夏野菜を上手に活用!食べながら涼をとる夏の薬膳
いつもご利用ありがとうございます、自然の薬箱の千田です。
今週の22日は「大暑」。「二十四節気」の12番目の節気です。夏の暑さが本格的になる頃で、1年のうちで最も暑さの厳しい時期となります。先日、東海地方も梅雨明けとなりました。これからの暑さ対策をしっかりして、夏の盛りを上手に乗り切りたいものですね。
毎週火曜日にお届けしております、自然の薬箱の「Naturalist Web Magazine」。
皆様が穏やかな日常を取り戻せるその日まで、健やかに過ごせるお手伝いが出来ればという思いを込めて、Vol.64をお届けいたします。
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夏が本格的に始まると同時に、色鮮やかな夏野菜が所狭しと店頭に並び始めます。今まさに旬を迎える夏野菜たちは、この時期を乗り切るために必要な栄養がたっぷり!さらに夏ならではの不調を解決する様々な効果が期待できます。
そこで、夏野菜を栄養面や薬膳の視点で解説しながら、おうちで手軽に作れるうえに、作り置きOKな美味しい薬膳レシピをご紹介します。身体を動かした後のクールダウンや、疲労回復にもピッタリな夏野菜を使った薬膳で、美味しく涼をとりませんか?
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<目次>
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1.アスリートも注目する夏野菜の力って?
間もなく始まるオリンピックの選手村のメニューとして、「だしをきかせた夏野菜の冷たいおでん」が採用されるなど、今、夏野菜の持つ力に注目が集まっています。
常に体を酷使するアスリートにとって、夏野菜は「ほてりをクールダウンさせ、疲労回復や自律神経を整える効果も期待できる」と、積極的に食事に取り入れている人も多いそう。何故、今アスリートが「夏野菜」を積極的に取り入れているのでしょう?
その理由は、夏野菜が持つ豊富な栄養素にあります。
アスリートは、日々の練習で大量に汗をかきますよね。すると、汗(=水)とともにカリウムも大量に体外に排出されてしまいます。カリウムは、 体内の水分調節や筋肉の収縮を正常に保つ働きがあるため、不足すると、脱力感や食欲不振といった、欠乏状態が起きてしまうこともあり、アスリートには欠かせない栄養素といえます。
そんな時に力強い味方となるのが「夏野菜」。多くの夏野菜には、水分とカリウムがたっぷりと含まれているので、この時期は特に欠かせない食材となっています。さらに、水分とカリウムは、体内に溜まった過剰な熱を冷まし、尿として体外に排出する役割も担っているので、火照ったままの身体をクールダウンしてくれます。
また、夏野菜には水分やカリウムのほかに、ビタミンやミネラルなどの栄養素が豊富に含まれているので、暑さで疲れた体の疲労回復にも繫がります。
このように、暑さの厳しい時期に、食べることで身体のコンディションを整えてくれる夏野菜は、アスリートにとっては理にかなった食材なんですね。
様々な効果が期待できる夏野菜ですが、生で食べられるものが多いので、栄養を余すところなく摂取できるというメリットもあります。また、ビタミンカラーが美しい夏野菜は、リコピンやアントシアニンなどのフィトケミカル成分を含むものも多く、抗酸化作用によるからだの補修を行ったり、食欲を増進する効果も期待できますので、夏バテ気味で食欲が落ちている方にもおすすめですよ。
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2.薬膳の視点から見た夏とは?
では、薬膳の視点では夏をどのように捉えているのでしょうか?
薬膳の考え方のベースとなる東洋医学では、古来より夏を「成長」の季節としてとらえ、陽気というエネルギーがもっとも盛んになる時季としています。陽気とは熱や活動を意味し、夏には陽気があふれかえるように発生するといわれています。
陽気は、体内に溜まりすぎてしまうと、体内で邪気になり、体の気・血・津液(水分)のバランスを崩してしまうことがあります。これを「暑邪」と呼び、のぼせ、めまい、不眠、イライラ、興奮、煩躁(※1)などを起こす原因だと考えます。
※1. 胸に熱感があり気分が落ち着かず、じっとしていることができない状態。
また、「気」と「津液(しんえき)」つまり、気力や体内の水分を消耗しやすいのが「暑邪」の特徴。夏に息切れがしたり、のどが頻繁に渇いたり、脱力感を感じやすくなったら、「暑邪」が体内に侵入しているサインです。
東洋医学には、「暑邪」を身体の外に出す様々な方法がありますが、その一つが「薬膳」です。薬膳では、「暑邪」を排出する効果が高い食材を食べることで、身体の内側に溜まった熱=「暑邪」を外へと出していきます。
では、薬膳ではどのような食材が「暑邪」を取り除くことができる、とされているのでしょうか?
