秋の養生 ~「温燥」のための薬膳 ~
「一雨一度」の言葉通り、雨のたびに少しずつ秋らしい空気が漂うようになりました。まだ夏日の日もありますが、季節はゆっくりと秋へと舵を切り始めたようです。
毎週火曜日にお届けしております、自然の薬箱の「Naturalist Web Magazine」。
皆様が穏やかな日常を取り戻せるその日まで、健やかに過ごせるお手伝いが出来ればという思いを込めて、Vol.22をお届けいたします。
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秋といえば厳しい暑さも和らぎ、湿気も減ってきて大分過ごしやすくなる時季ですね。しかし、日によって寒暖差が大きいため、気候の変化やご自身の体調の変化などにしっかりと意識を向けておかないと、風邪をひきやすい時季でもあります。
秋は、夏の暑さでダメージを受けた体を癒して体力を回復し、来るべき厳しい冬を越す準備期間のようなものです。そこで今回は、夏の影響がまだ残る秋の前半にフォーカスして、夏に受けたダメージのケア方法や、秋に気になる乾燥対策、そして、薬膳の視点からこの時季にぜひ取り入れていただきたい食材を解説いたします。
今回も、国際薬膳師監修のご自宅で作れる「『温燥』の時季にオススメの薬膳」レシピもご紹介しますので、ご自宅でお手軽に薬膳をお楽しみいただけますよ。
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< 目次 >
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1.「温燥」とは?
秋は移り変わりの季節。前半と後半とでは、気温の差がとても大きくなりますよね。中医学でも、秋はほかの季節と違い短い期間で真夏から真冬に向かう期間であることから、秋の前半を「温燥」後半を「涼燥」と呼び、区別します。
「温燥」は、夏の暑熱がまだ残っている状態に、秋の乾燥が加わるという特徴があり、
「涼燥」は、秋の乾燥の上に冬の寒気が加わるという特徴があります。最近は、温暖化の影響で「温燥」が少し長くなっているので、10月の中頃までは「温燥」と考えても良いでしょう。
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2.「温燥」を快適に過ごすための4つのポイント
今はまさに、「温燥」の時季。潤いを守るとともに、体にこもる熱をうまく外へ出すことが大切になります。この時季を快適に過ごすための4つのポイントをご紹介しましょう。
① 気温の変化に対応できるように準備しよう
季節の変わり目は昼と夜では寒暖差が激しくなります。日によっては、昼は冷房が必要なくらい暑くても、夜になれば肌寒くなることも。しっかりと朝起きたら天気予報などで情報を確認して、寒暖差が激しそうなときは上着など羽織れるものを準備しましょう。
また、地球温暖化の影響もあり、10月中頃までは日中に気温が30℃を超えることがあり、電車や外出先では、引き続き冷房を継続使用していることもあります。冷えが気になる方は、ストールやカーディガンなどの羽織れるものを持ち歩くようにしましょう。足首や首もと、腰回りなども冷えやすい場所のケアも忘れずに。
② 乾燥に注意しよう
夏と比べると、秋は汗があまり出ないため、のどの乾きを感じにくくなり、水分摂取を怠りがちです。水分が足りていないかも?と少しでも感じた方は、のちほどご紹介する食材(特に潤燥食材)を、スープなどにして摂取するのがおすすめです。
お弁当などでは、なかなか汁物は取りづらいのですが、秋から冬にかけて効率的に水分を取り入れるためにも、家では汁物を積極的に取り入れるようにしましょう。
③ 乾燥からくる肺の不調をケアしよう
中医学では、季節によって注意したほうがよい臓器が、移り変わっていいきます。
肝(春)→ 心(夏)→ 脾(梅雨)→ 肺(秋)→ 腎(冬) |
秋は肺の季節といわれ、この時季は肺を補うことが大事です。咳や痰、鼻づまりなど、肺の不調症状が出やすい時季ですので、
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- しっかりと深い呼吸を意識する
- 外出から戻ったらうがいをする
- 睡眠時のマスク着用
- 加湿器を上手に活用する
- アロマ対応加湿器やアロマディフューザーで、ユーカリやティートリーなどの肺のケアに良いアロマを活用する
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といったケアを行うのがおすすめです。次の項でご紹介する「補肺の働きのある食材」を取り入れた食養生と共に、早めに予防していきましょう。
④「早寝早起き」を意識しよう
古代中国で書かれた書物「黄帝内経(こうていだいけい)」では、秋の養生の一つとして
「秋は鶏のように早く寝て、早く起きると良い」
と書かれています。
これは、秋の養生の要は、朝に余裕をもって過ごすということを指しています。
