更年期と上手に付き合いましょう!

イギリスには、「3月はライオンのようにやってきて、子羊のように去る」ということわざがあるそうです。「3月のはじめにはライオンのように荒れた天候が多くなるが、終わりのほうは仔羊のように穏やかな天候になる」という意味だそう。

イギリスと日本の気候は同じではありませんが、日本の3月も風が強かったり、めまぐるしく天気や気温が変化したりしますね。3月の折り返し地点を迎えた今、穏やかでうららかな春まで、あともう少しといったところでしょうか。

毎週火曜日にお届けしております、自然の薬箱の「Naturalist Web Magazine」。

皆様が穏やかな日常を取り戻せるその日まで、健やかに過ごせるお手伝いが出来ればという思いを込めて、Vol.46をお届けいたします。

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女性なら、誰もが通る更年期。

しかし、更年期というと「更年期→更年期症状→更年期障害」といったネガティブなイメージを、ついつい持ってしまいますよね。でも、一概に「更年期=女性にとって悪いことが起きる時期」といったものではありません。

そこで今回は、更年期の正しい理解を通して、様々な症状と上手に付き合うヒントを、自然の薬箱 ヨガインストラクター 田島理帆 よりお伝えいたします。

女性は、ホルモンに色々な影響を受ける人生だからこそ、更年期とうまく付き合っていってほしいと願いをこめて、更年期とは何か?更年期を正しく理解するために、発生のメカニズムを解説しながら、特徴的な症状をご紹介します。

あわせて、諸症状が気になり始めたときに取り入れたい、更年期障害と上手に付き合うための方法もお伝えします。

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<目次>

1.更年期とは

2.更年期症状、 更年期障害とは

3.更年期症状はなぜ起こる?

4.更年期とうまく付き合おう


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1.更年期とは

40代、50代の不調を「更年期だから・・・」とか「プレ更年期かな・・・」など、何気なく使っているこの「更年期」という言葉。漠然としたイメージはあるけれど、正しい定義はどのようなものなのでしょうか。まずは、更年期とはどのような時期を指すのか、順にご紹介していきましょう。

女性には、4つのライフステージ「思春期・性成熟期・更年期・老年期」があり、閉経を挟んだ前後5年、計10年のことを「更年期」と呼びます。

月経は、妊娠出産の準備のために、10~15歳くらいからはじまり、徐々に年齢を重ねていくと、身体が「もう、妊娠、出産はしなくてよいよね」と判断して卵巣機能が働かなくなることで、閉経していきます。医学的には、最後の月経から1年以上月経がなければ、1年前を振り返って「閉経」と判定します。

平均的な日本人女性の閉経年齢は、50.5歳といわれていますが、個人差があり40代で閉経する人もいれば、56〜57歳ぐらいまで月経がある人もいます。一般的に更年期といわれる世代は、40代後半から50代前半となりますが、今 自分が更年期かどうかは、実際に閉経が来ないと判断がつきづらいものです。


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2.更年期症状、更年期障害とは

個人差があるものの、実に女性の9割が更年期ならではの症状に悩んでいるともいわれています。では、実際にどのような症状が起きるのでしょうか。

【 代表的な更年期の症状 】

・頭痛 ・めまい ・不眠
・イライラ ・ホットフラッシュ
 (ほてり・のぼせ)
・むくみ
・肩こり ・腰痛 ・手足の痛み

ここで注意をしたいのが、これらの症状があっても、日常生活に支障がない人もたくさんいるということです。

個人差がありますが、更年期症状が、日常生活に影響を及ぼすようになって、はじめて「更年期障害」として治療が必要になるので、一概に「更年期=ネガティブ」なイメージに直結するのではないということなんですね。

また、先にご紹介した更年期症状の例は、更年期だけではなく、他の病気の影響も考えられます。したがって、他の病気の可能性を全部取り除いて、まだその症状が起こる状態であれば「更年期障害」と診断されるのです。

 


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3.更年期症状はなぜ起こる?

それでは、更年期症状はどんなメカニズムで起こってくるのでしょう?

私たちの脳にある、視床下部から性腺刺激ホルモンが出され、それによって、脳下垂体から卵胞刺激ホルモン(FSH)と、黄体化ホルモン(LH)が分泌されます。
この2つのホルモンが、卵巣に届くことで、卵巣からエストロゲン(女性ホルモン)とプロゲストロン(黄体ホルモン)が分泌され、2つのホルモンの働きにより、毎月妊娠の準備をしています。


引用:https://www.daiichisankyo-hc.co.jp/health/symptom/30_kounenki/

しかし、加齢によって、エストロゲンの分泌量は減っていきます。
そのため、脳の視床下部から、「エストロゲンだしてね!」という命令が下っても、命令されたエストロゲンの量が分泌できないため、脳の視床下部が混乱してしまうのです。

さらに、この「エストロゲンをだしてね!」と命令を出す視床下部は、自律神経や内分泌系の命令、ストレスを感知する中枢です。なので、視床下部が混乱をするということは、自律神経、内分泌系、ストレスを感知する場所、全てに影響を与えてしまうのです。
一般に、この視床下部の混乱が、更年期症状を引き起こす主な原因だといわれています。



