「 秋は憂い(うれい)の季節 」東洋医学的ストレス解消のヒント!

10月になり、すっかり秋らしくなりました。行楽シーズンではありますが、今年は無理に遠出をせず、近場でゆっくりと短い秋を楽しむのが主流のようですね。身近な秋を発見する絶好の機会です。お近くのまだ足を運んだことがないスポットにお出かけしてみてはいかがでしょう。こんな近くに素敵な場所があったなんて!という新たな発見につながるかもしれませんよ。

毎週火曜日にお届けしております、自然の薬箱の「Naturalist Web Magazine」。

皆様が穏やかな日常を取り戻せるその日まで、健やかに過ごせるお手伝いが出来ればという思いを込めて、Vol.24をお届けいたします。

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まとわりつくような暑さだった夏はすっかりどこかに行ってしまい、秋風が心地よく感じる日々が続いています。街の中でも、空の高さや、キンモクセイの香りなどで「秋」を実感される方も多いのではないでしょうか。

湿気も少なく、涼しい秋は、過ごしやすい季節である一方、同時にふとした時に寂しさを感じたり、意味もなく悲しくなるなど、こころのバランスが崩れやすい季節でもあります。

実は東洋医学でも、秋はもともと「憂い」の季節といわれており、気持ちが沈みやすい時季でもあります。さらに、コロナ禍で迎える秋、先が見えない不安の中で考え込み、ストレスを感じる方も増加の傾向にあるようです。

そこで今回は、秋に感じやすい「憂い」の原因とストレス解消のヒントを、自然の薬箱の鍼灸師 出口 明日深 がお伝えします。

 

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<目次>

 1. 東洋医学の視点から見る秋とは?

 2. 秋はなぜ「憂いの季節」なの?

 3. 「こころ」が憂い始めたら

 4. 「こころ」を健やかに保つためのストレス解消のヒント


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1.東洋医学の視点から見る秋とは?

秋は乾燥しやすい季節。東洋医学では、秋を「燥」の季節として捉え、「燥邪」の影響を受けやすくなると考えます。「燥邪」の影響を最も受けやすいのは、「肝・心・脾・肺・腎」の五臓の中で「肺」といわれています。

ここでいう「肺」は、臓器としての肺だけではなく、空気を取り入れる鼻や口や喉など呼吸器全般とそれらが持つ機能も含めたものを指しています。そして、肺は全身のすみずみまで「気」をスムーズに巡らせる重要な役割をもつとされています。

「肺」が弱ってしまうと、「気」を全身に広げることができません。体表面のバリア機能が弱まり、呼吸器系だけでなく、皮膚などにも不調が現れます。例えば、咳、鼻水・鼻詰まり、肌荒れといったものから、風邪をひきやすくなるなど免疫機能の低下等の症状が現れてくるのです。


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2.秋はなぜ「憂いの季節」なの?

東洋医学では私たちの感情を「怒・喜・思・憂・恐」の五つに分類し(五志)、これらの感情は五臓によって統括されていると考えています。五志は五臓が管理しているので、五臓がしっかり働いていれば、精神状態も安定している状態になります。

五季 五志 五臓 五腑 五主 五官 五邪
小腸 血脈
長夏
(梅雨)
肌肉 湿
大腸 皮毛
膀胱

しかし、五臓が傷んでしまうと、五志も不安定になってしまいます。また、五臓が健全であっても、長く感情の高ぶりが続いたり、ストレスなどの強い刺激を受けたりすると、五臓が傷つき、様々な不調を引き起こしてしまいます。

秋は五志における「憂い」の季節。人肌恋しくなったり、なんとなく気持ちも沈みがちになりやすいと時季としてとらえています。

そして、「憂い」を管理する五臓は「肺」とされています。肺が正常に機能しているときは、憂いの感情が優位に立つことはありません。しかし、この時季の「肺」は、乾燥によるダメージを受けやすい状態。ふとしたことがきっかけで、「憂い」の感情が強く出てしまうことがあります。強くなった「憂い」の感情が続くと、肺はストレスを感じ、傷つきます。肺が傷つけば気の巡りも滞り、強い倦怠感を感じたり、気力がなくなったりと、さらに強い「憂い」の感情に支配されがちになってしまう悪循環が生まれてしまうのです。

では、どのように「憂い」を回避したらよいのかを一緒に考えてきましょう。


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3.「こころ」が憂い始めたら

もともと秋は「憂い」が出やすい季節です。人肌恋しくなったり、なんとなく気持ちも落ち込みがちなになるのは、秋という季節がそうさせているのであって、ご自身のせいではないことを自覚する事が大切です。また、夏の疲れを引きずったまま秋を迎えると憂いの感情も出やすくなります。まずは、無理をせずゆっくりと身体を休めましょう。

また、今年はコロナ禍における初めての秋。口だけでなく、心もマスクで隠して、ストレスフルになっている方も多いのではないでしょうか。そんな時は、マスクを外して、深呼吸から始めてみましょう。ストレスがかかっているときは、イライラして呼吸が浅くなりがちです。呼吸が浅いと憂いの感情に支配されやすく、気持ちが沈むと呼吸が浅く短くなります。すると、全身の気の巡りが滞って、さらに気持ちが沈んでいきます。

憂いの連鎖を止めるためにも、気持ちが落ち込んでも自分を責めずにしっかりと休む、深呼吸をしてゆっくりとこころを落ち着けることを心掛けていきましょう。


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4.「こころ」を健やかに保つためのストレス解消のヒント

憂いの感情に支配されないようにするには、ストレスや不安を抱え込まないことが大切です。これからご紹介するストレス解消のヒントを生活に取り入れて、「こころ」を健やかに保つことに意識を向けてみてはいかがでしょうか。