起きたら窓を開けて空気を換気し、しっかりと深い呼吸を意識しながら、日光を浴びましょう。その時に、その日の気温を感じ取るように心がけてください。時間がある方は朝の散歩をするととても良いです。
また、食事は次の項でご紹介するおすすめの食材を取り入れるようにして、汁物を献立に取り入れていくと「温燥」を快適に乗り切ることができ、「涼燥」への変化にも対応していけるようになりますよ。
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3.薬膳の視点で「温燥」から身を守る食材
<補気 hoki> 夏の疲れを改善し、温度差にも対応できるように体内の気を補う ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ お米、鶏肉、豆類、かぼちゃ、じゃがいも、長芋、しいたけ、さつまいも、鮭、サワラ など |
<潤燥 jyunsou> 秋の邪気である燥邪に対応し潤いを補う ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ 豚肉、豆腐、牛乳、白ゴマ、白きくらげ、梨、豆乳、ホタテ、リンゴ、卵、はちみつ、枸杞 など |
<補肺 hohai> 秋に活動が活発になる肺の働きを助ける ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ 長芋、ゆり根、アーモンド、大根、柿、梨、チーズ、松の実、クワイ、銀杏、リンゴ など |
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4.国際薬膳師おすすめ!「温燥」の時季の薬膳レシピ2種
おすすめの食材はわかったけれど、具体的なレシピも知りたい!と思いますよね。
そこで、今回もカフェ&キッチンより、国際薬膳師のシェフおすすめ!『「温燥」の時季の薬膳レシピ2種』をご用意しました。今回は、メイン料理の豚ミンチを使った豆腐ハンバーグと、お米を使ったデザートの2種類です。
季節の変わり目で、体調に不安を感じる方もこれで安心!珍しい食材も難しい手順も不要で、ご自宅で手軽に「温燥」の時季にオススメの食材を使った薬膳が作れますので、ぜひご覧ください。
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国際薬膳師おすすめ!
「温燥」の時季の薬膳レシピ2種は こちら>>
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< 先取り情報 > この秋、自然の薬箱 国際薬膳師 淺井秀信による「オンライン薬膳入門講座〜秋の養生編〜」を開催予定です。 ※秋の養生について詳しく知りたい方、手軽にご自宅で薬膳を作りたい方にピッタリの講座です。(※ ご参加の方には薬膳茶をプレゼント) 詳細が決まりましたらお知らせいたしますので、今しばらくお待ちください。 |
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初秋は残暑の影響で不足した体液をしっかりと補いながら、気力と体調を整えていくのが大切です。早寝早起きなど生活のリズムを乱さないように心がけながら、「温燥」から身を守る食材を取り入れることで、季節の変わり目に起きやすい体調不良や風邪を予防することができます。
自然の薬箱2F「Cafe&Kitchen」でも、薬膳の観点で、身体を潤すことに適した食材や、気や肺の働きを補う食材をお選びして心を込めてお料理をお作りしています。
美味しい季節を迎えた旬のお野菜や食材をシェフが美味しく仕上げた彩り豊かなお料理の数々は、心にも体にもパワーをくれますよ!
毎週メインディッシュが変わるランチメニューも大好評!店内のお席の間隔を確保して席数を限定するなど、感染予防対策に努めていますので、ぜひご予約のうえご利用ください。
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「Naturalist Web Magazine」お届け内容は、いずれも知識と経験豊富な自然の薬箱スタッフが、 自信を持ってお勧めする内容ばかり。「Naturalist Web Magazine」の更新は、毎週火曜日を予定していますのでぜひご覧ください。どうぞお楽しみに。
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次回の「Naturalist Web Magazine_Vol.23」では、
「アロマセラピストの本棚から」をお届けします。
読書の秋にぴったりの「癒し」に関する本をご紹介。自然の薬箱のアロマセラピストが実際に読んで活用している3冊を取り上げます。癒しやアロマについて学びたい方、新しいジャンルの本に挑戦したい方におすすめです。
※ 次回予告内容は、変更になる場合がございますので、あらかじめご了承ください。
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