季節の変わり目は体調不良に気を付けよう!
~春の薬膳のススメ~

春は、寒暖の差が厳しく、体調を崩しやすいときです。身体を冷やさず、暖かに過ごしたいものですね。

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春になると、「外に出たい!」とウズウズしてくる方も多いのではないでしょうか。

東洋医学において、春は冬の間ため込んでいたものを放出する季節とされています。そのため、春になると草木は芽吹き、花を咲かせるように、人も活発に動きだしたくなるのは仕方のないこと。自然の理にかなっているんですね。

陽気の良い春をすこしでも心地よく過ごしたいもの。それには、冬から春への季節の変わり目を上手く乗り切ることが大切です。

そこで今回は、季節の変わり目を健やかに過ごすためのヒントや、春ならではの不調や邪気から身を守る為の工夫を薬膳の視点から解説します。

中医学の視点での「春の養生」におすすめの薬膳食材のご紹介や、薬膳レシピ2種類もお伝えします。健やかに春を迎えるられるよう、日々の献立にぜひお役立てください。

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<目次>

1.春は風邪(ふうじゃ)が猛威を振るう?

2.春と関係の深い「肝」とは?

3.春の養生 ~東洋医学の知恵~

4.「肝」の働きを助けるおすすめ食材

5.季節の変わり目は体調不良に気をつけよう!春の薬膳レシピ2種

 


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1.春は風邪(ふうじゃ)が猛威を振るう?

立春が過ぎ、春一番が吹き始め、陽は長くなり、一日の寒暖差が激しくなる今は、冬から春へと移る季節の変わり目にあたります。この時季、注意をしなければならないのは、風邪(ふうじゃ)。東洋医学の「六淫」の一つです。 

「六淫」ってなに?風邪(ふうじゃ)と、風邪(かぜ)は違うの?

東洋医学では、病気の原因を「外因・内因・不内外因」の3つに分けます。外因のうち、気候の変化などの外部から病気を発病させる要因を「外邪」といい、「外邪」の性質を6つに分けて「六淫」と呼びます。 

・風邪(ふうじゃ)
・湿邪(しつじゃ)
・暑邪(しょじゃ)
・火邪(かじゃ)
・燥邪(そうじゃ)
・寒邪(かんじゃ)

※季節や地域などの環境によって、強く影響する邪気の種類が異なります。

 

「風邪(ふうじゃ)」は、おおまかにいうと「風による邪気」のことで、いわゆる咳や鼻水を発症するかぜ症候群とは異なります。ふわふわと軽い性質をもち、急に現れたかと思えばすぐに消失したり、出現する場所があちこちに移動したりして、症状の種類や程度、部位に変化がおこりやすいとされています。

特に、からだの表面や上半身、肺を侵しやすく、風邪に侵されると・・・

 ・ 手足のしびれや震え、かゆみ、湿疹

 ・ 咳やのどの痛み、くしゃみや鼻水、発熱、頭痛

 ・ めまい、関節痛、全身倦怠感

などが現れます。古来より伝えられてきた風邪の体にもたらす影響が、くしゃみや鼻水、湿疹の悪化といった季節性のアレルギー症状と符合していることも面白いですね。

また、風邪(ふうじゃ)の症状は、普通の風邪(かぜ)の症状と似ていますよね?実は、風邪(かぜ)は、風邪(ふうじゃ)が語源。風邪(ふうじゃ)に侵された時の症状の一つが風邪(かぜ)なんですよ。

 


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2.春と関係の深い「肝」とは?

「Naturalist web magazine」でもお馴染み、東洋医学を語る上では欠かせない「五行論」では、「春」は「木」に属しています。さらに、春は「肝」との関係が深いといわれており、「肝」の機能である、疏泄作用(※1)と蔵血(※2)作用に影響を及ぼしやすくなります。 

※1 そせつ。情志活動、消化吸収、気血の流れをコントロールする
※2 ぞうけつ。血を貯蔵し、血流量をコントロールする

東洋医学では、内臓のはたらきを例えて役職で呼ぶことがあり、「肝」は「将軍の官」とも呼ばれています。これは、将軍のはたらきに匹敵する存在で、判断力や計画性などの精神活動を行うための指示を出すほか、休息を促す中枢とされているからです。

しかし、春は、「肝」の働きが高ぶりすぎてしまい、時には疲弊してしまうことも。すると、肝気の流れが滞り、疏泄作用の働きが弱くなり、様々なものをため込みやすくなると、以下の症状が現れやすくなります。

肝気鬱結
(かんきうっけつ)
肝気が滞り、脇や胸、乳房、下腹部などの腫脹感や痛み、 嘔吐、げっぷ、胃酸の逆流、食欲不振などが起こったり、ウツウツとしやすくなる
肝陽上亢
(かんようじょうこう)
気が逆上し、陽気が昇りすぎると、頭部や眼などに、熱感や炎症、痛みなどがあらわれたり、イライラしやすくなる
肝血虚
(かんけっきょ)
肝の蔵血作用が衰え、肝全体の機能が落ちる。
血虚による筋肉の痙攣や、正常な精神活動がしにくくなる。

