再拡大に備える!免疫機能をアップさせるためのヒント

いつもご利用ありがとうございます、自然の薬箱の千田です。

桜の花は散ってしまっても、葉桜が日に日に枝に広がり、街中の緑が目にまぶしく映るようになりました。こんな時だからこそ、思い切り深呼吸をして、ぐんぐんと葉を伸ばす木々のエネルギーを取り込みたいものですね。

毎週火曜日にお届けしております、自然の薬箱の「Naturalist Web Magazine」。

皆様が穏やかな日常を取り戻せるその日まで、健やかに過ごせるお手伝いが出来ればという思いを込めて、Vol.51をお届けいたします。

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このところ連日、メディアでも取り上げられている、新型コロナウイルスの変異株による感染拡大。名古屋市では「まん延防止措置」が本日より適用されるなど、再度深刻な状態となっています。さらに、ワクチンの接種が思ったように進まない今、自分の健康は自分で守る事が、これまで以上に大切になってきます。

そこで今回は、再拡大が懸念される今だからこそ、もう一度確認しておきたい「免疫機能をアップさせるためのヒント」を、自然の薬箱ならではの視点でお届けいたします。ウイルスの侵入を防ぐための漢方や、最近メディアでも話題となった「適度な運動」と免疫機能との深いかかわりを解説。気になる「適度な運動」とは、一体どんなものなのかもご紹介します。

漢方と運動を上手に取り入れて、ウイルスの脅威に負けないよう、私たちが本来持つ免疫機能を呼び覚ましましょう!

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<目次>

1. もう一度おさらい!免疫機能ってどんなもの?

2. 免疫機能をサポートする漢方で、ウイルスの侵入を許さない!

3.  免疫機能の維持・向上に役立つ漢方薬

4. 運動が免疫機能を上げる?今、注目の「週2時間半」の運動って?

5. 適切な運動ってどんなもの?


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1.もう一度おさらい!免疫機能ってどんなもの?

新型コロナウイルス感染症が蔓延し始めてから1年を超え、第4波も懸念される今、改めて免疫機能に注目している方も多いのではないでしょうか?

そもそも、免疫機能とは、私たちを外界の異物から守るバリア機能の一つ。異物が体内に侵入する時の最初の砦となるのは、「物理的バリア」と呼ばれる皮膚と粘膜です。お城の門だと思ってください。粘液や常在細菌の力も借りて、通常はおおまかな異物をここで排除します。

しかし、異物がとても小さいものであったり、皮膚や粘膜に傷があったり、炎症が起きていたりすると異物の侵入を許してしまいます。そこで、体内に入ってきた異物を排除するために戦う兵隊の役目を担うのが「免疫学的バリア」(ここでは免疫と呼びます)と呼ばれるものです。

連日話題に上がっている「ワクチン」は、「最近外にこんな悪い奴がいて中に入ってくるかも知れないから、きたらすぐ攻撃できるように準備してね」と、あらかじめ免疫に情報を伝える伝達係の役割を持ちます。万が一、予想が外れて病気になっても、あらかじめ対策を準備していたため、ダメージが少なくて済むというメリットがあります。

このようなシステムで、日々私たちの身体を守ってくれている「免疫機能」ですが、様々な原因で、うまく機能しないことがあります。

例えば、免疫細胞は加齢とともに低下し、その機能も落ちてしまうといわれています。また、ストレスはもちろん、睡眠不足や偏った食事、運動不足や激しすぎる運動、そして冷えなども免疫機能低下の原因に繫がるといわれています。

新型コロナウイルス感染症にかからない為にも、生活を見直して免疫機能を正常化させることが大切なんですね。


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2.免疫機能をサポートする漢方で、もうウイルスの侵入を許さない!

