知ってほしい!骨とヨガの関係

10月もあと少し。あと半月もすれば、紅葉やイチョウが色づき始め、秋ならではの美しい光景があちらこちらで見られるようになりますね。

毎週火曜日にお届けしております、自然の薬箱の「Naturalist Web Magazine」。

皆様が穏やかな日常を取り戻せるその日まで、健やかに過ごせるお手伝いが出来ればという思いを込めて、Vol.26をお届けいたします。

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今年は、新型コロナウイルスの蔓延の影響で私たちのライフスタイルも激変しました。健やかでいることの大切さや難しさを肌で感じ、自分の健康について改めて考え始めた方も、多いのではないでしょうか。

今、世の中には健康について様々な情報が溢れて、日々新たな健康法も生まれていますが、あまり注目されていないのが「骨」についてです。

「骨」は、人が生きる上で重要な役割をしていますが、一般的に関心度は高くありません。でも、骨が丈夫であれば、年齢を重ねても生活の質を維持できます。

そこで今回は、改めて「骨」がどのような役割をしているのか、意外と知られていない、骨を丈夫にするのにヨガがおすすめな理由を解説。さらに、女性なら誰でも気になる加齢とともに起きやすい、骨粗しょう症の予防法にもなるヨガのポーズなどを、自然の薬箱のヨガインストラクター 田島理帆よりお届けいたします。

今からすぐ始められる「骨」を丈夫にするため方法を、毎日の生活に取り入れてみませんか?

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<目次>

 1.   まずは骨の役割を振り返ろう

 2.   骨を強化するには刺激が大事!

 3.   更年期が来たら骨粗しょう症に注意!

 4. 骨の強化にヨガがおすすめな理由って?

 5.   大切なのは運動に食事、そしてしっかり休むこと


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1.まずは骨の役割を振り返ろう

私たちの形を作っている骨は身体を支えるだけでなく、血液を作り出したりと、生きる上で欠かせない働きをしています。

骨が担う5つの役割を振り返ってみましょう。

支持 全身の骨格を形成し、人体を形作る共に体重を支える
運動 筋肉・腱につながり、身体の動きを作り出す
保護 脳や内臓を保護する
貯蔵 カルシウムやリンなどのミネラルを貯蔵し、それらの血中濃度を一定に保つ
造血 骨髄において、血液細胞を形成する


この中でも、注目したいのが「運動」の部分。私たちが活動していくために、とても重要な働きです。

下の図を見てみましょう。

引用元:葛西整体院ブログ

ここで、重要なのは「筋肉は骨(骨格)についている」ということです。

いつまでも元気でいるためには、筋肉を鍛えて筋力を維持することが大切です。さらに、その力を受け止める骨(骨格)も、強くしなやかで丈夫な状態でなければいけません。

身体を元気に動かしていくためには、筋肉だけではなく、まずはそれを支える骨格を丈夫にする必要があるんですね。


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2.骨を強化するには?

では、骨を強くするためには、どうしたら良いのでしょうか?

骨を強くするということは、骨密度を高め、骨を太くしていくことが大切です。そのためには、骨への縦方向の刺激と横方向の刺激が必要になってきます。 

① 縦方向の刺激ってどんな刺激?
私たちが毎日行っている、歩く・走る・ジャンプなどで、骨に対して縦に直接刺激が伝わる動きになります。

② 横方向の刺激ってどんな刺激?
これは、筋が骨を引っ張ることの刺激です。筋肉は骨の色々な部分についています。筋肉が動くことで、骨を引っ張る刺激が入っているのです。

ちなみに、まだ骨が出来上がっていない小さい子供が、跳んだり跳ねたり、筋肉が骨を強くひっぱる運動を繰り返すと、膝のお皿の骨の下が痛くなったり(オスグッド病)、ひどい場合は剥離してしまうような損傷を引き起こしてしまいますので、注意しましょう。

③ 骨が刺激を受けると?
骨が刺激を受けると、破骨細胞によって骨が壊れて、その後に骨芽細胞が骨を新しく作り直すことで、骨が新しくなってきます。この2つの細胞のバランスが取れてこそ、骨が丈夫になってきます。

実は、宇宙に行くと骨がもろくなるといわれています。これは、宇宙では無重力状態で骨に刺激が与えられず、骨の再構築が行われないため。日々の程よい運動は、筋肉だけでなく骨にも必要なものなんですね。


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3.更年期が来たら骨粗しょう症に注意!

