薬膳で肺機能を高めて、免疫機能をアップ!
秋も深まり、肌寒い日が増えてまいりました。秋の軽やかな雰囲気を楽しめるのは、あとわずかといったところでしょうか。
毎週火曜日にお届けしております、自然の薬箱の「Naturalist Web Magazine」。
皆様が穏やかな日常を取り戻せるその日まで、健やかに過ごせるお手伝いが出来ればという思いを込めて、Vol.27をお届けいたします。
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7月をピークに下がりはじめた新型コロナウイルスの新規感染者ですが、このところまた増加の傾向にあるようです。10月15日に開催された有識者らによる「新型コロナウイルス対策分科会」でも、「全国的に7月のピーク時から、減少・横ばいの傾向があったのが、地域によっては少しずつ増加している傾向も見えている」と警鐘を鳴らしています。
再び大規模な感染拡大を防ぐためには、今一度、一人一人がマスクやアルコール消毒などでウイルスの侵入を阻止するのはもちろん、免疫機能を上げていきたいものです。
そこで今回は、「薬膳で肺機能を高めて、免疫機能をアップ!」と題し、免疫機能と深くかかわりを持つ「肺」について解説いたします。「肺」の機能と免疫機能の関係や、ケア方法についてはもちろん、国際薬膳師監修のご自宅で作れる「肺機能を高めるオススメの薬膳」レシピもご紹介します。
NWM Vol.2でご紹介した「腸活」と併せて肺機能を高めれば、さらに免疫機能をアップする効果が期待できますよ。
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<目次>
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1.東洋医学の視点から見た「肺」が持つ機能とは?
東洋医学では「肺」は、臓器としての肺だけではなく、空気を取り入れる鼻や口や喉といった呼吸器全般と、それらが持つ機能も含めたものを指します。さまざまな機能がある「肺」ですが、その中でも特に注目したいのが「宣発作用(せんぱつさよう)」と「粛降作用(しゅくこうさよう)」。この二つの作用は免疫機能に深く関わりがあるとされます。
でも、宣発作用と粛降作用、いずれも普段なかなか聞きなれない言葉ですよね。一体どのような作用をしているのか見ていきましょう。
<宣発作用と粛降作用の役割>
宣発作用 | 吐き出す息と共に行われます。「気(※1)」を上部や表面に散布、発散する作用です。これにより、体内の濁気を排出したり、表面に気とともに栄養を運び、皮膚に潤いを与えたりします。外邪(※2)の侵入を防御する力を高めます。また、入ってしまった外邪を排出します。 |
粛降作用 | 吸う息と共に行われます。新鮮な空気を取り入れて「元気(※3)」を補充し、栄養分や水分を臓腑に運んで補います。 |
※1 体温を作り出したり、体内の「血」や「水」の流れを整え、全身に巡るように調整しているエネルギー
※2 身体の外から皮膚、毛孔、鼻、口から身体に侵入する邪気(病邪)
※3 東洋医学における生命活動を営むための最も基本的な原動力のこと
吐き出す息と共に行われる宣発作用、吸う息とともに行われる粛降作用、この二つの作用を繰り返すことで、「気」や栄養分、水分などを全身に行き渡らせる役割を担っています。
では、「肺」が行う宣発作用と粛降作用は、免疫機能とどのような関係があるのでしょうか?
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2.「肺」の宣発・粛降作用と免疫機能の関係って?
「肺」は、宣発作用によって「気」を体表に張り巡らせ、皮膚や粘膜に潤いを与えてバリア機能を保ち、多くの菌やウイルスから体を守っています。さらに、粛降作用によって、臓腑に栄養分や水分を補ったり、調節しすることで体調を整え、免疫機能の低下を防いでいるのです。
これからの季節は、風邪やインフルエンザ等のウイルス性の感染症が増える時期。免疫機能の低下を防ぐためにも、肺機能を高めておくことが大切なのですが、「肺」は「嬌臓」(弱々しい臓器)とも呼ばれるほどデリケートな臓器。
さらに「肺」は「潤を喜び燥を悪む」といわれ、冷たく乾燥した空気が大の苦手です。そのため、空気が乾燥する秋から冬の時期は「肺」をしっかり乾燥から守りながら肺機能を高めていくことが大切。
これからの季節は、「肺」のケアが免疫機能を守ることに繫がります。
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3.今すぐ実践したい「肺機能」を高めるケア方法
では、どのように肺機能を高めていけばよいのでしょうか?日常に取り入れやすい方法をいくつかご紹介します。
① 換気
室内の換気をしっかり行い、新鮮な空気を取り入れるようにしましょう。特に朝の換気は大事です。
② 肺機能を強化する「深呼吸」を意識
ほぼすべての生物は呼吸により酸素を取り入れることで生きています。普段は無意識に行っている呼吸ですが、時には呼吸を意識的に行うことも大切。呼吸に意識を向けて、深く呼吸をするように心がけると、より肺の機能を高めることができます。定期的に、深呼吸をする習慣を身につけるのもおすすめです。
③「涼燥」に気を付ける
「涼燥」は、秋の乾燥の上に冬の寒気が加わることです。秋の後半は、ちょうど空気が冷たくなる時季。乾燥を予防するために潤いを補いながら、身体の冷えに注意を払うことが必要です。うがいやマスクなどの乾燥予防とあわせて、寝起きに白湯を飲むと、冷え予防になります。また、胃腸の働きも良くする効果が期待できるので、ぜひお試しください。
また、次の項でご紹介するおすすめの食材を日頃の献立に取り入れることで、お伝えしてきたケア方法がより効果的に働きます。
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4.薬膳の視点でおすすめする、肺機能を高める食材
<補肺 hohai> 肺の機能を補い活動を助ける ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ アーモンド、百合根、長芋、大根、梨、柿、チーズ、松の実、クワイ、銀杏、リンゴなど |
<辛温解表 shinongehyo> 体を温めて体表からウイルスなどを発散させる ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ 生姜、ネギ、しそ、わさび、シナモンなど |
<潤燥 jyunsou> 秋の邪気である燥邪に対応する、潤いを補う ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ 豚肉、白ゴマ、百合根、梨、牛乳、リンゴ、卵、柿、はちみつ、枸杞など |
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5.国際薬膳師おすすめ!肺機能を高めるオススメ薬膳2種
おすすめの食材はわかったけれど、具体的なレシピも知りたい!と思いますよね。
そこで、今回もカフェ&キッチンより、国際薬膳師のシェフおすすめ!「肺機能を高めるオススメ薬膳2種」をご用意しました。今回は、「サワラのとろろ蒸し きのこの餡で 」と「柿を使ったサラダ」の2種類です。
これからの季節、しっかりと肺機能を高めて免疫機能を向上させたい方にぴったりのレシピです!珍しい食材も難しい手順も不要で、ご自宅で手軽にオススメの食材を使った薬膳が作れますので、ぜひご覧ください。
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国際薬膳師おすすめ!