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4.更年期とうまく付き合おう

では、一体どのように対応したらこの更年期の時期を乗り越えられるのでしょうか?
更年期と上手く浮きあうためのヒントをご紹介しましょう。

<更年期症状がつらく治療に取り組みたい方>
生活に支障をきたすほど症状がつらい方は、病院(産婦人科)を受診してみましょう。

ホルモンは自分でコントロールできないものです。今は、ホルモン補充療法という治療法が浸透してきています。ある研究では、このホルモン補充療法で更年期症状が改善した割合が、治療開始後1か月後で90%、2か月後で85%、3か月後で95%とかなり高くなっています。副作用やリスクの可能性もドクターからしっかり聞いて、一つの選択肢として考えてみましょう。

ホルモンの減少を受け入れて、自然な方法で症状を改善していきたい方には、漢方薬がおすすめです。漢方は、体のバランスの変化に対応していくことに長けた治療法です。症状の現れ方や体質、その方の生活環境、ストレスの度合い、心身の状態などはおひとりお一人異なります。充分な時間をかけて相談でき、きめ細やかな処方を選んでくれる漢方相談という方法もあります。更年期世代は、仕事の責任、家事の負担、ときには介護など様々なストレスがかかってくる時期でもありますので、漢方相談でじっくりとお話をすることで心の負担が軽くなることもあります。

自然の薬箱の「漢方相談薬局」でも、女性薬剤師がお一人お一人の体質や症状に合わせた処方をいたしますので、お気軽にご相談ください。

<生活の中で工夫して症状の改善をしていきたい方>
全ての症状に有効な、万能な方法はありませんが、日々の生活の中で工夫を出来ることが沢山あります。おすすめの方法を3つご紹介しますので、いつもの日常に取り入れてみてくださいね。

① ストレスをためない生活習慣を
日常的にストレスを受けると、自律神経やホルモンバランス、免疫機能の乱れにつながっていきます。まずは、ストレスを抱え込まない思考法を試したり、ご自身のストレス解消法を実践したり、心に余裕をもって過ごせると良いですね。

例えば、ストレスが溜まってきたと感じた際、まずは落ち着いて1回深呼吸をしてみましょう。「ま、いいか。」とつぶやいてみるのも良い方法。そして、お風呂にゆっくり使ってリラックスしたり、自然がたくさんあるところへ出かけてみるなど、ご自身に合った方法で、ストレスを解放しましょう。

② 生活に大豆食品を取り入れましょう!
最近、健康が気になる方の間で話題になっている、大豆製品に含まれている「大豆イソフラボン」。健康食品コーナーに足を運ぶと、サプリやお菓子タイプなど、様々な「大豆イソフラボン」のアイテムが並んでいる理由をご存知ですか?

何故なら、大豆イソフラボンが変化すると、女性ホルモンに似た成分「エクオール」に変化してくれるから。「エクオール」は、更年期を迎えると不足しがちな女性ホルモンの代わりとなって、更年期症状の緩和や骨密度の維持に力を発揮してくれると、健康意識の高い人々の間で注目されている成分なのです。

更年期が気になり始めたら、積極的に大豆食品を取り入れて、エクオールの力を借りましょう。通常は、大豆製品を食べれば、腸内で大豆イソフラボンの一種がある腸内細菌によってエクオールに変化してくれます。ただし、人によっては、大豆イソフラボンからエクオールに変化させてくれる腸内細菌が体に少ない場合もあります。

自分がエクオールを作ることができるのか気になったら、「エクオール検査(※1)」という検査でチェックすることもできます。
(※1)https://www.otsuka-plus1.com/shop/pages/equelle_lp_nb_soycheck.aspx

③ 適度な運動
ある研究では、更年期症状のなかに含まれている、肩こり、疲れやすい、腰痛、不眠、気分の浮き沈みなどは、継続的な運動により、緩和したとのデータ(※2)があります。適度な運動で体に刺激を入れることで改善する効果が期待できますので、日々の生活の中で少しでも体を動かす時間を作るように心がけましょう。
(※2)更年期症状に対する研究結果ではありません。

特にヨガは、呼吸を意識して行うことで、自律神経のバランスを整える効果も期待できるので、心身のバランスを整える上でもおすすめですよ。

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今回は、更年期の不調が起こるメカズムと、辛い症状を緩和するためのヒントをお届けいたしました。更年期は女性なら誰でも通る道です。今、元気な方は、それを維持するための生活習慣を身につけましょう。そして、今、更年期症状で悩んでいる方は、病院や漢方薬局で相談して、ご自身にあった更年期との付き合い方を見つけるのが上手に乗り切るコツですよ。

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<次回「Naturalist Web Magazine」のお知らせ>

~2021年3月16日(火)配信予定 ~
「Naturalist Web Magazine_Vol.47」では、
「4月からの新しい『自然の薬箱』について」をお届けします。

先日、会員様にはご案内を郵送させていただきましたが、次回Vol.47では4月からの『自然の薬箱』が、皆様にご提供するサービスについてご説明します。

※ 次回予告内容は、変更になる場合がございますので、あらかじめご了承ください。

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~「Naturalist Web Magazine」は、毎週火曜日の配信予定~

今後も、自然の薬箱ならではの様々な情報を予定しています。どうぞお楽しみに。

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