土用の丑の日は、桃の葉風呂で心も身体もリラックス
いつもご利用ありがとうございます、自然の薬箱の千田です。
梅雨が明けた途端、毎日30度を超える暑さが続いていますね。オリンピックも始まりましたが、この時期に厳しい暑さが続くと、心配なのが熱中症。不要不急の外出を控えることはもちろん、室内でも水分補給と塩分補給を欠かさずに行うようにしていきましょう。
毎週火曜日にお届けしております、自然の薬箱の「Naturalist Web Magazine」。
皆様が穏やかな日常を取り戻せるその日まで、健やかに過ごせるお手伝いが出来ればという思いを込めて、Vol.65をお届けいたします。
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明日、7月28日は、土用の丑の日。土用の丑の日と言えば「ウナギを食べて、栄養補給!」というイメージが定着していますよね。これは江戸時代から続く風習ですが、もう一つ、「丑湯(うしゆ)」として、暑気払いの薬草である桃の葉をお風呂に浮かべ、「桃の葉湯」を楽しむ風習もありました。この日にお湯に浸かることで無病息災、1年を元気に過ごせるという言い伝えも残っているんです。
そこで今回は、夏の疲労回復とともに、夏の肌トラブルの改善も期待できる「桃の葉湯」をはじめとした、薬草湯について詳しく解説します。さらに、この時期に薬草湯として取り入れたい薬草もご紹介しますよ。
明日の夜は、いにしえの時代に思いをはせながら、心身ともににリラックスして、夏の疲れをいやす薬湯をゆっくり楽しんでみませんか?
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<目次>
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1.「丑湯」をご存知ですか?
先週末から、スーパーでは「土用の丑の日には、ウナギを食べよう!」というPOPと共に、鰻の蒲焼きがずらりと並んでいます。
梅雨明けしたばかりで、身体が強烈な暑さに慣れず、体調を崩しがちな今、栄養豊富な鰻を食べて体力の回復を目指す風習は、私たちの生活にすっかり根付いていますよね。
でも、土用の丑の日がどのように決められているかを答えられる方は、少ないかもしれません。まずは、丑湯についてご説明する前に、「土用の丑の日」について説明します。
「土用」とは、中国の陰陽五行説に基づき、万物の根源とされる「木火土金水」を、春=木、夏=火、秋=金、冬=水に、「土」は立春・立夏・立秋・立冬前の約18日間にあてはめたもの。
季節の変わり目ごとに土用があり、昔はさまざまな禁忌や風習がありました。夏の土用は梅雨明けと重なることが多いため、特に重要視されたことから、「土用」といえば夏の土用(梅雨)をさすことが多くなりました。また、年号に割り当てられることで馴染み深い十二支は、日付にも割り当てられていて、12日ごとに巡っています。子の日(ねのひ)、酉の日(とりのひ)など、なんとなく聞いたことがありませんか?
この土用の間のうち、十二支が丑の日のことを「土用の丑の日」と呼びます。
今年は、7月28日が、この日に当たります。今も昔も「土用の丑の日」前後は、梅雨明け後で、厳しい暑さになれない身体が悲鳴をあげがちなタイミングです。この時期に体調を崩しやすいため、「丑の日に『う』の字が附く物を食べると夏負けしない」という風習がうまれたとされています。代表格の鰻以外にも、瓜(うり:西瓜、胡瓜、冬瓜、苦瓜など)や梅干、うどんに、馬肉(うま)、牛肉(うし)等を食べるとよいと言われていたんですよ。
そして、もう一つの風習が「丑湯(うしゆ)」です。
「丑湯」とは、「土用の丑の日」に夏バテ防止や疲労回復のため、薬草を入れた湯船に入ること。この日に「丑湯」に入ると、一年間、無病息災、元気に暮らせるという言い伝えも残っています。
今と異なり、毎日入浴できなかった時代には、「丑の日のお風呂」は、特別に爽やかなものとされ、ドクダミや緑茶などさまざまな薬草が用いられ、江戸時代には「桃の葉」を入れた「桃湯」が「丑湯」として定着していたそうです。
何故、桃の葉が用いられたのかは諸説ありますが、古来から桃は「魔よけの力を持つ」といわれています。その考えから、暑気払いの意味を含めて、夏の土用には、桃の葉を入れた「桃湯」に入る習慣ができたともいわれています。
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2.夏の不調におすすめな「桃湯」ってどんなもの?
