今年の冬を健やかに過ごすために!知っておきたい薬膳の心得

11月も残すところあとわずか。短かった秋は終わり、いよいよ冬本番に突入します。これからは、一日ごとに空気も乾く上に気温も冷え込んできますので、乾燥と寒さ対策を欠かさないようにしてくださいね。

毎週火曜日にお届けしております、自然の薬箱の「Naturalist Web Magazine」。

皆様が穏やかな日常を取り戻せるその日まで、健やかに過ごせるお手伝いが出来ればという思いを込めて、Vol.82をお届けいたします。

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一日ごとに寒さが厳しくなる季節。2021年の終わりも近づき始めた今、年末のあわただしさの中でしっかりとケアしたくても時間が取れず、体調を崩しがちな方が増える時期でもあります。

そこで今回は、年の終わりのあわただしい中で特別なケアは出来なくても、毎日の食事で寒さに負けない身体づくり!をテーマに、冬の不調を解消する薬膳の心得をお届けします。

さらに、この時期におすすめの食材もご紹介します。

寒さに負けない身体を食を通じて作ることで、今年の冬も健やかに過ごしましょう!冬を健やかに過ごすことは、若々しさを保つ秘訣なんですよ。

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<目次>

 1. 寒さを乗り越えるために知っておきたい「寒邪」と「腎」

 2. 「腎」がダメージを受けると・・・

 3. 「陰陽」と「気」ってどんなもの?

 4. 薬膳の視点から見た「腎の養生」にぴったりな食材をご紹介!


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1.寒さを乗り越えるために知っておきたい「寒邪」と「腎」

東洋医学では、「正気」と「邪気」という考え方があります。「正気」とは、免疫力のようなもので、邪気に対する抵抗力・自然環境に適応する能力・健康を促進する力のことで、「邪気」は、体の外の環境から影響を受ける疾病の発病因子のことを指します。

季節(春・梅雨・夏・秋・冬)ごとに邪気があり、冬は「寒邪」に侵されやすい季節とされます。

冬の邪気である「寒邪」の影響を最も受けやすいといわれているのが五臓の中の「腎」。「腎」は、単に腎臓を指すだけでなく、成長・生殖の働きも含んだ、生命の素となるエネルギーの源です。つまり、臓器としての腎臓のほか、泌尿器・生殖器・内分泌系の機能や、生まれたときから人が大切にもっている「気」を蓄えている性質なども含めて、「腎」として捉えます。木で例えるならば、一番大事な根っこの部分のようなものなのです。

では、「腎」がダメージを受けると、どのような症状が現れるのでしょうか?


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2.「腎」がダメージを受けると・・・

私たちの身体の根っこのような役割をしている腎が弱ると、身体の様々な場所に不調を感じてしまいます。

例えば、、、

・足や腰がだるい
・手足、腰が冷える
・排尿障害がある(頻尿、夜間頻尿、失禁、キレが悪いなど)
・白髪や抜け毛が増えてきた
・耳鳴りや難聴がある
・めまいがある
・物忘れが増えた
・睡眠が浅い
・喉が渇きやすい
・性欲が衰えてきた
・月経周期が一定しない
・妊娠しにくい

などが挙げられます。

上記の中で、いくつか思い当たる症状がある方は、腎の生理機能が正常に働いていないのかもしれません。また、これらの症状に既にお悩みの方は、寒邪によって冬に悪化する恐れもあります。予防や改善のためには、寒邪に侵される前に腎の機能を補うことが大切です。

では、腎の機能を補う(=「補腎」)には、どのようにしたらよいのでしょうか?まずは「補腎」を補うために知っておきたい「陰陽」と「気」についてお話していきますね。

 


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3.「陰陽」と「気」ってどんなもの?

「陰陽」とは、いんよう・おんよう・おんみょうと読まれ、全てのものは表と裏があるように、陰と陽が存在しているという考え方。陰と陽を下の様のように分けて考えます。

地、水、夜、暗、女性、内面、下、寒、重、抑制、虚、小
天、火、昼、明、男性、表面、上、熱、軽、興奮、実、大

陰と陽の関係は、今でもよく使われる表現なので、イメージしやすい方も多いですよね。人に例えるなら、陽気な人は明るく、引っ張ってくれるような人もいれば、陰ながら支えてくれるような人もいるということ。どちらか片方では成り立たない、表裏一体のようなもので、陰と陽はどちらも大切なものであり、バランスを崩すと不調になりやすいといわれています。

