旬の野菜が持つ力「フィトケミカル」で身体の内側からキレイに!
いつもご利用ありがとうございます、自然の薬箱の千田です。
9月に入って東海地方では、秋雨前線の影響で雨の日には涼しい日もありますが、晴れた日には気温が30度を超えることも多く、気温差の大きな月初です。天気予報では、30度を超える日もあとわずかのようです。残暑ももう少しの我慢ですね。
毎週火曜日にお届けしております、自然の薬箱の「Naturalist Web Magazine」。
皆様が穏やかな日常を取り戻せるその日まで、健やかに過ごせるお手伝いが出来ればという思いを込めて、Vol.71をお届けいたします。
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スーパーの野菜売り場をのぞいてみると、黄色や緑、赤にオレンジ、紫、白、黒など、実に様々な色をした野菜や果物が並んでいますよね。色とりどりの野菜は見ているだけでも楽しいものですが、何故、人参はオレンジで、ナスが紫など、カラフルな色をしているのかご存知ですか?
実は、あのカラフルな色を作っているのは、近年注目を集めている「フィトケミカル」。生命の維持に欠かせない5大栄養素(タンパク質・糖質・脂質・ビタミン・ミネラル)、第6の栄養素である食物繊維に続き、第7の栄養素とも呼ばれる「フィトケミカル」は、一体どのような役割をしているのでしょうか?
そこで今回は、「フィトケミカル」ってどんなもの?どんな役割をしているの?などの疑問を解決しながら、これからの時期、上手に取り入れて身体の内側から綺麗になれるヒントをお届けします。あわせて「フィトケミカル」が効率よく取れるおすすめの野菜やレシピもご紹介しますので、毎日の献立にご活用ください。
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<目次>
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1. 「フィトケミカル」ってどんなもの?
近年、ブルーベリーなどに多く含まれる、「アントシアニン」や、お茶に含まれる「カテキン」、トマトに含まれる「リコピン」といった成分の名前を耳にすること増えていますよね。
実は、これらの成分はすべて「フィトケミカル」(別名:ファイトケミカル)と呼ばれるものなのです。フィトは、phyto=「植物の」、ケミカルは、chemical=「化学成分」という意味から出来ている言葉です。
フィトケミカルは、野菜、果物、豆類、いも類、海藻などの植物に含まれる化学成分のこと。植物が紫外線や有害物質、害虫などから身を守るために作り出した色素や香り、アク、辛味などです。植物が生きてゆく為に欠かすことができない成分であるため、次のような、非常に強い「抗酸化作用」や「抗菌作用」を持っています。
・紫外線に晒されることによって生まれる活性酸素を中和する作用
・種を酸化から守る作用 ・害虫から身を守る作用 |
植物にとって欠かせないフィトケミカルですが、種類はなんと数千以上あるといわれており、そのほとんどが人が摂取した場合でも、同様の効果を発揮してくれると言われています。
そのため、野菜や果物を摂取することで、抗酸化作用による老化予防や美肌効果、代謝の促進に免疫機能の維持、脳機能の強化など、身体の内側から綺麗になれると期待され、今最も注目を集めている成分なのです。
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2. 「フィトケミカル」が持つ力って?
