残暑を乗り切るために!脾胃を整えるための薬膳のススメ
8月7日に立秋を迎え、暦の上では秋なのですが、現実は熱中症警戒アラートも発動されるほどの厳しい夏が続いています。その上、新型コロナウイルスのさらなる感染拡大が懸念される今、予防はさることながら、自身の健康管理も徹底したいものですね。
毎週火曜日にお届けしております自然の薬箱の「Naturalist Web Magazine」。
皆様が穏やかな日常を取り戻せるその日まで、健やかに過ごせるお手伝いが出来ればという思いを込めて、Vol.17をお届けいたします。
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今年は梅雨が長引いた上に、マスク着用で過ごすことも多く、例年以上に「夏バテ」の症状にお悩みの方が多いそうです。
特に、今までとは違う生活の中で、きちんとした体調管理ができないまま梅雨を過ごしてしまった方は、特にこれからが気を付けなくてはいけない時期になるのをご存知ですか?
それは「夏バテ」はこれからが起こりやすいから。東洋医学では、不調の原因は前の季節の過ごし方が大いに関わっていると考えているからなのです。そのためにも、不調にならないよう、早めの予防と養生をしていく事が大切。
そこで今回は、現在進行形で夏バテに悩む人はもちろん、秋への季節の変化に対応できる体づくりを目指していくための残暑の乗り切り方や、おすすめの食材をご紹介します。
今回も国際薬膳師監修のご自宅で作れる「暑気払いの薬膳」レシピもご紹介しますので、ご自宅でお手軽に薬膳をお楽しみいただけますよ。
まだまだ暑い日が続く今だからこそ、丁寧な養生と美味しい食事を通じて、しっかり体調管理をして乗り切りましょう!
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< 目次 >
4.薬膳の視点でおすすめする「脾胃を整えて夏バテを乗り切る」食材
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1.夏バテが起こりやすい時季と症状って?
夏バテは、夏の暑さがピークを迎えたころから初秋にかけて出てくる体の不調のことをさします。代表的な症状は、やる気がでない、眠れない、食欲不振、体がだるいなどの倦怠感、イライラ、めまい等。今年は特に梅雨が長引き、梅雨明けと共に猛暑がやってきている上、マスク着用など慣れない環境下に置かれているため、熱中症の症状を訴えている方が増加しています。
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2.夏バテの原因は?
様々な不調の症状が現れる夏バテですが、どのような原因で起きてしまうのでしょう?東洋医学の視点では、第一に梅雨と夏の過ごし方に大きな要因があると考えます。
梅雨の間から夏にかけて一番ダメージを受けやすいのが、生命力の源となる「気(エネルギー)」や「血」を生む大切な臓器「脾胃(ひい)」。水分の代謝がうまくできていないと湿が脾胃にたまり、うまく機能しなくなります。
その結果、「脾胃」で「気」がつくられずに「気虚(ききょ)」になってしまい、やる気がない、倦怠感、食欲不振などがの症状の原因となってしまうのです。
(詳しくは、NMW Vol.7「内湿をとるための薬膳」をご参照ください)
※脾胃(ひい) 消化器系のこと。胃は現在の胃の働きとほぼ同じ、脾は脾臓の事ではなく、膵臓の働きに近い。胃が消化した飲食物から滋養物質と水液を吸収する働きがある。 |
さらに、暑さを解消しようとして「脾胃」が嫌う冷たいものの取りすぎてしまったり、暑さであっさりした食事を求めて、ついつい偏って同じものばかり食べてしまい、「気」を高める食材が不足することも、夏バテの原因の一つなのです。
あわせて、睡眠不足も夏バテの原因の一つとして挙げられます。熱帯夜が続く今、なかなか寝苦しい時期ですが、睡眠は、エネルギーの消費を抑えて「気」をつくり、蓄えていく大切な時間でもあるのです。
夏バテしやすい今だからこそ、質の高い睡眠が得られるよう、工夫してみましょう。
また、クーラーの温度調節にも気を配ることが大切です。外気温との差があまり大きくならないよう、室温は24度から下回らないようにしましょう。
なお、クーラーは室内を乾燥させてしまうもの。そのため、水分の取り方にも注意が必要です。こまめな水分補給を心がけましょう。
酷暑が続く今、クーラーはなくてはならないもの。気温差と乾燥を上手にコントロールしながら熱中症や夏バテをしっかりと予防していきましょう。
(詳しくは、NMW Vol.15「夏バテしている場合じゃない!夏に役立つ漢方薬」をご参照ください)
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3.夏バテになってしまったら?
今年は例年と違うことばかりで心も体も疲れがち。しっかり予防しても、夏バテしてしまうこともあります。では、夏バテの症状が気になり始めたらどのようにしたらよいのでしょうか?
