寒い冬を乗り切ろう!腎を補う薬膳のすすめ

あっという間に、12月がやってきましたね。今年は春先から世の中が一変したせいで、大きな変化に振り回されているうちに年末がやってきた、という感じが否めません。来年は、穏やかに過ごせることを祈ります。

毎週火曜日にお届けしております、自然の薬箱の「Naturalist Web Magazine」。

皆様が穏やかな日常を取り戻せるその日まで、健やかに過ごせるお手伝いが出来ればという思いを込めて、Vol.32をお届けいたします。

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師走を迎え何かと忙しくなる12月。更に本格的な冬の到来を迎え、寒さもどんどん厳しくなってきますね。寒さが厳しくなると、五臓の中でも「腎」がダメージを受けやすいと言われています。冬は腎の養生が大切だということは、「NWM_Vol.30~冬の養生法と症状別おすすめ漢方薬~」でもお伝えしました。

今回は、改めて「腎」の役割を振り返りながら、腎が弱っている時に出やすい症状や、腎の養生におすすめの食材を、自然の薬箱のカフェ&キッチン・ホールチーフ 福島優太よりご紹介します。もちろん、国際薬膳師監修の冬におすすめのカンタン薬膳レシピもお伝えします。これからの寒い冬も、腎をしっかりと養生できる薬膳をご自宅でもお楽しみください。

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<目次>

1.冬の邪気「寒邪」と「腎」

2.東洋医学における腎とは?

3.腎の機能を補うために知っておきたい「陰陽」と「気」

4.腎の養生におすすめの食材とは?

5.国際薬膳師監修!冬の養生におすすめの薬膳レシピ2種


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1.冬の邪気「寒邪」と「腎」

東洋医学では、春は「風邪(ふうじゃ)」夏は「暑邪(しょじゃ)」梅雨は「湿邪(しつじゃ)」秋は「燥邪(そうじゃ)」冬は「寒邪(かんじゃ)」と、季節ごとに影響を受けやすい「邪気」があると考えます。「邪気(じゃき)」は、体の外の環境から影響を受ける疾病の発病因子です。

冬は寒さで身体が冷えきってしまいがちで「寒邪」に侵されやすい季節です。寒さの影響を受けやすく、冬が苦手な「腎」が影響を受けやすいとされています。

では、「腎」がダメージを受けるとどのような症状が現れるのでしょうか?「腎」の役割をご紹介しながら、あてはまる症状がないか確認していきましょう。


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2.東洋医学における腎とは?

東洋医学における「腎」は成長・生殖の働きも含んだ、生命の素となるエネルギーの源と考えられています。つまり、臓器としての腎臓だけでなく、泌尿器・生殖器・内分泌系の機能や、生まれたときから人が大切にもっている「気」を蓄えている性質なども含めて、「腎」として捉えます。木で例えるならば、一番大事な根っこの部分といえるでしょう。

根っこのような役割をしている腎が弱ると、下記のような症状が出やすいとされています。

・足や腰がだるい、冷える

・排尿障害がある(頻尿、夜間頻尿、失禁、キレが悪いなど)

・白髪が増えてきた

・耳鳴りや難聴がある

・性欲が衰えてきた

・月経周期が一定しない

・妊娠しにくい

思い当たる症状がある方は、腎の生理機能が正常に働いていない可能性があります。また、これらの症状が寒邪によって冬に悪化する恐れも。予防や改善のためには、腎の機能を補うことが大切です。

では、腎の機能を補う(=「補腎」)には、どのようにしたらよいのでしょうか?まずは「補腎」とかかわりが深い「陰陽」と「気」についてお話しましょう。


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3.腎の機能を補うために知っておきたい「陰陽」と「気」

「陰陽」とは、全てのものは表と裏があるように、陰と陽が存在しているという考え方で、下の様のように分けられています。

地、水、夜、暗、女性、内面、下、寒、重、抑制、虚、小
天、火、昼、明、男性、表面、上、熱、軽、興奮、実、大

陰と陽の関係は、今でもよく使われる表現なので、イメージしやすい方も多いのではないでしょうか?陽気な人は明るく、引っ張ってくれるような人。逆に、陰ながら支えてくれるような人も大切ですよね。

東洋医学では、陰と陽はどちらも大切なものであり、バランスを崩すと不調になりやすいといわれています。興奮や抑制などの意味も含んでいるので、西洋医学に例えれば「自律神経(交感神経と副交感神経)に似ているといえるでしょう。

