寝苦しい夜を乗り越える安眠のコツ

いつもご利用ありがとうございます、自然の薬箱の千田です。

無観客で行われているオリンピックも、残すところあと5日。首都圏では感染拡大など色々と話題もありますが、アスリートたちの活躍に心動かされ、ついつい応援に力が入っている方も多いのではないでしょうか?

毎週火曜日にお届けしております、自然の薬箱の「Naturalist Web Magazine」。

皆様が穏やかな日常を取り戻せるその日まで、健やかに過ごせるお手伝いが出来ればという思いを込めて、Vol.66をお届けいたします。

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毎日暑い日ばかりで、夜もなかなか気温が下がらず、寝苦しい夜が続いていますね。エアコンをつけていても、眠りが浅くなったり、なかなか寝つけなかったりで、疲れが抜けない方も多いのではないでしょうか?

そこで今回は、寝つきの悪さを解消して、質の良い睡眠を手に入れるための「安眠のコツ」をお届けします。

私たちの身体にとって睡眠はどのような役割をしているのかを解説しながら、エアコンの上手な使い方や、安眠するためにおすすめの習慣、心地よい眠りを手に入れるためにおすすめの精油など、質の良い睡眠を手に入れるためのコツをご紹介します。

いますぐに始められる「安眠のコツ」を実践して、心地よい眠りを手に入れませんか?

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<目次>

 1.  人はなぜ眠る?

 2. 睡眠中に行われている 5つのこと

 3. 寝苦しい夜に安眠を手に入れるコツ

 4. 質の良い睡眠をとるためのおすすめの4つのメゾット

 5. 寝る前に香らせたい!心身ともにリラックスできる精油


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1.人はなぜ眠る?

私たちは、睡眠時間が不足したり、眠りが浅かったりすると、翌朝は体がだるくなったり、頭の回転が鈍くなったりしますよね。その反対に、十分に熟睡した後なら、頭も体もすっきりとして活発に動き回ることができます。

睡眠が身体や心の好不調を左右するのは誰もが実体験を通じてわかっていますが、その理由は?と聞かれると言葉に詰まる方も多いのではないでしょうか?

睡眠とは、日中の活動で疲労困憊した脳を休めて、心身の疲労の回復をはかるために行われる生体防御反応のことです。さらに、ただ体を休めるだけではなく、心身の修復や記憶の整理もしています。

たとえば、寝ている間は、体が成長ホルモンを分泌し、疲れをとり、傷んだ部分を修復します。さらに、日中に見たことや学習したことを脳に定着させたり、整理したりするのも睡眠の役割なんですよ。

つまり、睡眠は心身の休息とメンテナンスを同時に行っているんですね。

 


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2.睡眠中に行われている 5つのこと

では、睡眠中に私たちの身体ではどのようなことが行われているのでしょうか?

まずは寝ている間に脳と体では何が起きているのかを解明していきましょう。

睡眠が私たちの心や体に対して行っていることは、主に5つあるといわれています。

① 脳と体を休ませる
私たちの体は、自律神経が常に働いて生命を維持しています。自律神経には交感神経と副交感神経があり、意識して動かすことはできません。日中は活動モードの交感神経が優位になり、体内では血糖値や血圧、脈拍が上がります。

すると、筋肉と心臓の動きが活発になり、脳は緊張感と集中力が増します。夜になると、リラックスモードの副交感神経が優位になます。すると、血圧が下がりはじめ、心拍数は減少し、身体は徐々に眠る準備へと向かいます。

寝ている間は、脳と体がリラックスして、自律神経を整え、細胞の修復を行っています。たっぷり睡眠が取れた後、心も体が軽く感じるのは、脳も体もしっかりと休んでリラックスした証拠なんですよ。

 

② 記憶を整理する
睡眠中は、入眠直後に訪れるもっとも深いノンレム睡眠の約90分(脳も体も眠っている睡眠)のあと、レム睡眠(脳は眠っているが体は起きている睡眠)とノンレム睡眠を4~5回繰り返します。その間に、私たちの脳は嫌な記憶を消去したり、その日に起きた事や覚えた事の記憶を整理しています。

あわせて、記憶の定着も行っているので、勉強する上でも睡眠はとても大切。試験前や、大切なプレゼンなどがあるときの徹夜は禁物ですよ。

 

③ ホルモンバランスを調整して体を整える
睡眠時は、私たちの体の中で多くのホルモンが働いています。特に「成長ホルモン」は、他のホルモンと関わりあいながら、身体の成長や代謝調節を促したり、細胞の修復などを行っています。体内の修復・回復を促す成長ホルモンは別名「アンチエイジングホルモン」ともいわれています。

 

