいおでんが採用されるなど、夏野菜の持つ力に注目が集まっているのです。

次回は、夏野菜を薬膳の視点で解説しながら、おうちで手軽に作れるうえに作り置きOKな美味しい薬膳レシピをご紹介します。身体を動かした後のクールダウンや、疲労回復にもピッタリな夏野菜を使った薬膳で、美味しく涼をとりませんか?
※ 次回予告内容は、変更になる場合がございますので、あらかじめご了承ください。

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~「Naturalist Web Magazine」は、毎週火曜日の配信予定~今後も、自然の薬箱ならではの様々な情報を予定しています。どうぞお楽しみに。

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