肝の働きが正常であれば、このような症状に悩まされることなく、精神も安定します。つねに「肝が据わっている」のが大切なんですね。 

ここで視点を変えて、西洋医学的なお話をしましょう。肝臓は、たんぱく質を代謝するはたらきがありますが、肝臓自体の栄養となるのもたんぱく質です。そして、肝臓をうまく機能させるのに欠かせないものが、良質なたんぱく質に含まれる必須アミノ酸です。必須アミノ酸は、体内では作ることのできないため、食事からとるしかありません。しかも、数種類の必須アミノ酸をバランスよく摂取する必要があります。

お酒を多く飲まれる方や、最近疲れが抜けないと感じている方など、肝臓を酷使しがちな方は、鶏肉、豚肉、羊、レバー、たまご、イカ、タコなど、必須アミノ酸が含まれた良質のたんぱく質を多く含む食材を積極的に摂取するようにしてくださいね。


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3.春の養生 ~東洋医学の知恵~

春は巻き上げるような強い風が吹きやすく、身体の中に「風邪」が入り込みやすい季節。さらに、環境や生活の変化などでストレス過多になりやりやすく、ストレスを受け止め処理をしている「肝」が弱りやすい時期でもあります。では、どのような対策をとればよいのでしょうか?

東洋医学では、「気」がしっかりしていていれば、身体を衛ることができ、邪気は入ってこないと考えます。春といっても、まだまだコートが手放せないこの時期は、「からだを温めること」「胃腸を労ること」「ストレスを溜めないこと」が大切。忙しいからといって、睡眠不足や、過食、過度なストレスは禁物ですよ。

また、貯蔵の季節から抜け出したことによって、からだの中に溜め込んでしまっていた毒素を解消する必要があります。そのためにも、五臓の中でも解毒機能をもつ「肝」の働きを高める食材を意識して取りましょう。

さらに、「肝」は、気の巡りにも深くかかわっていますので、風邪の侵入を防ぐためにも気を高める食材も積極的にとるようにしてくださいね。


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4. 「肝」の働きを助けるおすすめ食材

冬の間ため込んでしまった毒素を解毒してくれたり、風邪の侵入から身体を守る気の巡りをつかさどる「肝」。フル回転で働く「肝」を助けてくれる、おすすめの食材をいくつかご紹介しましょう。

<益気 ekki>
体内の気を高めます
▼ ▼ ▼ ▼ ▼
キャベツ、かぼちゃ、お米、じゃがいも、長芋、鯛、サワラ、羊肉、鶏肉 など
<理気 riki>
気の巡りをよくします
▼ ▼ ▼ ▼ ▼
紫蘇、玉ねぎ、大根、そば、フェンネル、赤ワイン、ジャスミン、柑橘類 など
<補肝 hokan>
肝の働きを補います
▼ ▼ ▼ ▼ ▼
レバー、ブリ、かつお、イカ、黒ゴマ、人参、枸杞、プルーン など

 


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5.季節の変わり目は体調不良に気をつけよう!春の薬膳レシピ2種

おすすめの食材はわかったけれど、具体的なレシピも知りたい!と思いますよね。

そこで、国際薬膳師のおすすめ!「季節の変わり目は体調不良に気をつけよう!春の薬膳レシピ」のご紹介です。今回は「ブリのポワレ 赤ワインと柑橘のソースとかぼちゃのサラダ」と、「芽キャベツとイカのスパイススープ」の2種類です。

今回のレシピに登場するブリは、栄養学的にもEPAとDHAが豊富に含まれており、血液をサラサラにする作用や、記憶力、精神活動の安定に良い食材としても知られている、積極的に食べていただきたい食材です。

珍しい食材も難しい手順も不要で、ご自宅で手軽におすすめの食材を使った薬膳が作れますので、ぜひご覧ください。

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国際薬膳師おすすめ!季節の変わり目は体調不良に気をつけよう!春の薬膳レシピ2種は、こちら >>>

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今回は、冬から春へと移り変わる今におすすめの養生法や、食材、レシピをご紹介してきました。

春を存分に謳歌するためにも、日々の生活に取り入れてみてはいかがでしょうか?心も体もすっきりして、思いっきり春を楽しみましょう!

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<次号「Naturalist Web Magazine」のお知らせ>

「Naturalist Web Magazine_Vol.43」では、

「香りとともにある暮らしのすすめ」をお届けします。

香りは、わたしたちの意識・身体・心を整えてくれます。時には、香りと触れ合うことで、内なる自分の声にきがつくこともあります。

そこで次回は、アロマテラピーが得意とする領域や、常備しておきたい精油、生活にさりげなく取り入れる方法、お家で簡単にできるセルフリフレなどをご紹介します。アロマのある生活をぜひお楽しみください。

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