④ 免疫力を上げる
十分な睡眠が取れていないと、身体が重だるかったり、風邪をひいたりすることがありますよね。これは、ホルモンバランスが崩れ免疫機能の働きが悪くなっている証拠。睡眠時間が短くなると、肉体的・精神的疲労をなかなか回復することができません。そのため、免疫機能が弱まり、細菌やウイルスに感染しやすくなります。

 

⑤ 脳の老廃物を取る
脳の老廃物は、神経細胞が活発な覚醒時に溜まります。例えば、脳の老廃物の一つで、アルツハイマー病の原因でもある「アミロイドβ」というタンパク質は、睡眠中に脳脊髄液中へ洗い流されていることが解明されつつあります。質の良い睡眠をとることで、脳は老廃物を排出してデトックスを行っていると考えられています。

睡眠を十分とることは、肉体的な疲労回復はもちろん、不安感やストレスを減らすこともできます。肉体面も、精神面も安定し、健やかな毎日を贈るためには、質の良い睡眠をとるのがとても大切なんですね。

 


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3.寝苦しい夜に安眠を手に入れるコツ

熱帯夜が続く今、睡眠の大切さはわかっていても寝苦しくて安眠できない!という方も多いのではないでしょうか?

この暑苦しさの原因、夏の暑さだけではありません。もう一つの原因が「体温」にもあるんです。

私たちの体には、皮膚表面の体温と、それよりも少し高い「深部体温」があります。「深部体温」とは、体の内部の温度のことで、日中は朝から夕方に向けて高くなっていきます。そして、夜になると手や足の先から放熱し、深部体温を下げることで、私たちの身体は眠る準備を始めるのです。

しかし、日本の夏は高温多湿。体温を下げる役割である汗が蒸発しにくく、深部体温が下がりきらないため、自然な深い眠りに入りにくくなります。では、深部体温を下げるためにはどのようにしたらいいのでしょうか?

高温多湿の夏でも、上手に深部体温を下げる為におすめしたいのが、エアコンの上手な活用です。エアコンをつけっぱなしにすると、翌日体がだるくなるから嫌!という方、意外と多いですよね。でも、使い方のコツをつかめば、だるさを感じることなく、快適な睡眠を手に入れることができるんですよ。

 

<エアコンを上手に活用するコツ>

①設定は温度26~28度、湿度は50%以下
私たちが快適に眠れるために、望ましい環境は、室温が26~28度、湿度は50%以下といわれています。温度だけでなく湿度もチェックしておくようにしましょう。室温が下がっているけれど、湿度が下がらない場合は除湿機能を活用してください。最近のエアコンは温度と湿度をコントロールできるものもありますので、確認してみてくださいね。

②タイマーを使うなら冷房時間を長めに
エアコンをつけっぱなしで寝ると、翌日だるさを感じるから、寝付きだけのわずかな時間だけつけているというお話をよく伺いますが、それは安眠の妨げの元。できれば、翌朝までエアコンをつけたままでいるのが理想なのですが、最低でも、眠りが最も深いといわれる入眠後3時間を超えるまでは、つけた状態を保ってくださいね。就寝前に部屋を冷やして置くことで、眠りに付きやすいですよ。

③翌朝のだるさを解消するために、自分の快適な温度を探そう
エアコンをつけたままで寝ると、翌朝だるさを感じる原因のほとんどが、部屋の冷やしすぎです。そんな時は、エアコンの設定温度を0.5〜1℃上げてみたり、送風の強さを下げてみたり、除湿モードを使うのがおすすめです。また、送風口を天井に向けて、直接身体に風が当たらないようにしたり、タイマー機能を使って、起床時間の数時間前にスイッチが切れるようにするなどの工夫をしながら、快適な温度と湿度を探ってみましょう。

パジャマは、エアコンを使うなら七分袖や長ズボンタイプのものがおすすめです。冷え性の方は、腹巻きや足首ウォーマーも活用してみましょう。靴下を履いて眠るのは、おすすめできません。足の裏からの体温調節のための発汗が妨げられてしまうからです。足首ウオーマーと掛け布団で調節してみてくださいね。

 


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4.質の良い睡眠をとるためのおすすめの 4つのメゾット

最近「睡眠の質」という言葉をよく耳にしますよね。質の良い睡眠とは、寝つきがよく、ぐっすり深く眠り、目覚めがよいこと。特に「寝つきのよさ」は重要です!人は、眠り始めの90分間、最も深い眠りのノンレム睡眠の間に成長ホルモンを最も多く分泌します。

成長ホルモンは、その名の通り成長に関わるホルモンですが、その他にも疲労の回復や細胞の修復、様々なホルモンの調整を行います。そのため、最初の90分間に深く眠ることができれば、脳や身体の疲労回復や、細胞の修復が適切に行われ「質の良い睡眠」となるのです。

