東洋医学 はじめの一歩 ~知ってるようで知らない「ツボ」~

空気が乾燥してカラカラだった冬と入れ替わるように、空気が潤いはじめ、一雨ごとに暖かくなってきました。とはいえ、大きな寒暖の差がある時期です。体調に気を付けながら、春を迎えたいものですね。

毎週火曜日にお届けしております、自然の薬箱の「Naturalist Web Magazine」。

皆様が穏やかな日常を取り戻せるその日まで、健やかに過ごせるお手伝いが出来ればという思いを込めて、Vol.45をお届けいたします。

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腹痛や頭痛、胸の動悸など、体や心の不調があると思わず手や指で押したり、さすったりする場所がありますよね。実は、私たちは不調を感じると、症状を和らげるために無意識にツボを刺激しているんです。

普段の生活の中で、誰に教わるわけでもなく、なにげなく押しているツボですが、そもそもツボってどんなものなのでしょう?ツボの事をよく知らないのに、なぜ私たちは、無意識に押してしまうのか?不思議ですよね。

そこで今回は、ツボの起源、経絡(けいらく)というツボが点在するエネルギーの流れに関するお話、さらに、春の養生に役立つツボについて、自然の薬箱の鍼灸・あん摩マッサージ指圧師 三原優子がお伝えします。ツボのことをもっと知りたい!と思う方はもちろん、春になると体調が芳しくない・・・とお悩みの方にもおすすめの内容です。経絡とツボを理解すると、東洋医学がもっと面白くなりますよ。

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<目次>

1.ツボって何だろう?

2.わかるようでわからない「気」と「経絡」ってどんなもの?

3.東洋医学の「東洋」って?

4.ストレスを感じたときにおすすめ!春の養生ツボ

5.メディカルチーゴン(中医学氣功)とお灸のレッスンのお知らせ

 


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1.ツボって何だろう?

例えば、頭が痛い時にこめかみを押したり、腰が痛い時にどこが痛いのかピンポイントでわからないけど、思わずさすってしまうことはありませんか?押したりさすったりしてしまう場所が、まさに「ツボ」なのです。ツボの事を知らなくても、ついつい手が伸びてしまう不思議を、これから解明していきましょう。

ツボの効能については東洋医学独自の考え方で説明されることが多いため、西洋医学的なエビデンスがないものだと思われがちです。本当に効くの?と疑問に思われる方もいらっしゃいますよね。

実は、WHO(世界保健機関)において、ツボの治療効果は医学的有効性が認められているんです。治療効果が認定されているツボは、なんと361種類も!

では、ツボとは一体どのようなものなのでしょう?

まずは、その歴史から紐解いていきます。ツボの歴史は古く、2,000年以上前の石器時代の人々は、磨いて尖らせた石や魚の骨、温めた石で、体のツボに刺激を与えていたことが、ツボと鍼灸の起源だと考えられています。

治療法として確立したのは古代中国。まだ医学が確立されておらず、病を治すには祈祷頼みだったころです。辛い症状を少しでも和らげようと、身体の一部をさすったり、押したりしているうちに症状が改善されることに着目し、治療法の一つとして徐々に体系化されていったものが「ツボ治療」です。

2,000年以上の歴史を持つツボですが、正式には「経穴(けいけつ)」と呼ばれ、体を流れるエネルギーの中継地点であり、筋肉と筋肉の間や、筋肉と骨の間などに多く存在します。

WHOが認めただけでも361種類もあるツボは、内臓と密接な関係があります。体の不調を感じたとき、その原因と密接な関係のあるツボを刺激すると、血液の流れや、ツボとツボを結ぶ経絡(けいらく)の流れが改善され、不調の原因も改善されていくのです。

例えば、足の太衝(たいしょう)のツボを押すと、その刺激は経絡を通っていったん脳に達し、自律神経を司る視床下部へ伝わります。すると視床下部から指令が出て、そのツボに関係する内臓(太衝の場合は肝)の働きを調整し、精神を落ち着かせ気分を和らげ、血流と冷えを改善するというしくみです。

ツボを押して気持ちが良かったり、ズーンと響くような鈍い痛みがあるときは、そのツボに関連する内臓や関連する器官が弱っていることを知らせる合図。ツボは体の異常が現れるポイントであり、体の不調を改善するポイントでもあるんですね。

 


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2.わかるようでわからない「気」と「経絡」ってどんなもの?

ツボってなんだろう?と調べてみると必ず出てくる言葉が「気」と「経絡(けいらく)」。ツボを理解する上で、この2つは欠かすことができないものなのです。

そもそも、東洋医学では身体を構成する基本的な要素として「気」「血」「水」(き・けつ・すい)があります。

「気」とは全身に分布する生命エネルギーのこと。気の流れが滞ると、体調が崩れて気力もなくなり、文字通り「病気」なると考えられています。ツボを刺激することで気の流れが良くなり、全身にエネルギーがみなぎります。

「血」は血液が運ぶ栄養分とその機能を示し、「水」は血以外のすべての体液とその機能を示します。東洋医学では、3つの生命エネルギーのバランスを正常にすることが、日々の健康につながると考えます。

この3つの生命エネルギーの内の「気」と「血」の通り道が経絡です。私たちの身体には、下記の12種類の経絡があり、それぞれが臓腑(六臓六腑)と結びついています。

 

