秋の憂いを乗り切るために~気を整える漢方で不調から脱出しよう~

いつもご利用ありがとうございます、自然の薬箱の千田です。

いつもより遅い秋が始まったとたん、急に冷え込むようになりました。今年は例年より短い期間になりそうですが、様々な楽しみがある秋を存分に楽しみたいものですね。

毎週火曜日にお届けしております、自然の薬箱の「Naturalist Web Magazine」。

皆様が穏やかな日常を取り戻せるその日まで、健やかに過ごせるお手伝いが出来ればという思いを込めて、Vol.77をお届けいたします。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

今回は「秋の憂い」が引き起こす気の不調についてお届けいたします。

季節外れの残暑が、やっと終わりを迎えたとたんに急降下した気温のせいで、身体が付いていかない、という方も多いのではないでしょうか?いつもは上手に季節の変わり目を乗り越えられている方でも「今年はなかなか切り替えが付かない」と嘆く方もいらっしゃるほど。

せっかく緊急事態宣言が明けて、実りの秋を楽しもうと思っていても、身体がなかなか動かない…という方はもちろん、身体はどこも悪くないのに何となくやる気が出ない、気力がわかない、心が疲弊してしまい、うまく気持ちをコントロールできないなど、このような時にこそ知っておきたい、秋の憂いと大きくかかわっている「気」について解説いたします。

さらに、「気」の低下を解消し整えてくれる漢方薬を、身体的症状に合わせてご紹介いたします。「気」を上手にコントロールして、短い秋を存分に楽しみましょう。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

<目次>

 1. そもそも「気」ってなんだろう?

 2.   「気」の働きってどんなものがあるの?

 3. 「気」の働きが低下すると様々な不調を引き起こすって本当?

 4. 「気」を調整する漢方で不調から脱出しよう!


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
1.そもそも「気」ってなんだろう?

「気力にあふれている」「気が抜けた」など、私たちはよく「気」という言葉を使いますよね。でも、その正体を説明しようとすると、漠然としたイメージしかなく、上手く言葉に表すことが難しいもの。「気」の正体って、すごく気になりますよね。

東洋医学において、人間の体は「気・血・水(き・けつ・すい)」の3つの要素から成り立っていると考えます。「気・血・水」は、「血≒血液」や「水≒体液」といった目に見える物質以外にも、目に見えない「気≒エネルギー」を捉え、さらに「気・血・水」それぞれが持つ働きをも含めた意味を持っているという東洋医学独特の概念。そして、この3つが体内をバランスよく循環することで、健やかな状態が保たれてると考えます。

とはいえ、「血、水」は、物質的な側面の「血液」と「体液」として理解しやすいものですが、「気」は捉えにくい概念ですよね。例えば、ひと昔前のアニメで敵をやっつける時に手から放たれる光のパワー、あれも「気」の一つ。というと、少し胡散臭く感じる方も多いかもしれませんよね。そこまで大げさなものではありませんが、「気」は私たちが生きている限り常に身体の中を巡っていて、時に体温を作り出したり、体内の「血」や「水」の流れを整えて全身にバランスよく巡る為に必要なエネルギーなのです。

例えば、嬉しいことがあると身体が軽くなりますが、嫌なことがあると身体が重くなり、免疫力が下がって体調を崩しやすくなることがありますよね。これは、身体を巡っている「気」が少なくなったり、巡りにくくなっている状態です。そのため、普段は「気」の力を借りて巡っている「血」や「水」も停滞してしまいまい、3つのバランスが崩れて不調を引き起こすと考えられます。

 


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
2.「気」の働きってどんなものがあるの?

私たちの身体を巡ってくれている「気」には実に様々な働きがあります。「気」がどのような働きをしているのか、5つの作用に分けてご紹介しますね。

①推動(すいどう)作用
主に血や水を身体中に巡らすはたらきです。また、成長発育にも関わり、五臓が活発に動くための原動力です。

②温煦(おんく)作用
身体を温めるはたらきです。気によって体温は一定に保たれます。「煦」の文字は「あたためる」を意味します。

③防御(ぼうぎょ)作用
害となる環境要因、つまり外邪から身体を守るはたらきです。気が充実していれば免疫機能が整います。

④固摂(こせつ)作用
必要なものを保持するはたらきです。血液や体液、汗や尿などが必要以上に漏れ出ないように、また、内臓を正しい位置に留めます。気が不足すると、不正出血や内出血、暑くない時の発汗、内臓下垂などが起こります。

⑤気化(きか)作用
ある物質を他の利用可能な物質に変化させる働きを持ちます。例えば、食物の消化、吸収、分解や、体液から汗や尿を作り排泄することなどを指します。

どの作用も、私たちが生きていく上で大切なものばかりです。だからこそ、「気」を整えることが健康につながるんですね。

 


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
3. 「気」の働きが低下すると様々な不調を引き起こすって本当?