<①ー早起きを心掛けよう!>
中国の紀元前に書かれた、中国最古の医学書「黄帝内経(こうていだいけい)」には、夏の養生法について「夜は遅く寝、朝は早く起きる」という記載があります。
これは、日照時間が長くなる夏には、自然の陽気の変化に体を合わせて「夜遅く寝るのは良いが、朝は早く起きましょう」ということ。
臓腑には活発に動く時間帯が決まっており、朝の7~9時の時間帯に脾胃が活発に動き、エネルギーの吸収率が高まります。この時間に朝食を食べることが、気を高めるためにとても重要なのです。夏は暗くなるのが遅くなる上、夜になれば多少なりとも涼しくなるため夜型の生活になりがちです。でも、今までより少し早起きを心掛けることで、つらい夏バテ解消の一歩となりますよ。
<②ー睡眠の質をあげよう!>
睡眠は体を休めながら、気も養うことができるため、夏バテ解消には欠かせないものです。でも、何故か寝ようとするとすればするほど、寝れなくなるなんてこともありますよね。そんな時はまず、睡眠環境を調えてみてはいかがでしょうか。
例えば…
自分に合った枕を使用しましょう。
クーラーを途中で切れるように設定して、起きる一時間位前にまたつくような設定にする。あまり冷やしすぎないような工夫をして使うことを心がけましょう。
毎晩寝る前にルーティンワークを作ることもおすすめです。身体が寝る準備に入るきっかけになります。
この他、アロマを使ってみたり、漢方薬や鍼灸、次章でご案内する「安神作用」がある食材を、毎日の食事に取り入れてみるのもおすすめです。
<③ー身体の真ん中を温めよう!>
身体の真ん中が冷えているなと感じるときは「脾胃」が冷えてしまっているサイン。温かい薬膳茶やみそ汁、白湯などで身体の中心を温めましょう。夏に冷えたものしか飲まなくなる方は注意が必要です。
いずれの場合でも、「黄帝内経」には「寝れなくても気負うことなく気持ちよく過ごすことが、夏を過ごす上で大事である」とにも書かれています。寝れないことをあまり意識しすぎず、リラックスすることも大事ですね。
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4.薬膳の視点でおすすめする「脾胃を整えて夏バテを乗り切る」食材
「脾胃」を整えて夏バテを解消するために、薬膳の視点ではどのような食材をすすめているのでしょうか。それぞれの効能とおすすめの食材を、国際薬膳師の淺井シェフに訊いてみました。
<清熱 seinetsu>熱を下げる効果がある ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ きゅうり、バナナ、水菜、茶葉、苦瓜、スイカ、ひじき、ズッキーニ、カニ、キウイ など |
<健脾 kenpi>おなかの調子を整える ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ トマト、キャベツ、豆腐、甘酒、粳米(うるちまい)、オクラ、みそ、じゃがいも、豆類 など |
<安神 anjin>気持ちを落ち着かせる ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ナツメ、モモ、ハスの実、ゆり根、豚の心臓、鶏卵、クワイ、レンコン、金針菜(しんきんさい)、牡蠣 など |
<補気 hoki>不足している気を補う ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ 山芋、大棗(たいそう)、タコ、鶏肉、甘酒、みそ、かぼちゃ、牛肉、粳米(うるちまい)、もち米 など |
<理気 riki>気の流れを良くする ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ 大葉、茗荷(みょうが)、そば、玉ねぎ、陳皮、赤ワイン、ジャスミン、紅茶 など |
特に、甘酒、みそ、醤油、納豆、漬物などのように日本に古くからある「発酵食品」は、「補気」と共に「健脾」の働きも持つ食材なので積極的に取り入れると良いでしょう。
まだまだ残暑が厳しい日が続きます。これらの食材を意識して食べることで「脾胃を整えて夏バテを乗り切る「薬膳」としての効果が期待できますよ。
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5.国際薬膳師おすすめ!脾胃を整えて残暑を乗り切る!薬膳レシピ2種
おすすめの食材はわかったけれど、どのように組み合わせて調理したらいいの?という疑問が浮かんできますよね。
そこで、今回もカフェ&キッチンより、国際薬膳師である淺井シェフ監修「脾胃を整えて残暑を乗り切る!薬膳レシピ2種」をご用意しました。
夏バテ気味で疲れがたまっている方も、これで安心!珍しい食材も難しい手順も不要で、ご自宅で手軽に脾胃を整える薬膳が作れますので、ぜひご覧ください。
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国際薬膳師おすすめ!脾胃を整えて夏バテを乗り切る!薬膳レシピ2種は こちら>>
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連日の暑さで疲れ気味の方はもちろん、暑さに負けない体づくりを目指したい方も、日々の生活習慣や毎日採る食事を通じて脾胃を整えることを意識すれば、夏バテを予防・解消することができます。
自然の薬箱Cafe&Kitchenでも、薬膳の観点で、脾胃を整えることに適した食材や、夏バテを予防する食材をお選びして心を込めてお料理をお作りしています。美味しい季節を迎えた旬のお野菜をはじめとする様々な食材をシェフが美味しく仕上げた彩り豊かなお料理は、心にも体にもパワーをくれますよ!
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「Naturalist Web Magazine」お届け内容は、いずれも知識と経験豊富な自然の薬箱スタッフが、 自信を持ってお勧めする内容ばかり。「Naturalist Web Magazine」の更新は、毎週火曜日を予定していますのでぜひご覧ください。どうぞお楽しみに。
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次回の「Naturalist Web Magazine_Vol.18」では、
「夏にぴったり!涼しげなグリセリンソープを手作りしましょう♪」をお届けします。
毎日の手洗い用にぴったり!カモミールジャーマンの自然な色が涼やかな、グリセリンソープを手作りしませんか?今の時期におすすめの、天然保湿成分入り手作りソープの簡単レシピをご紹介します。夏のステイホーム中に、お子様と一緒に作るのも楽しいですよ。
※ 次回予告内容は、変更になる場合がございますので、あらかじめご了承ください。
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過去の<Naturalist Web Magazine>バックナンバー
Vol.16_ステイフォーム中にチャレンジ!コロナ太りを解消するには?
Vol.14_鍼灸師おすすめ!夏のマスク不調の解消&予防法!
Vol.8_ 手指消毒の手荒れが気になる今!ハンドケアアイテムを手作りしよう!
Vol.6_長期戦に備えよう!慢性疾患のある方も必見!身体を整えるための漢方薬
Vol.5_巣ごもり不調を改善!〜セルフお灸のススメ<応用編>~
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