免疫について「体内で働く兵隊」に例えてお話をしてきましたが、中医学で考える免疫を担うものに、皮膚、粘膜のところで門番として働く「気」があります。それが「衛気(えき)」。文字通り、私たちの体を護衛してくれる力のことです。

中医学では、「衛気」は、花粉やウイルスなどの外敵から身を守ってくれるもので、人体への病気の侵入を防ぐ免疫機能に相当する役割を持ちます。しかし、ウイルスやアレルギー物質などの異物が多すぎたり、力が強すぎたり、何らかの原因で「衛気」をしっかり張り巡らせることができなかったりすると、異物の侵入を防ぐことができなくなります。

そこで登場するのが、大切な衛気を助けたり、整えたりする効果を持つ薬「玉屏風散(ぎょくへいふうさん)」。初期免疫と言われるIgA抗体を高める働きも報告され、体の表面で屏風のような盾になってくれる貴重な漢方薬です。体を整えることによって、外邪に強くなったり、アレルギー体質の改善にも用いられます。異物が体内に入って戦いが始まってからではなく、あらかじめ備えて服用するか、症状が出はじめてから時間をおかずに飲むのがおすすめです。

自然の薬箱では「衛益顆粒(えいえきかりゅう)」として店頭で取り扱っております。1包からお求めいただけますので、気になる方はぜひお試しください。


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3.免疫機能の維持・向上に役立つ漢方薬

Vol.49でもご紹介した「玉屏風散」のほかにも、漢方薬や生薬には免疫機能の維持・向上に役立つものがあります。特に、体力に自信のない方、慢性疾患をお持ちの方、感染リスクが高い職業の方におすすめの漢方や生薬をいくつかご紹介しますね。

十全大補湯
(じゅうぜんたいほとう)
病中病後や、産後、貧血、慢性疲労などを伴う場合に、元気と体力をつける漢方薬です。
シベリア霊芝
(シベリアれいし)
免疫バランスを整えるカバノアナタケという茸です。健康食品などで利用できます。
藿香正気散
(かっこうしょうきさん)
梅雨の時期の下痢などの胃腸症状によく使われる漢方薬です。中国での新型コロナウイルス感染症の治療において、藿香という生薬はよく使われています。
板藍根
(ばんらんこん)
清熱解毒の働きを持つと同時に、免疫力を高める生薬として有名です。SARSが流行した際にも多用されました。日本では健康食品などで利用できます。

 


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4.運動が免疫機能を上げる?今、注目の「週2時間半の運動」って?

先週、一部メディアで大々的に取り上げられた「週2時間半の運動が、新型コロナウイルス感染症の重症化を軽減する」というニュースをご覧になられた方も多いのではないでしょうか?

今回、ブリティッシュ・ジャーナル・オブ・スポーツ・メディシン(BJSM)が行った、新型コロナウイルスに感染した約5万人を対象にした調査で、感染者の運動レベルを過去2か月間「運動不足」「何らかの運動をした」「継続的な運動をしていた」の3つに分けて調べたところ、「継続的な運動をしていた」人の死亡率は 0.4%、入院率も3.2%と、他に比べて低いとの結果が導き出されました。さらに、「継続して運動をしていた」人と比べ、「運動不足」の人は、死亡率で約2.5倍、入院率で約2.3倍となったことも判明しました。この調査の結果として、運動で免疫機能が上がること、また、心肺機能や精神状態の改善にもつながることが報告されています。

ところで、「継続的な運動」が、「週2時間半」とされた根拠はどこにあるのでしょう?

それは、今回の研究において「継続的な運動」を、米国健康保健省が定めた「身体活動ガイドライン」に基づき、「週2時間半以上運動を行っているか、否か」で分類したためです。「身体活動ガイドライン」では、十分な健康増進を図るには、週150分~300分(2時間半~5時間)の中強度(ランニング程度)が必要と定められています。そのため、今回の「週2時間半の運動が重症化を防ぐ」という報道に繫がったのです。

では、何故、継続的な運動が新型コロナウイルス感染症の重症化を防ぎ、免疫機能を上げる効果が期待できるのでしょう?現時点でわかっている「運動と免疫機能のかかわり」について、代表的なものをご紹介しましょう。

①習慣的な運動により、血液中の免疫細胞が増加する
現在の研究では、低~中程度の運動を習慣的に行うことで、血液中の好中球、単球、リンパ球(T細胞、B細胞、NK細胞)が増加することが分かってきています。