常に壊しては作り、壊しては作りを繰り返して再構築を続けることで、私たちの身体を支えてくれている「骨」。実は、骨の再構築には女性ホルモンの一つである「エストロゲン」が深くかかわっているのをご存知でしょうか。

エストロゲンは、破骨細胞を制御する働きがあります。加齢に伴ってエストロゲンが低下すると、破骨細胞の働きが活発になり、骨芽細胞の働きが追い付かなくなり、骨粗しょう症を引き起こします。

そのため、なるべく早い段階から、運動をして普段から骨を丈夫にしておくことが、骨粗しょう症を予防する大切なポイントになるのです。


引用元:日本臨床内科医会・女性のミカタ


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4.骨の強化にヨガがおすすめな理由って?

では、骨粗しょう症を予防するにはどうしたらよいのでしょうか?

まずは、適度な運動をで骨に刺激を与えましょう。骨の血液の流れをよくし、骨芽細胞の働きを活発してくれます。しかし、激しい運動は、負荷がかかりすぎてしまうので、ほどほどが大切です。

そこで、おすすめしたいのがヨガです。

ヨガは自律神経を整えたり、筋肉を動かして姿勢を整えたりと体に良いことがたくさんありますが、骨に刺激を与える運動としてもおすすめなんですよ。跳んだり、跳ねたりという動作はあまり行いませんが、呼吸に合わせて一定時間ポーズをキープしていくので、筋肉が骨を引っ張り、刺激を加えることができます。ヨガの動きは、骨にはとても良い刺激になるんですね。

ヨガはゆっくりした動きなので、怪我のリスクも低く、手軽に始められます。初心者でもできる簡単なポーズでも骨に刺激を与えることができますので、骨粗しょう症対策の一つとして気軽にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

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それでは、ヨガインストラクターがおすすめする、ご自宅でできるヨガのポーズを3つご紹介しましょう。

初心者でも気軽にできるポーズです。特別な道具も広いスペースも必要ありませんので、おうち時間のひと時に取り入れてみてください。骨に刺激を与えるのはもちろん、気分転換にもおすすめですよ。

① 椅子のポーズ(ウトゥカタアーサナ)

後ろの椅子に座るようにお尻を後ろに引きます。
自分のつま先と膝が同じ向きになるように意識をしてみて下さい。
背中やお尻、脚の筋肉を使っていきます。

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戦士のポーズⅠ(ヴィラバトラアーサナ)

足を前後に大きく開きます。
後ろ足のつま先は外側に向けましょう。
両足の裏で大地を踏みしみて、力強くポーズをとっていきましょう。
脚、お尻の筋肉を使っていきます。

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③ 体側伸ばしのポーズ(パールシュヴァッコーナーサナ)

戦士のポーズⅠの状態から、上半身を前に倒します。
後ろの足から、指先までが一直線になるようにしましょう。
体幹、脚、お尻の筋肉を使っていきます。

 

ヨガの動きは、大きな負荷をかけることなく、骨に適度な刺激を与えることができます。今回ご紹介したポーズのほかにも様々な動きがありますので、ご興味がございましたら自然の薬箱で開講中のヨガレッスンに参加してみてはいかがでしょう?インストラクターと一緒に様々な動きを楽しみながら骨に刺激を与えることができますよ。


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5.大切なのは運動に食事、そしてしっかり休むこと

丈夫な骨を作るには適度な運動が大切です。でも、運動だけしていては、骨に刺激を与えて壊すだけになってしまいます。骨を作るためには、骨の栄養となるカルシウム・ビタミンD・ビタミンKなどが必要。ビタミンDは日差しを浴びることで体内で生成されますが、カルシウムとビタミンKは体内で生成することができませんので、食べ物から摂取する必要があります。

それぞれの栄養を多く含む食材をご紹介しますので、日常生活でも積極的に摂取していきましょう。

カルシウム
(骨をつくる成分)
牛乳・乳製品、小魚、干しエビ、小松菜、チンゲン菜、大豆製品など
ビタミンD
(カルシウムの吸収を助ける成分)
※ビタミンDは紫外線を浴びることで体内でも作られます。天気の良い日は散歩に出て、日光を浴びましょう。
ビタミンK
(骨形成を促進し、骨を壊す作用を抑制する成分)
納豆、ホウレン草、小松菜、ニラ、ブロッコリー、サニーレタス、キャベツなど

食事でとった栄養を体内に取り込んでいくためには、休養も大切です。

昔から「寝る子は育つ」といいますが、これは、子どもに限ったことではありません。人の身体は、しっかりと睡眠をとることで、身体に栄養が吸収されて、骨が作られますので、寝不足はNG!