① 軽い運動をする

暑さも和らぎ、風も心地よく感じられる季節です。ウォーキングやサイクリングなどの有酸素運動をすることで、新鮮な空気を取り込み、身体の中を巡らせましょう。東洋医学では、「肺」と皮膚の関係が深いとされていて、心地よく吹く風が、皮膚に刺激を与えることで、「肺」の気を巡らせる機能を活性化させるといわれています。ただし、身体の中には酷暑の疲れが溜まっていますので、心地よいと感じる程度の運動にしてくださいね。

② お話する

マスクをつけての生活や、オンラインでのやり取りが日常になってきて、withコロナが定着してきましたが、まだ先が見えない状態ですよね。そんな時は、不安や気持ちを話すことで発散しましょう。自然の薬箱では、ご家族やお友達と一緒に参加していただける少人数制のツボレクチャーお灸教室を開催しています。1グループごとの開催なので、誰にも気兼ねせずに、おしゃべりを楽しみながらツボ押しやお灸を楽しんで、ストレス発散ができますよ。

③ 「肺」の養生やストレス解消におすすめのツボ

ご自宅でセルフお灸や、ツボ押しをするのもストレス解消の一つになります。今の時季にぴったりのツボを3つご紹介しますので、ぜひトライしてみてください。セルフケアで、心も体もすっきりしましょう。

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・尺沢(しゃくたく)⇒ 咳や鼻の症状、乾燥肌に。

<ツボの場所>
肘のシワの外側のくぼみにある『肺の気の流れ』の上にあるツボ。
<ケアの仕方>
ツボと反対の手で肘を包み込むようにして、親指でツボを押す。そのままゆっくりと下の腕を身体の方に引き寄せると、ツボに深く押し込まれます。

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・膻中(だんちゅう)⇒ 不安、胸の圧迫感に

<ツボの場所>
両方の乳頭を結んだ真ん中にあるツボ。
<ケアの仕方>
ピンポイントで押すと強い痛みがある場合があるため、ボディオイルやボディクリームを使用して、胸をさするように優しくマッサージする。お気に入りの香りを感じながら大きく息を吸って、両側の肩甲骨を中心に引き寄せるようして、深呼吸しましょう。

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・内関(ないかん)⇒  ストレス、不眠、気持ちの落ち込みに。

<ツボの場所>
手首の一番深いシワから、肘に向かって指3本分上がったところ。腱と腱の間にあるツボ。
<ケアの仕方>
腱と腱の間に、指を立てて押し込み、痛みを感じる場所を探して刺激しましょう。

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今回は、秋ならではの「憂い」について、その原因や解消方法をお伝えしました。

なかなかストレスが解消できず、こころや体に不調を感じ始めたら鍼灸ルームにご相談ください。

鍼灸師があなたのお悩みに寄り添って、お一人お一人に合った鍼とお灸をしていきます。鍼が怖い方にはお灸のみやビワ温灸での施術も可能です。アフターコンサルテーションでは、セルフケアで使えるツボもお伝えできますよ。

食欲の秋、スポーツの秋、芸術の秋…「こころ」も「身体」もすっきりして、あなたらしく秋を楽しみましょう!

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「Naturalist Web Magazine」お届け内容は、いずれも知識と経験豊富な自然の薬箱スタッフが、 自信を持ってお勧めする内容ばかり。「Naturalist Web Magazine」の更新は、毎週火曜日を予定していますのでぜひご覧ください。どうぞお楽しみに。

 

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次回の「Naturalist Web Magazine_Vol.25」では、

「『秋の憂い』を感じたときにおすすめ!気を整える漢方」をお届けします。

漢方薬剤師が「秋の憂い」から来る「気の巡り」の低下を解消し、整えてくれる漢方薬を身体的症状に合わせてご紹介します。今回ご紹介した解消のヒントと併せてご活用いただける内容ですよ。

※ 次回予告内容は、変更になる場合がございますので、あらかじめご了承ください。

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過去の<Naturalist Web Magazine>バックナンバー

Vol.23_アロマセラピストの本棚から

Vol.22_秋の養生 ~「温燥」のための薬膳 ~

Vol.21_まだまだ注意!秋の「脱水症状」

Vol.20_9月9日は重陽の節句!菊の伝統文化のたしなみと漢方薬のお話

Vol.19_季節の変わり目に知っておきたい!自律神経と目の関係って?

Vol.18_ブルーの精油『ジャーマンカモミール』の涼し気なアロマソープを手作りしよう!

Vol.17_残暑を乗り切るために!脾胃(ひい)を整えるための薬膳のススメ

Vol.16_ステイフォーム中にチャレンジ!コロナ太りを解消するには?

Vol.15_夏バテしている場合じゃない!夏に役立つ漢方薬

Vol.14_鍼灸師おすすめ!夏のマスク不調の解消&予防法!

Vol.13_健やかで美しい暮らしのためのあれこれ

Vol.12_薬膳で暑気払い!酷暑を乗り切ろう!

Vol.11_知っておきたい!東洋医学の知恵と夏の過ごし方

Vol.10_お顔と頭のツボでリフレッシュ!

Vol.9_今だから知っておきたい!運動と免疫の関係って?

Vol.8_ 手指消毒の手荒れが気になる今!ハンドケアアイテムを手作りしよう!

Vol.7_むくみを解消!内湿を取るための薬膳

Vol.6_長期戦に備えよう!慢性疾患のある方も必見!身体を整えるための漢方薬

Vol.5_巣ごもり不調を改善!〜セルフお灸のススメ<応用編>~

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Vol.3_ストレスに負けない!心と身体を作る小さなアイデア 

Vol.2_腸活で<免疫機能>をキープ&アップ! 

Vol.1_知っておきたい!肺炎と免疫機能のこと 

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