様々な効果が期待できるフィトケミカルは、野菜の種類によって、含まれている成分が異なります。代表的なフィトケミカルについて、期待される効果や多く含む野菜とあわせてご紹介しましょう。
成分名 | 期待される効果 | 含有食材 | |
ポ
リ フ ェ ノ | ル 類 |
アントシアニン | 抗酸化作用、眼精疲労の緩和、内臓脂肪増加抑制、花粉症予防など | ブルーベリー、ビルベリー、カシスなどの黒色や紫色の野菜や果物 |
イソフラボン | 更年期障害の緩和、骨粗鬆症予防、生活習慣病予防、美肌など | 大豆・大豆加工食品 | |
リグナン | 女性ホルモン様物質による、更年期障害の改善など | ゴマ・亜麻仁 | |
カテキン | 脂肪吸収抑制作用、抗アレルギー作用、抗菌作用など | 紅茶・緑茶等の渋み成分 | |
タンニン | 抗酸化作用、収れん作用、下痢改善、美白など | 赤ワイン・番茶・柿 | |
カ
ロ テ ノ イ ド 類 |
ルテイン | 加齢黄斑変性予防、白内障予防、眼精疲労緩和、美肌など | 緑黄色野菜・黄パプリカ、マリーゴールド |
アスタキサンチン | 抗酸化作用、眼精疲労緩和、動脈硬化予防、疲労回復、美白・美肌など | 鮭、いくら、えび | |
リコピン | 血流改善作用、血栓除去作用、生活習慣病予防、視機能改善、美肌など | トマト・すいか | |
βカロテン | 抗酸化作用、がんの予防、血中コレステロール低下、皮膚や粘膜の保護 | にんじん・ほうれん草・ピーマン・かぼちゃ・かんきつ類・スイカ | |
ゼアキサンチン | 抗酸化作用、加齢黄斑変性予防、白内障予防、眼精疲労緩和、視機能改善など | パプリカ・ほうれん草・とうもろこし・パパイヤ・マンゴー・クコの実、サフラン | |
香
辛 成 分 |
ラズベリーケトン | 脂肪燃焼作用、育毛など | ラズベリー |
カプサイシン | 血流改善作用、脂肪燃焼作用など | とうがらし・赤パプリカ | |
ジンゲロール・ショウガオール | 血流改善作用、免疫賦活作用、冷え・頭痛・吐き気の改善、血中コレステロール低下など | しょうが | |
アリシン | 血糖上昇抑制作用、血流改善作用、疲労回復、生活習慣病予防、食欲増進など | にんにく・たまねぎ | |
そ
の 他 |
GABA(ギャバ) | アドレナリン分泌抑制作用、血圧低下作用、リラックス効果、ストレス緩和など | 玄米・味噌・キムチ・漬物・ナス・カボチャ |
ナットウキナーゼ | 血栓除去作用、高脂血症予防、高血圧予防、動脈硬化予防など | 納豆 | |
テアニン | リラックス効果、ストレス軽減、集中力上昇、血行改善、安眠など | 緑茶・紅茶 | |
フコイダン | 免疫賦活作用、抗アレルギー作用・生活習慣病予防など | めかぶ・もずく・こんぶ | |
クロロフィル | 抗酸化作用、血中コレステロール低下、デトックス、貧血予防など | 海藻類・クロレラやスピルリナ等の藻類・ほうれん草・小松菜・ブロッコリー |
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3. 「フィトケミカル」の効果的な取り方って?
ファイトケミカルは、身体機能維持に必要な、五大栄養素「たんぱく質、脂質、炭水化物(糖質)、ビタミン、ミネラル」とは異なり、欠乏症の心配はない栄養素ですが、様々な病気を予防する効果が期待できるので積極的に取り入れたいものです。
私たち人間は、体内でフィトケミカルを作ることはできませんので、体外から摂取することで、初めてその恩恵を受けることができるのです。
フィトケミカルを体外から摂取する方法、それは「野菜や果物を食べる事」にほかなりません。普段、私たちは野菜や果物を食べる時、それらに含まれるフィトケミカルを色や香り、辛みや苦みとして感ることはあれど、そのほとんどを無意識に摂取していますよね。
でも、せっかくならフィトケミカルを意識して効果的に取り入れたいものですが、
どのようにしたら、効果的にフィトケミカルを摂取することができるのでしょうか?