<六臓に入る経絡> <六腑に入る経絡>
・肝経(かんけい)
・心経(しんけい)
・脾経(ひけい)
・肺経(はいけい)
・腎経(じんけい)
・心包経(しんぽうけい)

※心包=心臓を包む外膜のこと

・胆経(たんけい)
・小腸経(しょうちょうけい)
・胃経(いけい)
・大腸経(だいちょうけい)
・膀胱経(ぼうこうけい)
・三焦経(さんしょうけい)

経絡はそれぞれの名前のついた臓腑と深い関係を持ち、働きを調整しています。

この他に、身体の前面の正中線を走行する任脈(にんみゃく)と、体の後面正中線を走行する督脈(とくみゃく)があります。

臓腑と関連し、全身に張り巡らされている経絡。「気血」の流れが滞ると、体表面にあるツボに不調が現れます。ツボに刺激を与えると、経絡を通じて体の不調が改善されていきます。ツボは経絡の出入り口の役割を担っているのです。

 


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3.東洋医学の「東洋」って?

さて、ここまで何度か登場してきた「東洋医学」という言葉ですが、「東洋」とは、どの地域を指しているのかご存知ですか?

「東洋」とは、アラビアより東を指すとても広大な地域のこと。アラビア医学、インドのアーユルヴェーダ、インドネシアのジャムウ、チベット医学、中医学、モンゴル医学、韓国の韓医学、日本漢方を含みます。

日本で一般的に言われている「東洋医学」は、中国伝統医学をもとに生まれ、日本で独自に発展した「日本漢方」を指しています。

日本に鍼灸が伝わったのは奈良時代。遣唐使が、仏教とともに中国の伝統医学を日本に持ち帰ることで広まっていきました。その後、明治時代に西洋医学の医療制度が始まるまで、鍼灸と漢方薬は1000年以上にわたって日本の医療の中心となり、人々を癒してきたのです。

現代では、病気ではないが何となく体調がすぐれない状態、「未病」に関する予防医学、精神的な疾患、慢性疾患において、東洋医学が再び注目されています。

 


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4.ストレスを感じたときにおすすめ!春の養生ツボ

早春は、3日寒い日が続いたら4日温かい日が続くというような寒暖差で、自律神経の交感神経の働きが優位になり、興奮状態になりがちです。精神を和らげる効果のあるツボで、ストレスの多い春を乗り切りましょう!

太衝(たいしょう): 肝経のツボ
足の甲の第1中足骨と第2中足骨が合わさる場所。
足の親指と人差し指の間をたどっていくと、指がとまるところ。

<効能>

精神を落ち着かせ気分を和らげる効果、眼精疲労、かすみ目、頭痛、生理不順、脇痛
内関(ないかん): 心包系のツボ
手のひら側の手首のしわの中央から肘に向かって指幅3本分のところ。
前腕にある長掌筋腱と橈側手根屈筋腱の間にあります。

<効能>

精神的なストレス、食欲不振、動悸、イライラ、肋間神経痛、乗り物酔い、消化器系の症状
外関(がいかん): 三焦系のツボ
手の甲側の手首のしわの中央から肘に向かって手首の横紋より指幅3本分のところ。前腕後面 橈骨と尺骨の間にあります。

<効能>
眼精疲労、頭痛、めまい、腰痛、乗り物酔い、寝違い

 


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5.メディカルチーゴン(中医学氣功)とお灸のレッスンのお知らせ

ツボのことはだんだんわかってきたけれど、本やネットの情報を見てツボを押してみても本当にあっているかわからない・・・という方に、おすすめのレッスンをご用意しました。

3月28日(日)はじめての方もOK!

「メディカルチイゴン(中医学氣功)とお灸のレッスン」

詳しくは、こちらをご覧ください >>>

中医学氣功は、漢方や鍼灸、薬膳とともに中医学の一環であり、欧米でも(Medical Qigong メディカルチイゴン)と呼ばれ、地位を獲得しているセルフケアメソッド。

今回は、春ならではのストレスに負けず、自分にも周りの人たちにもやさしく穏やかに過ごせるような心とからだ作りをレッスンしていきます。

さらに、鍼灸師による、体調をくずしやすい春をすこやかに過ごすためのツボのお話と、火を使わないお灸が体験できる盛りだくさんのレッスンです。古来からのセルフケアである中医学氣功とツボで、心も身体もすっきり整えてみませんか。

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今回は、東洋医学の一つである「ツボ」についてご紹介してきました。

ツボの世界は奥深く、興味深いものです。一見敷居が高く感じるかもしれませんが、ちょっとしたすき間時間に、今回ご紹介した3つのツボを押すだけでも立派なセルフケアになるので、是非お試しください。春ならではの不調を抜け出すきっかけになりますよ。

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<次回「Naturalist Web Magazine」のお知らせ>

~2021年3月16日(火)配信予定 ~

「Naturalist Web Magazine_Vol.46」では、

「更年期とうまく付き合おう」をお届けします。

女性なら誰もが通る更年期。多くの方がネガティブなイメージを持っていますが、一概に更年期=女性にとって悪いことが起きる時期ではありません。更年期の正しい理解を通して、更年期とうまく付き合うヒントをお届けします。

※ 次回予告内容は、変更になる場合がございますので、あらかじめご了承ください。

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~「Naturalist Web Magazine」は、毎週火曜日の配信予定~

今後も、自然の薬箱ならではの様々な情報を予定しています。どうぞお楽しみに。

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