ウイルスや花粉から「からだを衛る(まもる)力」を漢方でサポート!
このところ、新型コロナウイルスの新規感染者数も徐々に減少し続けていますね。緊急事態宣言も愛知を含む6県で解除されましたが、まだしばらくは、リバンウンドさせない意識を一人ひとりが持って過ごしていきたいですね。
毎週火曜日にお届けしております、自然の薬箱の「Naturalist Web Magazine」。
皆様が穏やかな日常を取り戻せるその日まで、健やかに過ごせるお手伝いが出来ればという思いを込めて、Vol.44をお届けいたします。
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2月下旬から、日本でもコロナワクチンの接種が始まりましたね。そもそも、ワクチンとは、私たちの免疫機能の力を利用して、あらかじめ病気に対する抵抗力を高め、発病のリスクを抑える事を目的として使用されています。
このように、私たちを病気から守ってくれる免疫機能ですが、一方ではアトピー性皮膚炎や花粉症などのアレルギー症状とも関係しており、免疫機能が暴走すると、時として不快な症状となって現れてしまうこともあるのです。
私たちの身体の中には、免疫に関わる細胞も、異物を実際に攻撃する物質(主に抗体)も複数存在しています。そのため、西洋医学では、免疫に関わるウイルス感染と、異物に対するアレルギー症状とでは、それぞれ異なる治療法で対処します。
ところが中医学では、ウイルス感染とアレルギー症状のどちらにも活用できる漢方処方があります。代表的なものに「玉屏風散(ぎょくへいふうさん)」という処方が挙げられます。では、なぜ同じ漢方がつかえるのでしょうか?
そこで今回は、自然の薬箱の漢方薬剤師 木村良栄より、難しい言葉を使ったり免疫反応の詳細に触れたりはせず、体内を舞台に繰り広げられる「籠城戦(ろうじょうせん)」に例えて、同じ1つの薬がウイルス感染にもアレルギー症状にも使える理由を、ご紹介します。
※籠城戦(ろうじょうせん)=守る側からみた戦い
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<目次>
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1.知っているようで知らない?免疫ってどんなもの?
免疫とは、私たちを外界の異物から守るバリア機能の一つです。
異物が体内に侵入する時の最初の砦となるのは、「物理的バリア」と呼ばれる皮膚と粘膜です。お城の門だと思ってください。粘液や常在細菌の力も借りて、通常はおおまかな異物をここで排除します。
しかし、異物がとても小さいものであったり、皮膚や粘膜に傷があったり、炎症が起きていたりすると異物の侵入を許してしまいます。体内に入ってきた異物を排除するために戦う兵隊の役目をするのが「免疫学的バリア」(ここでは免疫と呼びます)と呼ばれるものです。
今、関心を集めている「ワクチン」は、
「最近外にこんな悪い奴がいて中に入ってくるかも知れないから、きたらすぐ攻撃できるように準備しといてね」 |
と、あらかじめ免疫に情報を伝える伝達係。万が一、予想が外れて病気になっても、準備していたからダメージが少なくて済むというメリットもあります。
その一方で免疫は、それほど攻撃をする必要のない異物を、排除するために暴れすぎてしまい、お城の壁や仲間を傷つけてしまう事があります。これが「アレルギー」と呼ばれる状態です。さらに、時に激しく暴れすぎてしまい、お城が崩れてしまいそうなほど被害が出ることがあり、これが「アナフィラキシーショック」と呼ばれる状態です。
でも、免疫は話せばわかる兵隊ですから、
「こんなちょっと変わった奴が入ってくるかもしれないけど、そんなに悪い奴じゃないから話せば出てってくれるよ」 |
と、あらかじめ知らせておけば、静かに解決してくれます。
この性質を利用したアレルギーの治療法が「減感作療法(げんかんさりょうほう)」と呼ばれるものです。免疫兵隊へのお知らせの仕方にコツがいるので、必ず医師の指示のもとで受けなければなりません。気になる方は、かかりつけ医や、専門医に相談してみてくださいね。
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2.ウイルス感染にもアレルギーにも使える玉屏風散って?