しかし、激しい運動をした後はこれらの数が減少することも分かってきています。激しい運動は逆に免疫機能を低下させてしまう可能性があるので、気を付けてくださいね。

②運動により、体温が上がり、免疫機能が高まる
人は体を動かすことで、筋肉で熱が産生されて、体温が上がります。通常、人の体温は36℃~37℃が適温といわれ、免疫細胞は、36.5℃より目覚めて、37.0~37.5℃で最も活発に働くといわれています。

体温が36℃では、休止状態ですので、平熱は36.5℃くらいを維持していきたいもの。身体を動かさない状態が続くと、低体温(35℃代)のリスクに繫がりますので、継続的に体を動かすことが大切です。

③運動でリンパの巡りが良くなり、老廃物が代謝されやすい体に
体内の細胞に溜まった二酸化炭素や老廃物、細菌、ウイルスや老廃物などは、リンパ管やリンパ節を通って、心臓に近い静脈から血管の中に入り、腎臓などを経由してその多くは尿として排泄されます。

リンパ管には、静脈と同じように、逆流を防ぐ弁がついていて、筋肉の収縮によって流れを作り出しています。その動きをよくするために、呼吸や運動で筋肉を動かし、正しくポンプとして機能させることで、リンパの巡りが良くなります。

このように、適度な運動を継続して行うことで、私たちが持つ免疫機能の維持、向上が期待できるということがわかっています。


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5.適切な運動ってどんなもの?

では、「適度な運動」とは、どのようなものなのでしょう?

適度な運動の目安は、少し息が上がるくらいの運動。30分~60分を目安に続けてみましょう。少し息が上がるとは、運動していても、おしゃべり出来る程度の強度です。おしゃべりができなくなったり、反対に、楽におしゃべりができすぎてしまうのは、強度が高すぎるか、低すぎるので気をつけましょう。

また、運動の強度をはかる目安として、よく心拍数が用いられます。おおよそ最大心拍数の50%~60%を目安に運動を行ってみましょう。最近は、スマートウォッチなどで心拍数をリアルタイムで知ることができます。下記の計算方法で、目標心拍数を把握しておくとわかりやすいですよ。

目標心拍数の計算方法

(220-年齢-安静時心拍数)×(50%~60%)+安静時心拍数

※人によって数値は変わってきます。
※安静時心拍数は、起床後のリラックスした後に、手首の親指側に指を添えて測ります。
※15秒の脈拍を4倍にするか、30秒計測して2倍します。その結果が、安静時心拍数です。

まずは、1日20分から30分程度を目安に、ウォーキングや軽いジョギング、ゆったりと動くヨガなどで無理のない範囲で身体を動かしてみましょう。運動を毎日の習慣にすることで、免疫機能も一定に保たれて、新型コロナウイルスのほかにも、様々な病気の予防につながります。

一人ではどうしても続かない・・・という方は、自然の薬箱のボディワークスタジオのレッスンに参加されてみてはいかがでしょうか?インストラクターと共に、ヨガや氣功といった適度な運動ができるコースを多数ご用意してます。

自然の薬箱のボディワークスタジオについては、こちらをご覧ください。

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今回は、コロナ禍の今だからこそ、免疫機能について振り返りながら、漢方と運動について解説しました。

姿かたちを変えながら、猛威を振るう新型コロナウイルスに負けないようにするには、何よりも免疫機能をダウンさせないことが大切です。免疫機能をしっかりキープして、健やかな毎日を過ごしましょう!

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<次回「Naturalist Web Magazine」のお知らせ>

~2021年4月27日(火)配信予定 ~

「Naturalist Web Magazine_Vol.52」では、

「あなたのマスクの中は大丈夫?マスクの内側を効果的にケアしよう!」をお届けします。

1年以上マスクをつけていると、どんなに気を付けても避けられないのが、肌トラブルや口臭。まだまだマスク生活が続く今だからこそ、知っておきたい肌トラブルの予防法や、口腔ケアについてお届けします。

※ 次回予告内容は、変更になる場合がございますので、あらかじめご了承ください。

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~「Naturalist Web Magazine」は、毎週火曜日の配信予定~

今後も、自然の薬箱ならではの様々な情報を予定しています。どうぞお楽しみに。

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