私たちの生命の営みに欠かせない「気」。様々な理由で「気」の流れが滞ったり、不足してしまうと、たちまち心や身体に様々な不調となって現れてしまいます。

東洋医学では「気」は、体内に適切な量が保たれ、血、水と関わりながら全身を巡っている状態が良い状態だと考えられ、何らかの原因で、気が不足してしまった状態を「気虚(ききょ)」、流れが滞った状態を「気滞(きたい)」と呼び、次のような不調が現れることがあります。

気虚
(ききょ)
気が不足してしまった状態
疲労倦怠、無気力、精神不安定や不眠といった症状がおこりやすくなる
気滞
(きたい)
気の流れが滞った状態 
気虚の症状に加えて、イライラや、お腹の張り、げっぷなどの身体症状を伴う不調が起き、ひどくなると不安定に変化する痛みが現れてしまうこともある

気虚や気滞が続くと、ストレスをうまく処理する事が難しくなり、身体的な不調だけでなく、うつ症状の原因になることも。まさに「病は気から」という言葉通り、「気」の乱れは様々な不調を引き起こす原因となってしまうんですね。

 


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
4.「気」を調整する漢方で不調から脱出しよう!

前回の「NWM_Vol.76」でもお伝えしましたが、秋は「憂い」が起きやすい季節。気分が落ち込むと身体の「気」の流れが悪くなってしまい、心身ともに不調を感じやすくなってしまいます。

そんな時は、「気」を養うためにも、疲れをため込んだり、身体が冷えることは避けて、睡眠や休息をたっぷりとること、食事の際にはなるべく消化のよいものを腹八分目でとること、これらを心掛けてください。

さらに、「気」の不調をしっかり整えて、こころも身体もすっきりしてくれる漢方薬を取り入れることもおすすめです。西洋医学の薬とは異なり、眠気を起こす成分は入っていませんので、安心して飲むことができますよ。

今回は、症状別の処方をご紹介しますので、参考にしてみて下さいね。

① 気虚を整えるための「補気剤」

六君子湯
リックンシトウ
食欲不振、食後の腹部膨満感、胃内に水分が停滞している方に
補中益気湯
ホチュウエッキトウ
病気や過労などで疲労困憊した時や、身体虚弱に
参苓白朮散
ジンレイビャクジュツサン
消化不良や軟便、水様性下痢、食欲不振が著しい方や、全身倦怠感がある方に
帰脾湯
キヒトウ
疲れやすく胃弱で、さらに過労や疲労が重なり、不安感、不眠の症状がある方、出血傾向があり貧血気味の方に
加味帰脾湯
カミキヒトウ
帰脾湯に準ずる。加えてのぼせやほてり、イライラのある方に

  

 

② 気を巡らせるための「理気剤」

半夏厚朴湯
ハンゲコウボクトウ
胸のつかえや、のどの不快な閉塞感があり気分が優れない方に
香蘇散
コウソサン
頭痛や頭重感、耳鳴り、肩こり等があり、胃腸虚弱からくる腹満・腹痛・悪心・嘔吐を伴うときに
釣藤散
チョウトウサン
イライラやのぼせを伴って、めまい、朝方の頭痛、目の充血などがある方に ※中高年以降の高血圧傾向や神経質な方に合う
抑肝散
ヨクカンサン
イライラして興奮しやすい。腹満感・食欲不振、筋肉緊張気味。小児のひきつけの処方としても
平胃散
ヘイイサン
胃もたれ、胃に食べ物や水が残りやすい方に

 

③ 気持ちのたかぶりを鎮めて穏やかにする「安神剤」

甘麦大棗湯
カンバクタイソウトウ
泣いたり笑ったり興奮が激しい時。不眠傾向であくびが頻発する方に
酸棗仁湯
サンソウニントウ
心身が疲弊している方、考え事が巡り気分が昂ぶって眠れない方に
柴胡加竜骨牡蛎湯
サイコカリュウコツボレイトウ
イライラや気分がふさいで不安感があり、よく眠れない方に
桂枝加竜骨牡蛎湯
ケイシカリュウコツボレイトウ
よく眠れず、動悸がする、寝汗、脱毛がみられる方に

自然の薬箱1階の漢方相談薬局では、薬剤師による症状や体質に応じた「漢方相談」を予約制で承っていますので、お気軽に店頭でお声掛けください。

またWEB、お電話でも承っています。お気軽にご利用・ご相談ください。
お出かけが心配な方、遠方の方は、zoomによるオンライン相談も承っております。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

先週と今週の2回にわけて、秋ならではの不調「秋の憂い」についてお届けしました。

秋の憂いが引き起こす「気」の不調は、心や体の不調へと繫がってしまいます。少しでも気の不調が気になり始めたら、漢方の力をお試しください。

心身ともにすっきりして、様々な魅力が溢れる秋を、存分に楽しんでくいださいね。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

<次回「Naturalist Web Magazine」のお知らせ>

~2021年10月26日(火)配信予定 ~

「Naturalist Web Magazine_Vol.78」では、

 「創業11周年を迎えて」をお届けします。 

この秋、自然の薬箱は11周年を迎えました。すべてのお客様に感謝の気持ちでいっぱいです。次回 Vol.78では、11周年の感謝の気持ちをお伝えするとともに、周年祭についてもご案内します。今年の周年祭は、ささやかな開催となりますが、「自然の薬箱」主催のイベントに加えて、「5/R Family」のメンバーによる楽しいイベントも予定しています。

合わせて、12年目からの「自然の薬箱」の目指していくところについてもお伝えしたいと思います。 

※ 次回予告内容は、変更になる場合がございますので、あらかじめご了承ください。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

~「Naturalist Web Magazine」は、毎週火曜日の配信予定~

今後も、自然の薬箱ならではの様々な情報を予定しています。どうぞお楽しみに。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

バックナンバーの一覧を見る >>

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー END ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です