興奮や抑制などの意味も含んでおり、西洋医学に置き換えると「自律神経(交感神経と副交感神経)に似ています。

これは腎にもあてはまり、「腎陽=体の熱源」、「腎陰=体の水分(潤い)」となります。

では、冬の邪気である寒邪が腎に影響を及ぼすとどのようになるのでしょうか?寒邪による影響を受けると、まずは腎陽が侵されて体の熱源が弱まり、冷えだけでなく、腎陽によってコントロールされている腎陰の水分代謝も弱まります。すると、身体に水がたまり、更に冷える原因になったり、排尿異常や腰痛など様々な体の滞りや不調が起こります。だからこそ、腎陽を整えておくことが、寒邪に負けず冬を乗り切るポイントとなります。

また、冬の乾燥や厳しい気候は、腎陰にも影響します。腎陰が弱ると体の潤いがなくなり、乾燥やほてり、老化現象が進むことになります。

さらに、腎は生まれたときから人が大切にもっている「気=『先天の気』」を蓄えています。「先天の気」から、腎陽も腎陰も生み出されます。そして、この「先天の気」は親から受け継いだもので、増やすことはできません。

え?増やせないの?と不安に思われた方も大丈夫!この「先天の気」を補ってくれる「後天の気」があります。「後天の気」は生まれた後に自ら摂取・生成する気のことで、主に食物から取ることができます。「後天の気」を高めるためには、それぞれの食材のはたらきを知って、積極的に日々の献立に活用し、養生していくことが大切です。そこで、役立つのが

薬膳なのです。

では、薬膳の視点から見た腎の養生に役立つ食材はどのようなものなのでしょうか?


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4.薬膳の視点から見た「腎の養生」にぴったりな食材をご紹介!

冬に弱りがちな「腎」を養生させるには、身体を冷やさないように心がけることと、温かい食事をとるとともに、「腎」を補う黒い食べ物を積極的に食べるのがおすすめです。

冬は、腎に陰と陽の気を貯蓄していくことが何より大切です。食物には、気の量が少ないときに役立つものだけではなく、腎の働きを強くするもの、陽の働きを助けるもの、陰の働きを助けるものなどがありますので、冬の養生に欠かせない3つの作用が期待できる食材をそれぞれピックアップしました。

<補腎>冬の寒さが原因で機能が低下する腎を補います

▼ ▼ ▼ ▼ ▼
栗、マッシュルーム、黒豆、昆布、黒きくらげ、牡蠣、すっぽん、鮑 など

 

<助陽>体を根本から温める力を補います。また、生命力を高めます

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羊、くるみ、エビ、鹿、ナマコ、ニラ、クローブ、シナモン、よもぎ など

 

<滋陰>秋に引きつづき乾燥する季節。冷え対策と併せて潤い対策も必要です

▼ ▼ ▼ ▼ ▼
黒ゴマ、百合根、牛乳、卵、豚肉、松の実、ホタテ、枸杞子 など

 

ご自宅でのお食事はもちろん、外食でもこれらの食材の分類を参考にしながらメニューを選べば、日々の食事で「腎」の養生ができます。多くがこの時期に旬を迎える食材です。冬の食卓に旬の食材を取り入れて、寒邪に侵されがちな「腎」をケアしてくださいね。

 

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今回は、冬にダメージを受けやすい腎の養生についてお伝えしてきました。

毎年冬になると不調に悩まされている方は、邪気の影響を受けて腎が弱っているのかもしれません。食を通じて「補腎」をすれば、「気」が満たされて、寒邪に負けない身体を作ることができます。

今年の冬は、薬膳の知識を使って寒邪に負けない身体づくりをしていきましょう!

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<次回「Naturalist Web Magazine」のお知らせ>

~11月30日(火)配信予定 ~

「Naturalist Web Magazine_Vol.83」では、

「ちょっと気が早いけれど、お屠蘇のお話」をお届けします。

気がつけば、12月まであとわずか。百貨店やスーパーでは、クリスマスやお正月の準備コーナーが目につく時期になってきました。自然の薬箱でも、クリスマスツリーの飾りつけに次いで、「屠蘇散」を店頭にご用意しました。

皆さんは、お屠蘇を飲まれたことはありますか?元旦に飲むお祝い酒ですが、「屠蘇散」という漢方薬が浸け込まれているのが本当のお屠蘇。そこで次回は、意外と知らないお屠蘇の伝統や漢方薬としての作用、お作法などをご紹介したいと思います。

※ 次回予告内容は、変更になる場合がございますので、あらかじめご了承ください。

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~「Naturalist Web Magazine」は、毎週火曜日の配信予定~

今後も、自然の薬箱ならではの様々な情報を予定しています。どうぞお楽しみに。

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