肺機能を高めるオススメ薬膳2種 は こちら>>>
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<イベント情報>
10月31日(土)から始まる、自然の薬箱「10周年感謝祭&アロマウィーク」では、薬膳イベントを2つご用意しています。
国際薬膳師の淺井秀信が講師を務める「オンライン薬膳入門講座〜秋の養生編〜」、そして「秋の養生」のための薬膳ディナーを楽しみながら、愛知が誇る瀬戸物の特長を知る、限定6名の「瀬戸物のお話しとフレンチ仕立ての薬膳ディナー」です。
秋の養生について詳しく知りたい方、手軽にご自宅で薬膳を作りたい方にピッタリのイベントです。それぞれ、11月3日(火・祝)が申込期限となっていますので、一度ご案内をご覧ください。
※「オンライン薬膳入門講座〜秋の養生編〜」の詳しい内容は、こちら>>>
※「瀬戸物のお話しとフレンチ仕立ての薬膳ディナー」の詳しい内容は、こちら>>>
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今回は、薬膳の視点から見た肺機能と免疫機能の向上についてご紹介しました。
漢方・薬膳・鍼灸の考えは、中医学という中国伝統医学を源流として長い年月をかけて発展してきたものです。人の免疫機能を高め、病になる前に対処していくという考え方がベースであり、ウィズコロナ時代の今だからこそ取り入れたいケア方法を多く提案しています。
自然の薬箱2F「Cafe&Kitchen」でも、薬膳の観点で、肺機能を高めることに適した食材や、正気や肺の働きを補う食材をお選びして心を込めてお料理をお作りしています。
美味しい季節を迎えた旬のお野菜や食材をシェフが美味しく仕上げた彩り豊かなお料理の数々は、心にも体にもパワーをくれますよ!
毎週メインディッシュが変わるランチメニューも大好評!店内のお席の間隔を確保して席数を限定するなど、感染予防対策に努めていますので、ぜひご予約のうえご利用ください。こちらも一度ご覧ください!
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次回の「Naturalist Web Magazine_Vol.28」では、
「睡眠について考えてみよう!~身体や脳との関係~」をお届けします。
健康で充実した毎日を過ごしたいなら、良い睡眠をとることは、必要不可欠なものです。でも、そもそもなぜ睡眠をとるの?睡眠と身体や脳の関わりは?質のよい睡眠とは?良い眠りにつくには?など、私たちが毎日とる睡眠についてお届けします。
さらに、睡眠の質を高めるアロマテラピーもご紹介。この機会に、健康を維持するための睡眠について考えてみましょう。
※ 次回予告内容は、変更になる場合がございますので、あらかじめご了承ください。
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過去の<Naturalist Web Magazine>バックナンバー
Vol.25_「秋の憂い」を感じたときにおすすめ!「気」を整える漢方
Vol.24_「 秋は憂い(うれい)の季節 」東洋医学的ストレス解消のヒント!
Vol.20_9月9日は重陽の節句!菊の伝統文化のたしなみと漢方薬のお話
Vol.19_季節の変わり目に知っておきたい!自律神経と目の関係って?
Vol.18_ブルーの精油『ジャーマンカモミール』の涼し気なアロマソープを手作りしよう!
Vol.17_残暑を乗り切るために!脾胃(ひい)を整えるための薬膳のススメ
Vol.16_ステイフォーム中にチャレンジ!コロナ太りを解消するには?
Vol.14_鍼灸師おすすめ!夏のマスク不調の解消&予防法!
Vol.8_ 手指消毒の手荒れが気になる今!ハンドケアアイテムを手作りしよう!
Vol.6_長期戦に備えよう!慢性疾患のある方も必見!身体を整えるための漢方薬
Vol.5_巣ごもり不調を改善!〜セルフお灸のススメ<応用編>~
Vol.4_お灸で免疫機能アップ!~セルフお灸のススメ<基本編>~
Vol.3_ストレスに負けない!心と身体を作る小さなアイデア
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