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3.薬膳の視点で見たおすすめの夏野菜って?
「暑邪」を取り除くための食材は、体にこもった余計な湿気と熱を取り除き、むくみを解消し、のどの渇きを癒やす効果が期待できるとされています。今回は、夏野菜を中心に、それぞれの効能とおすすめの食材をご紹介しますので、ランチのメニュー選びの目安や、日々の献立に取り入れてみてくださいね。
<清熱 seinetsu>熱を下げる効果がある
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きゅうり、なす、トマト、水菜、茶葉、苦瓜、スイカ、バナナ、カニなど |
<生津 seisin(滋陰 jiin)>津液を補充する役割がある
汗として流れ出てしまう体に必要な水分やビタミン、ミネラルなどを補う
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トマト、きゅうり、ズッキーニ、豆腐、きのこ、枸杞子、ホタテ、豆乳 |
<安神 anjin>心を補養する役割がある
イライラや興奮に効果的で精神を落ち着かせる
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ナツメ、もも、ハスの実、ゆり根、豚の心臓、鶏卵、クワイ、レンコン、金針菜、牡蠣、小麦 |
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4.夏野菜で作り置きできる!国際薬膳師直伝レシピ2種
お勧めの食材はわかったけれど、どのように組み合わせて調理したらいいの?という疑問が浮かんできますよね。そこで、国際薬膳師であるシェフ監修の「夏バテしない!暑気払いの薬膳レシピ2種」をご用意しました。
夏野菜をたっぷり使ったレシピは、身体の余分な熱を冷ますだけでなく、夏の暑さでイライラしがちな心も鎮めてくれる効果も期待できます。作り置きも可能なので、お忙しい方にもぴったり!
珍しい食材も難しい手順も不要で、ご自宅で手軽に夏野菜を使った美味しい薬膳が作れますので、ぜひご覧ください。
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国際薬膳師おすすめ!
夏バテしない!暑気払いの薬膳レシピ2種は こちら >>>
※ご紹介した料理は、今の時季に冷えを感じていない方向けのレシピです。冷え性の方、クーラーにずっとあたっていて冷えを感じる方は、生姜、ネギ、唐辛子、玉ねぎ、茗荷などの体を温めるものも一緒に取りいれて、清熱の食材を取りすぎないように注意しましょう!
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今回は、今注目の夏野菜の持つ力や、夏野菜を使った薬膳をご紹介しました。
カラフルな夏野菜は、旬ならではの美味しさを楽しむだけでなく、酷暑を乗り切るために欠かせない食材です。今年の夏は、夏野菜を積極的に献立に取り入れて、暑さに負けない身体を作りましょう!
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<次回「Naturalist Web Magazine」のお知らせ>
~2021年7月27日(火)配信予定 ~
「Naturalist Web Magazine_Vol.65」では、
「土用の丑の日は、桃の葉風呂で心も身体もリラックスしよう」をお届けします。
7月28日は、今年の土用の丑の日。最近では、土用の丑=ウナギを食べて、栄養補給!のイメージが定着しましたが、江戸時代は「丑湯(うしゆ)」として、暑気払いの薬草である桃の葉をお風呂に浮かべ、「桃の葉湯」を楽しむ風習があったそう。
そこで次回は、夏の疲労回復にぴったりな上に、夏の肌トラブルの改善も期待できる「桃の葉湯」をはじめとした、薬草湯についてお届けします。さらに、この時期に薬草湯として取り入れたい薬草もご紹介します!
いにしえの時代に思いをはせながら、心身ともににリラックスしながら、疲れをいやし明日の活力にもつながる薬湯を楽しんでみませんか?
※ 次回予告内容は、変更になる場合がございますので、あらかじめご了承ください。
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~「Naturalist Web Magazine」は、毎週火曜日の配信予定~
今後も、自然の薬箱ならではの様々な情報を予定しています。どうぞお楽しみに。
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