寝つきをよくするには、日中に活発に活動していた交感神経から、リラックスモードの副交感神経へとシフトしていくことが必要です。副交感神経にシフトしていくことで、深部体温が体外に放熱され、徐々に下がっていくことも分かっているんですよ。

そこで、ここでは交感神経から副交感神経にシフトしやすくするための、おすすめの4つのメゾットをご紹介します。

寝つきが悪いとお悩みの方はもちろん、眠りが浅いと感じたときなどにもおすすめですよ。

①毎朝一定の時間に起きて、太陽の光を浴びる
一日の始まりである朝は、太陽の光をたっぷり浴びましょう。体内時計のスイッチが入り、リズムが整います。夜になれば自然に身体が眠る準備が始まるようになります。朝の太陽の光を網膜に入れると、リラックスホルモンのセロトニンが分泌され、そのセロトニンが夜になり暗くなると睡眠へと導くメラトニンに変化します。

②日中は活動的に
夜更かしをせず、朝からしっかり起きて活動することを心掛けましょう。昼間と夜のメリハリをつけることが大切です。また、適度な運動は適度な疲労感となり、自然な眠気を誘います。中途覚醒が少なくなり、熟睡できるようになります。

③就寝 90分前に適温で入浴(就寝直前の入浴は避ける)
38~41℃程度のお湯に入ると、副交感神経が優位になり、身体がリラックスモードになります。入浴後90分程経つと眠りにつきやすい体温に下がり、寝つきがよくなりますよ。42℃以上のお湯は交感神経が優位になり、活動モードになってしまうので気を付けましょう。

④アロマテラピーでリラックス
就寝前、お好きな香りをお部屋に香らせてみましょう。心地よい香りで心身を緩めることで、身体がリラックスして副交感神経が優位な状態を作りやすくなります。

お好みの香りの精油を、アロマディフューザーやアロマランプで香らせたり、ティッシュやコットンに1~2滴染み込ませて枕元においても楽しめます。ほのかな香りでリラックスすれば、心も体も眠る準備が整います。

 


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5.寝る前に香らせたい!心身ともにリラックスできる精油

寝れない夜や、興奮気味な夜などのお供にぴったりな、リラックス効果のある精油をご紹介します。疲れすぎて目が冴えてしまったときや、暑さでイライラしたときなどにもおすすめですよ。

<安眠のためのおすすめ精油>

ラベンダー アロマテラピーの定番の精油、フローラルで優しい馴染みのある香りが安心感を誘います。
サンダルウッド 白檀の香りというと馴染みがあるかもしれません。神聖感があり気持ちを落ち着かせ、鎮静効果が期待できるウッディな香りです。
クラリセージ リラックスする成分が多く含まれ、幸せな気分にさせたり、女性ホルモンを整える働きがあるといわれています。単独で使用するより、他の精油に少量ブレンドすると香りに奥深さが出る精油です。
オレンジスイート 柑橘系の香りがお好きな方にお勧め。ストレスを和らげ、気分を軽やかにします。
スイートマジョラム ハーブ調の温かみのある甘すぎない香りが、心を温めてくれるように安心感を生みます。
フランキンセンス 古代エジプトの時代から、神に捧げていたという神聖な香りの樹脂からとれる精油です。今でも教会などで焚かれ、落ち着きを生みます。
クロモジ
(今注目の和精油)
昔から和菓子を食べるときなどの、楊枝に使われていた木の枝葉からとれる精油。リラックス成分を多く含み、木の精油でありながら、フローラル感のある優しい香りです。

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今回は、熱帯夜で寝苦しい夜でも快適に眠れる「安眠のコツ」をお届けしました。

身体にこたえる暑さが続いている今だからこそ、睡眠の質を上げて心身ともに疲れをとることが大切です。

質の良い睡眠を手に入れて、厳しい夏を乗り切りましょう!

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<次回「Naturalist Web Magazine」のお知らせ>

~2021年8月10日(火)配信予定 ~

「Naturalist Web Magazine_Vol.67」では、

「東洋医学の知恵で不眠症予備軍から脱出しよう!」をお届けします。 

睡眠環境を整えてみても、なかなか寝つけない、寝てもすぐ目が覚めてしまう、熟睡した気がしないといった症状が気になり始めたら、不眠症予備軍かもしれません。

今回の安眠のコツに続き、次回は不眠症に悩む前に東洋医学の知恵を活用して、不眠の原因をもとから改善するにはどうしたらいいかを解説しながら、おすすめの漢方や、ツボ、薬膳的食材もご紹介します。最近熟睡できないとお困りの方、必見の内容です。

早めの対策で、不眠症予備軍から脱出しましょう!

※ 次回予告内容は、変更になる場合がございますので、あらかじめご了承ください。

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~「Naturalist Web Magazine」は、毎週火曜日の配信予定~

今後も、自然の薬箱ならではの様々な情報を予定しています。どうぞお楽しみに。

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