新型コロナウイルスが引き起こす肺炎について、今知っておきたいこと

これまでの日常が大きく様変わりした今。5/Rの会員の皆様も、なれない日々の中でお疲れではないでしょうか。

でも、私たちが皆様に直接お会いできない今、日々積み重なる不安やストレスに押しつぶされてしまう前にどうかセルフケアでご自身をいたわって頂きたい。そんな思いから生まれたのが「Naturalist Web Magazine」です。

「Naturalist Web Magazine」では、自然の薬箱に在籍する漢方・薬膳・ボディケア・鍼灸のプロが、日常生活に簡単に取り入れられるセルフケアや選りすぐりの情報を、わかりやすくお伝えします。更新は毎週火曜日を予定しています。穏やかな日常を取り戻せるその日まで、健やかに過ごせるお手伝いが出来れば幸いです。

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初回の「Naturalist Web Magazine_Vol.1」では、全国に緊急事態宣言が拡大されて間もなく2週間が過ぎようとしている今、「新型コロナウイルスが引き起こす肺炎について、今知っておきたいこと」をお届けします。

メディアでは、なかなかお伝えしきれていない「新型コロナウイルスが引き起こす肺炎は、私たちが普段聞いていた肺炎と何が違うのか」と、「感染しない・発症しないために今私たちできる事」を、自然の薬箱の視点でお伝えします。

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そもそも肺炎はどんな病気なのでしょうか?

製薬会社のファイザーが、9,400人を対象にアンケート調査をしたところ、肺炎に対して「死に至る重篤な病気である」と認識している人は3割未満だったとの統計があります。恐らく、今回の騒動の前であればほとんどの方が「抗生物質を飲んで安静にしていれば治る」病気だと認識していたと思います。

風邪やインフルエンザの延長上にあるもの=「肺炎」としか思われていなかったのが、今回のパンデミックがきっかけとなり、「実は命をいとも簡単に奪うもの」として目の前に立ちはだかったことで、更なるパニックを引き起こしたのではないでしょうか。

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新型コロナウイルスの肺炎は、私たちが知っている肺炎と同じ?

結論からいえば、違います。

今回は、肺炎の様々な種類と分類方法の中から、感染した組織から分類する2種類の肺炎と、その特徴を取り上げます。

1.まず一つ目は「肺胞性肺炎」

この「肺胞性肺炎」が、一般的に知られている肺炎です。

主に細菌等が原因で、肺の末端にある血中の二酸化炭素を取り込み、酸素を送り出す肺胞そのものが炎症を起こすことで、咳と共に多くの痰がでて高熱が伴うのが特徴です。両方の肺に炎症が出ることは稀で、ほとんどの場合は片肺のみの炎症が多く見受けられます。

この場合、抗菌剤(抗生物質)の投与と適切な治療で、肺胞内に溜まった膿みをしっかり体外に排出すれば完治が見込まれます。

 

2.そしてもう一つは、「間質性肺炎」

今、報道される新型コロナウイルスによる肺炎は、この間質性肺炎といわれています。

これは、主にウイルスやアレルギーなどが原因で、肺胞と肺胞の間にある間質と呼ばれる部分が炎症を起こし発症する肺炎です。間質は肺胞を支えている壁のようなもの。間質の炎症が悪化すると、肺胞が線維化し、硬化してしまいます。硬化すると肺胞の動きが妨げられ、肺の機能が低下します。症状は乾いた咳と呼吸困難や呼吸不全で、急激に悪化することがあるので注意が必要です。

この間質性肺炎は、肺胞性肺炎と異なり、両肺の炎症を発症しやすいのも特徴。現在、原因であるウイルスに効果のある治療薬は一部を除き開発途中のため、治療薬は存在せず対処療法のみとなっています。

そして、既にご存知の通り新型コロナウイルスに罹患すると大半の方は無症状、もしくは軽症で治癒していきます。しかし、基礎疾患がある方や高齢者は重篤化しやすく、インフルエンザのような感冒症状に加えて、致死性の間質性肺炎を発症することが論文でも発表されています。間質性肺炎はお伝えした通り、一気に重症化するケースがあり、治療薬が存在しないことから厳しい状況に陥ることが考えられます。

そのため、今世界各国が新型コロナウイルスをなんとか封じ込めようと様々な対策をしているのです。

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感染を防ぐために、私たちにできる事は?

新型コロナウイルスに感染しない、または感染しても軽症で治癒できるようになるにはどうしたらいいのでしょうか?