日々の食事を通じて、フィトケミカルを効果的に摂取するコツをご紹介しましょう。
<目指すは5~7色!色数を意識しよう!>
一日の食事の中で、野菜の色数を意識してみましょう。色々な種類の色の野菜を積極的に摂るようすることで、様々なフィトケミカルをまんべんなく摂ることができます。フィトケミカルの多くは熱に強いので、調理方法ではなく色数にこだわる方が効果的です。
<デザート代わりに旬の果物を>
食後のデザートがやめられない方に。旬の果物には、フィトケミカルやビタミンCが豊富に含まれています。特に実と皮の間には、栄養素がたくさん含まれている事が多いので、皮ごと食べるのがおすすめです。ただし、果糖も多く含まれるので食べ過ぎは禁物。200g程度に抑えてくださいね。
<目指すは野菜1日350g!>
まずは、厚生労働省が掲げている成人1日の野菜摂取目標量は350gを目指して、毎日の食事を意識してみましょう。毎食1~2品の野菜の小鉢やサラダを意識的にとることで、かなり近づくことができます。
※参考:厚生労働省 e-ヘルスネット 副菜料理の料理例と目安
さらに、色の濃い野菜(トマトやほうれん草など)を120g程度取り入れれば、フィトケミカルをさらに効率的に摂取できますよ。
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4. 「フィトケミカル」たっぷりの薬膳レシピ2種
フィトケミカルを意識した食事を心掛けたい!と思ったら、旬の野菜や果物をたっぷり使う薬膳レシピがおすすめです。栄養価が高い旬の野菜や果物を使うことは、フィトケミカルもたっぷり含まれています。また、季節に合わせた食事は、身体が一番欲してる栄養が豊富に含まれていますので、体調管理にも最適です。
今回は、フィトケミカルを効果的に摂取できる上に、夏の疲れをいやす夏野菜をたっぷり使った白ワインマリネと、間もなく旬を迎える柿を使ったサラダプレートの薬膳レシピをご紹介します。
フィトケミカルを豊富に摂取できるだけでなく、薬膳の効果も期待できる、身体が喜ぶレシピをぜひお楽しみください。
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【 鶏ハツと夏野菜の白ワインマリネ 】
残暑に疲れた身体にぴったり!野菜たっぷりの白ワインマリネ。大棗(タイソウ)は、ナツメの赤い実を乾燥させたもので、自然な甘味があり、夏の暑さでイライラした心を静めてくれる効果が期待できます。自然の薬箱の薬局や、中華食材のコーナーで入手できますよ。
< 材料 > (2人分)
ハツ、レバー | 合わせて200グラム |
ミニトマト | 10個 |
玉ねぎ | 1/4個 |
セロリ | 1/2本 |
赤パプリカ | 1/4個 |
黄パプリカ |
1/4個 |
ズッキーニ |
1本 |
エキストラバージンオリーブオイル |
適量 |
< マリネ液>
大棗白ワイン(*下記参照) | 200ml |
濃口醤油 | 大さじ1.5 |
砂糖 | 大さじ1 |
はちみつ | 大さじ1 |
塩 | 適量 |
タイム | 適量 |
黒コショウ | 適量 |
レモンスライス | 2枚 |
*大棗白ワイン
大棗を、作る一週間くらい前に白ワインに漬けておく。ある程度保存が効くので、多めに作っておいておくと良い。
大棗 (タイソウ:ナツメの実) | 20グラム |
白ワイン | 200ml |
< 作り方>
1.マリネ液を作る
- マリネ液を作る。大棗を漬けた白ワイン200mlを鍋に入れて沸騰させた後、弱火でしばらく火にかけてアルコールを飛ばす。
- アルコールが飛んだら火を止め、レモンスライス以外のマリネ液の調味料を合わせて冷ましておく。
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2.具材の準備をする
- ハツ、レバーはカットをして血の部分を洗い流し、茹でて粗熱をとっておく。
- ミニトマトは湯むきをしておく。
- 玉ねぎ、赤パプリカ、黄パプリカは厚めのスライスし、ズッキーニ、セロリは厚めにカットする。
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3.調理する
- フライパンに多めのエキストラバージンオリーブオイルをいれ、ズッキーニに焼き目をつけて、取り出しておく。
- エキストラバージンオリーブオイルを追加して、セロリ、玉ねぎに焼き目をつけて赤パプリカ、黄パプリカも軽くさっと焼く。
- 先に作っておいたマリネ液をフライパンに入れて、茹でたハツとレバーを入れて、液を沸騰させる。沸騰したら湯むきしたミニトマト、レモンスライスを入れて、そのまま自然に冷ます。
*アツアツでなくてもいいので、少し温めてからお召し上がりください!