免疫とは「体内で働く兵隊」と紹介しましたが、皮膚、粘膜のところで門番として働くものもあります。中医学では、これを「衛気(えき)」と呼びます。文字通り、私たちの体を護衛してくれる力のことです。
お城の中でケンカをすると、物が散らかったり汚れたり、時には仲間が怪我をしたりするので、なるべく外で解決したいもの。でも、ウイルスやアレルギー物質などの異物が多すぎたり、力が強すぎたり、何らかの原因で「衛気」をしっかり張り巡らせることができなかったりすると、異物の侵入を防ぐことができなくなります。
そこで登場するのが、大切な衛気を助けたり、整えたりする効果を持つ薬「玉屏風散(ぎょくへいふうさん)」。門番を助ける役割を持つので、異物が体内に入って戦いが始まってからではなく、あらかじめ備えて服用するか、症状が出はじめてから時間をおかずに飲むのがおすすめですよ。
自然の薬箱では「衛益顆粒(えいえきかりゅう)」として店頭で取り扱っております。1包からお求めいただけますので、気になる方はぜひお試しください。
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3.症状別!花粉症に使える漢方
新型コロナは、まだまだ落ち着ついたとは言い切れない中、今年も花粉症の季節が始まりました。各地方、軒並み去年より多く飛散すると予想されています。花粉症の方にとっては辛い季節が始まりましたよね。そこで、「玉屏風散」では抑えきれないときにお試しいただきたい、花粉症に使える漢方薬を紹介します。
いずれの漢方も、症状がつらくなってから飲むのではなく、早め早めに飲むのがおすすめです。眠くなったり、喉や鼻の粘膜を乾燥させたりといった副作用もないので、安心です。
自然の薬箱の漢方相談薬局で詳しい症状をお聞かせいただければ、おすすめの処方をご案内しますので、お気軽にご相談ください。
<花粉症に!症状別おすすめ漢方薬>
小青竜湯 (しょうせいりゅうとう) |
たらたらと止まらない鼻水に。目のしょぼつきがある時に |
麻黄附子細辛湯 (まおうぶしさいしんとう) |
冷えがあり、さらさらとした鼻水が出る時に |
辛夷清肺湯 (しんいせいはいとう) |
黄色で粘性の鼻水や、鼻づまりがある時に |
越婢加朮湯 (えっぴかじゅつとう) |
鼻づまりの他、まぶたが腫れたり、目が充血する時に |
洗肝明目湯 (せんかんめいもくとう) |
流涙、充血など目の症状がひどい時に |
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今回は、春ならではの不調に悩まされないよう、からだを衛る力をサポートする漢方についてのお話と、多くの方がお悩みの花粉症に使える漢方についてご紹介してきました。
今年は、ウイルスやアレルギー物質の侵入を防ぐ漢方を上手に取り入れてみませんか?きっと、春を快適に過ごせるようになりますよ。
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<次回「Naturalist Web Magazine」のお知らせ>
~2021年3月9日(火)配信予定 ~
「Naturalist Web Magazine_Vol.45」では、
「東洋医学 はじめの一歩~ツボの起源~」をお届けします。
腹痛や頭痛、胸の動悸など、体や心の不調があると思わず手や指で押したり、さすったりする場所がありますよね。実はそれ、無意識にツボを刺激しているんです。
普段の生活の中で、誰に教わるわけでもなく、なにげなく押しているツボですが、そもそもツボってどんなものなのでしょう?
次回は、ツボの起源と経絡(けいらく)という、ツボが点在するエネルギーの流れについて解説しながら、春の養生に役立つツボについてもお伝えします。ツボのことをもっと知りたい!と思う方はもちろん、春になると体調が芳しくない…とお悩みの方にもおすすめの内容です。経絡とツボを理解すると、東洋医学がもっと面白くなりますよ。
※ 次回予告内容は、変更になる場合がございますので、あらかじめご了承ください。
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~「Naturalist Web Magazine」は、毎週火曜日の配信予定~
今後も、自然の薬箱ならではの様々な情報を予定しています。どうぞお楽しみに。
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