まず感染しない為に重要なのは、感染者と接触しない事です。そして、報道でも繰り返し伝えられていますが、「手洗い・うがい・マスクの着用」そして「三密」を避ける事です。

新型コロナウイルスは、ご存知の通り飛沫感染と接触感染により感染します。残念ながら、人と人との触れ合いが感染のリスクを拡大させているのが現実です。

今、公園や河川敷、そして商店街には人が溢れ、「三密」を避け切れていない現状があります。長く続く自粛の中で、気晴らしをしたい気持ちはよくわかりますが、今一度なぜ<外出自粛>が要請されたのかを考えてみましょう。

それは、現在の医療では新型コロナウィルス感染症は「手に負えない未知のウイルス」だからです。このウイルスの恐ろしいところは、無症状者が多くいるということ。飛沫感染するということ。そして、免疫力が衰えている人ほど、重症化しやすいということ。

これ以上感染が蔓延して重症化する人を増やさないために必要なのが、全ての人達が不要不急の外出は控え、出歩かないことを意識して生活する事です。

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そしてもう一つ、万が一ウイルスに接触しても発症しない、もしくは軽症で治癒するために重要なのが免疫機能を低下させない事です。

人は一日に2万リットルもの空気を吸い込みますが、綺麗な空気だけを選り好みして吸うことはできません。その為に、吸い込んでしまった空気中の細菌やウイルスに打ち勝つ免疫機能の維持・向上が重要となります。

日々の暮らしに、免疫機能を維持・向上する運動や食事を取り入れることで、ウイルスに打ち勝つための身体づくりをすることができます。

例えば、外出自粛で外での運動は厳しい状態ですが、室内でのストレッチや呼吸法、筋トレなどは気軽にできます。

筑波大学久野研究室(※1)の資料をご紹介しますが、免疫機能を維持・向上することでウイルス感染予防につながり、免疫機能は食事(腸内環境を整えること)、十分な睡眠、 体温を上げる運動(ウォーキングと筋トレ)で維持・向上が可能と伝えています。

http://www.taiiku.tsukuba.ac.jp/~kuno/new_coronavirus/new_coronavirus.pdf

(※1)出典:筑波大学久野研究室/手洗い×睡眠・食事×運動について

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「免疫機能を低下させない」これって普段の生活で出来るの?

もちろん出来ます!免疫機能を維持・向上するケア方法は沢山あるんです!この「Naturalist Web Magazine」で、自然の薬箱から健康に関する情報を、皆さんにお伝えしていきたいと思います。

最初にお伝えする内容は<食事>についてです。

外出自粛でご自宅でお食事をとられる回数が増えていませんか?こんな時だからこそ、薬膳の視点で免疫機能維持・低下させない食材を取り入れた献立を考えてみるのもおすすめです。薬膳というと、特別な食材が必要と思われがちですが、実はスーパーなどで普通に売られている食材で、ご自宅でも作ることができます。

今なら、<免疫機能を衰えさせない食材>と<肺を守る食材>、そして<腸内環境を整える食材>を組み合わせるのがおすすめです。

東洋医学では、身体を守る免疫機能を「正気(せいき)」と呼びます。

正気とは「人の生命力や抵抗力」とされ、「邪気」と呼ばれる疾病の発病因子から、身体を守ってくれるものとしてとらえられています。

正気を養う食材>

米類、豆類、イモ類(山芋)、きのこ類、良質なたんぱく質(鶏肉・赤身肉・青魚・卵)など


そして、呼吸を司る肺は大気の乾燥である「燥邪(そうじゃ)」に侵されやすいといわれています。肺に不調が現れると、肺に通じる器官である鼻、喉などの不調、咳が出やすくなるなどのトラブルが発生することも。肺を燥邪による乾燥から守り、常に潤いを保つことが大切です。特にウイルスは乾燥した空気を好みますので、鼻やのどはもちろん、身体全体の潤いを保つことが重要です。

<肺を潤す食材>

山芋、アーモンド、落花生、白きくらげ、れんこん、ユリ根、杏、いちじく、柿、バナ_Vol.1ナ、みかん、はちみつ、杏仁、松の実、白ごま、銀杏、白砂糖など


これらの食材を組み合わせた献立で、肺や身体の潤いを保ちながら免疫機能を維持する効果が期待できます。

そして、次回の「Naturalist Web Magazine_Vol.2」では、<腸内環境を整える食材>についてお届けいたします。薬膳のシェフによるご自宅で手軽に作れる「腸活アップ薬膳レシピ」を交えながら、腸の免疫機能を向上させるために必要な身近な食材をご紹介。毎日欠かせない「食事」で腸を整えるノウハウをお伝えします!

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今後の「Naturalist Web Magazine」では、

  • ボディケアスタッフによる、免疫機能を低下の原因、ストレスを軽減させるための呼吸方法や瞑想方法
  • はり・灸スタッフによる、おうち時間にぴったりな、セルフでできるツボ押しやお灸の方法
  • 漢方薬剤師による、今の時期におすすめな漢方薬のお話

などの内容をお届けします。いずれも知識と経験豊富な自然の薬箱スタッフが、 自信を持ってお勧めする内容ばかり。「Naturalist Web Magazine」の更新は、毎週火曜日を予定していますのでぜひご覧ください。どうぞお楽しみに。

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あなたとあなたの大切な人の命を守るために、そして STAY HOME を楽しむために、少しでも皆様のお役に立てれば幸いです。