江戸時代から夏の風物詩として用いられていた「桃の葉」ですが、桃の果実にも、夏の不調を改善する、豊富な栄養が含まれているのをご存知でしょうか?桃の果実にはペクチンや、カリウム、ビタミンCなどが豊富で、かつ水分補給にもなるという、まさに夏の果実。
そして、桃の葉には、夏の肌トラブルを改善する豊富なタンニンが含まれています。タンニンがもつ消炎・解熱作用により、肌の炎症を抑えてくれるので、あせもやしっしん、虫さされ対策はもちろん、日焼け後の肌の赤みを抑えたい時にも効果が期待できます。さらにタンニンには、収れん作用もあるので、開きがちな毛穴をキュッと引き締めて、汗の出過ぎを抑えるといった夏の肌トラブルにぴったりな効果があるんです。
また、湯船のお湯にゆったりつかり、冷房で冷えた体を温めながら血流を改善すれば、体内に溜まった疲労物質を排出することができます。さらに、入浴には暑さで高ぶりがちな交感神経を抑え、リラックスできる副交感神経を優位にする効果が期待できるので、心身ともにリラックスできます。
桃の葉の美肌効果と、入浴による疲労回復効果が期待できる「桃の葉湯」。桃の葉のお風呂に入った後の、本当にさっぱりとした感じは、暑さが厳しい今にぴったりですよ。
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3.夏の薬湯におすすめの薬草いろいろ
様々な効果が期待できる「桃湯」ですが、桃の葉以外にも、まだまだたくさんの薬草があります。ここでは、夏の不調におすすめの薬草をいくつかご紹介いたします。
気になる症状や気分に合わせて、ご自宅で薬湯を楽しんでみてはいかがでしょうか。薬湯は、夏の不調を改善するだけでなく、香りによるリラックス効果も期待できます。バスタイムが、もっと楽しくなりますよ。
薬草 | 期待できる効能 |
菖蒲(しょうぶ)※ | 疲労回復、リラックス、血行促進、冷え性・肩こりの緩和など |
枇杷葉(びわよう) | 暑気払い、あせも・湿疹の予防、美肌・美白、疲労回復・冷え性の緩和、捻挫・打撲の緩和など |
金銀花(すいかずら) | 神経痛・腰痛・関節痛 ・打撲・痔の緩和など |
十薬(どくだみ) | あせも・湿疹の予防、美肌、保温、肩こり・腰痛の緩和、疲労回復など |
薄荷(はっか) | 血行促進、冷え性の緩和、クールダウンなど |
熊笹(くまざさ) | 体臭・加齢臭の予防、肩こり・冷え性の緩和など |
スギナ | にきび・あせも・湿疹の予防、むくみ解消、デトックスなど |
ジャーマンカモミール(カミツレ) | 湿疹・肌荒れの予防、保湿、神経痛・腰痛の緩和、リラックスなど |
ローズマリー | リフレッシュ、血行促進、筋肉痛予防、美肌など |
レモングラス | リラックス、疲労回復、デオドラントなど |
※ 菖蒲(しょうぶ)について
ここでご紹介する菖蒲は、綺麗な花を咲かせるアヤメ科の菖蒲ではなく、こどもの日に有名な菖蒲湯に使われるサトイモ科の菖蒲です。緑色の長い葉が印象的ですが、その葉の根元の部分に爽やかな香りの有効成分が含まれています。
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今回は、夏の疲れを解消しながら、美肌効果も期待できる「丑湯」におすすめの桃湯や、夏におすすめの薬草をご紹介しました。
自然の薬箱1階の漢方相談薬局では、桃の葉を1回分を紙パックに包んだ「桃のお風呂」(1袋入り・税込440円)を、夏の季節限定で販売中です。
明日の土用の丑の日は、一年間の無病息災を願いながら、桃の葉の丑湯につかりませんか?
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<次回「Naturalist Web Magazine」のお知らせ>
~2021年8月3日(火)配信予定 ~
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※ 次回予告内容は、変更になる場合がございますので、あらかじめご了承ください。
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~「Naturalist Web Magazine」は、毎週火曜日の配信予定~
今後も、自然の薬箱ならではの様々な情報を予定しています。どうぞお楽しみに。
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