さらに、睡眠中には大人も子供も「成長ホルモン」が多く分泌されます。成長ホルモンは、幼少期は身体の発育を促進しますが、大人になると日中の心身の疲れ、ストレスを解放、組織を修復、老化の進行を抑制する効果があるといわれています。

骨のためにも、疲れをとるためにも、睡眠をたっぷりとって、体を休めるよう心掛けましょう。

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今回は、私たちの身体を支えている骨を丈夫にするために必要な知識や、おすすめのヨガのポーズをご紹介いたしました。

現在、50歳以上の女性の3人に1人が、骨粗しょう症で悩んでいるといわれています。症状が進むと背中が曲がったり、歩くと体が痛くなったりすることもあるので、早くから予防することがなにより大切です。

いくつになってもアクティブで美しくいるためにも、日常生活から体を動かして、骨から元気にしていきましょう。

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次回の「Naturalist Web Magazine_Vol.27」では、

「薬膳で肺機能を高め、免疫力アップ!」をお届けします。

秋も深まり、空気が冷えてきて乾燥への対策がより一層必要な時期となってきました。この乾燥(燥邪)は、特に肺の機能を低下させ、免疫機能にも影響を及ぼします。そこで、肺機能を高めるための養生のコツと、再び感染拡大が心配されているコロナを予防するために、中医学の視点での養生法とオススメ薬膳食材のご紹介、薬膳レシピ2種類もお伝えします。

※ 次回予告内容は、変更になる場合がございますので、あらかじめご了承ください。

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過去の<Naturalist Web Magazine>バックナンバー

Vol.25_「秋の憂い」を感じたときにおすすめ!「気」を整える漢方

Vol.24_「 秋は憂い(うれい)の季節 」東洋医学的ストレス解消のヒント!

Vol.23_アロマセラピストの本棚から

Vol.22_秋の養生 ~「温燥」のための薬膳 ~

Vol.21_まだまだ注意!秋の「脱水症状」

Vol.20_9月9日は重陽の節句!菊の伝統文化のたしなみと漢方薬のお話

Vol.19_季節の変わり目に知っておきたい!自律神経と目の関係って?

Vol.18_ブルーの精油『ジャーマンカモミール』の涼し気なアロマソープを手作りしよう!

Vol.17_残暑を乗り切るために!脾胃(ひい)を整えるための薬膳のススメ

Vol.16_ステイフォーム中にチャレンジ!コロナ太りを解消するには?

Vol.15_夏バテしている場合じゃない!夏に役立つ漢方薬

Vol.14_鍼灸師おすすめ!夏のマスク不調の解消&予防法!

Vol.13_健やかで美しい暮らしのためのあれこれ

Vol.12_薬膳で暑気払い!酷暑を乗り切ろう!

Vol.11_知っておきたい!東洋医学の知恵と夏の過ごし方

Vol.10_お顔と頭のツボでリフレッシュ!

Vol.9_今だから知っておきたい!運動と免疫の関係って?

Vol.8_ 手指消毒の手荒れが気になる今!ハンドケアアイテムを手作りしよう!

Vol.7_むくみを解消!内湿を取るための薬膳

Vol.6_長期戦に備えよう!慢性疾患のある方も必見!身体を整えるための漢方薬

Vol.5_巣ごもり不調を改善!〜セルフお灸のススメ<応用編>~

Vol.4_お灸で免疫機能アップ!~セルフお灸のススメ<基本編>~

Vol.3_ストレスに負けない!心と身体を作る小さなアイデア 

Vol.2_腸活で<免疫機能>をキープ&アップ! 

Vol.1_知っておきたい!肺炎と免疫機能のこと 

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