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< 薬膳的効能 >
生津(滋陰)・・・トマト、ズッキーニ 清熱・・・トマト、セロリ 安神・・・鶏の心臓、大棗(タイソウ ※乾燥したナツメの実) |
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< 薬膳解説 >
ポイントは、マリネ液に使用した大棗を浸け込んだ白ワイン!薬膳としての効能を高めるだけでなく、とても食べやすい爽やかな一品となります。
鶏のハツやレバーは血を多く含む食材なので今の時季に負担がかかりやすい、心を補う食材として効果的です。トマトやズッキーニなど旬の食材は体を適度に冷まして、身体に必要な水分を補い、セロリや、たまねぎが気の流れを良くして、イライラや興奮状態を沈めます。
※参考「薬膳素材辞典」、「性味表大事典」
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【柿と大根の潤いサラダ ねぎと白ゴマのドレッシング 】
柿とチーズの組み合わせを味わっていただきたい、ワインがよく合うレシピです。ゴマのドレッシングが潤いを補います。ゴマを使うと和のイメージが強くなりますが、今回は洋風のワインがあうテイストに仕上げました。身体を冷やしすぎないようにする食材も含まれているので、秋でも安心して食べることができるサラダです。
< 材料 > (2人分)
♢玉ねぎと白ゴマのドレッシング
玉ねぎ(みじん切り) | 100g |
オリーブオイル | 適量 |
酢 | 50g |
すりごま | 50g |
はちみつ | 40g |
塩 | 3g |
♢ 柿と大根の潤いサラダ
柿 | 1/2 個 |
大根 | 100g |
モッツァレラチーズ | 100g |
紫蘇 | 適量 |
アーモンド | 適量 |
黒コショウ | 適量 |
<作り方>
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1.具材の準備をする
- 玉ねぎはみじん切りにします。アーモンドはトースターなどで、軽く煎っておきます。
- 柿、大根をイチョウ切りにします。その大きさに合わせて、モッツァレラチーズをカットします。
- 大葉は色が変わるので、盛り付けの直前に千切りにします。
2.調理する
- 玉ねぎ以外のドレッシングの材料を合わせます。オリーブオイルに酢を少しずつ合わせていき、分離しないように気を付けましょう。底がしっかり混ざったところで、玉ねぎを加えます。
- 柿、大根、モッツァレラチーズを器にのせて飾ります。ドレッシング、黒コショウ、直前に紫蘇をカットしてのせ、アーモンドを飾ったら完成です。
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<薬能と食材>
補 肺・・・アーモンド、大根、柿、チーズ 辛温解表・・紫蘇、黒コショウ 潤 燥・・・白ゴマ、はちみつ |
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<薬膳解説>
玉ねぎ、紫蘇、黒コショウは、身体を温める食材なので、これからの時期のサラダぴったり。あわせて、肺の潤いを補うために、もうすぐ旬を迎えるの柿や大根などの補肺の食材を使いました。ドレッシングには白ゴマとはちみつを使用して、さらに効果を高めています。
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今回は「フィトケミカル」の持つ力についてご紹介しながら、効果的に摂取するためのポイントや、薬膳レシピなどをご紹介しました。
植物が生き残るために身につけた「フィトケミカル」の力を分けてもらうことで、私たちも日々を健やかに過ごす力を得ることができるようになります。そのためにも、まずは1日350gを目標に、毎日野菜を摂取するように心がけていきましょう!
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<次回「Naturalist Web Magazine」のお知らせ>
~2021年9月14日(火)配信予定 ~
「Naturalist Web Magazine_Vol.72」では、
「アーユルヴェーダにふれる ~心身ともに幸福に満ちた人生を送る「智慧」~」をお届けします。
五千年の歴史をもつインド・スリランカ発祥の伝統医療「アーユルヴェーダ」。神秘的なイメージを持たれている方も多いかもしれませんが、実はいにしえの時代から脈々と受け継がれてきた「生命科学」であり伝統医学が「アーユルヴェーダ」なのです。
次回は、「アーユルヴェーダ」の起源から現在にいてるまでの歴史を紐解きながら、基本的な考え方とヨガとの関係などをご紹介します。世界最古の伝統医学であり、生命科学の源ともいえる「アーユルヴェーダ」の世界を覗いてみませんか?
※ 次回予告内容は、変更になる場合がございますので、あらかじめご了承ください。
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~「Naturalist Web Magazine」は、毎週火曜日の配信予定~
今後も、自然の薬箱ならではの様々な情報を予定しています。どうぞお楽しみに。
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