腎にも陽と陰があり、腎陽、腎陰と呼ばれます。簡単にいえば、腎陽は体の熱源、腎陰は体の水分(潤す・冷ます働きをもつ)にあたります。

冬の邪気である寒邪が腎に及ぶと、腎陽が侵され、体の熱源が弱まり、冷えだけでなく、腎陽によってコントロールされている腎陰の水分代謝も弱まり、身体に水がたまり、更に冷える原因になったり、排尿異常や腰痛など様々な体の滞りや不調が起こります。

したがって、腎陽を整えておくことが寒邪に負けず冬を乗り切るポイントの一つといえます。また、冬の乾燥や厳しい気候は、腎陰にも影響します。腎陰が弱ると体の潤いがなくなり、乾燥やほてり、老化現象が進むことになります。

前述したとおり、腎は、生まれたときから人が大切にもっている「気」を蓄えています。この気のエネルギーを「先天の気」といいます。この「先天の気」から、腎陽も腎陰も生み出されます。そして、この「先天の気」は親から受け継いだもので、増やすことはできません。

でもご安心を!この「先天の気」を補っているのが「後天の気」といわれる気のエネルギーです。「後天の気」は生まれた後に自ら摂取・生成する気で、主に食物から取ることができます。「後天の気」を高めるために、具体的な食材のはたらきを知って、積極的に日々の献立に活用し、養生ができる点で、薬膳はとても役立つものだということがわかりますね。


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4.腎の養生におすすめの食材とは?

冬に弱りがちな「腎」を養生させるには、身体を冷やさないように心がける、温かい食事をとるとともに、「腎」を補う黒い食べ物を積極的に食べるのがおすすめです。

冬は腎に陰と陽の気を蔵することが何より大事。食物には、気の量が少ないときに役立つものだけではなく、腎の働きを強くするもの、陽の働きを助けるもの、陰の働きを助けるものなどがあります。そこで今回は、冬の養生に欠かせない3つの作用が期待できる食材をピックアップしました。

ご自宅でのお食事はもちろん、外食でもこれらの食材の分類を参考にしながらメニューを選べば、日々の食事で「腎」の養生ができますよ。

<補腎 hojin>
冬の寒さが原因で機能が低下する腎を補います
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栗、マッシュルーム、黒豆、昆布、黒きくらげ、牡蠣、すっぽん、鮑 など
<助陽 joyou>
体を根本から温める力を補います。また、生命力を高めます
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羊、くるみ、エビ、鹿、ナマコ、ニラ、クローブ、シナモン、よもぎ など
<滋陰 jiin>
秋に引きつづき乾燥する季節。冷え対策と併せて潤い対策も必要です
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黒ゴマ、百合根、牛乳、卵、豚肉、松の実、ホタテ、枸杞子 など

 


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5.国際薬膳師おすすめ!冬の養生&補腎のための薬膳レシピ2種

おすすめの食材はわかったけれど、具体的なレシピも知りたい!と思いますよね。

そこで、今回もカフェ&キッチンより、国際薬膳師のシェフおすすめ!「冬の養生&補腎のための薬膳レシピ」をご用意しました。今回は「黒豆炊き込みご飯」と、昨年の冬にカフェ&キッチンのメニューでお出しして大変好評だった「黒ゴマベースの薬膳鍋」の2種類です。

これからの季節、冬の養生&補腎におすすめの黒豆や黒ゴマをたっぷり使ったレシピです。珍しい食材も難しい手順も不要で、ご自宅で手軽におすすめの食材を使った薬膳が作れますので、ぜひご覧ください。

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国際薬膳師おすすめ!

冬の養生&補腎のための薬膳レシピ2種は こちら>>>

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今回は、冬にダメージを受けやすい腎の養生についてお伝えしてきました。

寒さがだんだん厳しくなると、どうしても体調を崩しがちです。でも、しっかりと対策をしておけば、体調不良に悩まされることがなくなります。日々の寒さ対策はもちろん、食を通じて「腎」を養生しながら、あわただしく忙しい12月を乗り切りましょう!

自然の薬箱2F「Cafe&Kitchen」でも、薬膳の観点で、冬の養生に適した食材や、腎の働きを補う食材をお選びして心を込めてお料理をお作りしています。

美味しい季節を迎えた旬のお野菜や食材を、シェフが美味しく仕上げた彩り豊かなお料理の数々は、心にも体にもパワーをくれますよ!

毎週メインディッシュが変わるランチメニューも大好評!店内のお席の間隔を確保して席数を限定するなど、感染予防対策に努めていますので、ぜひご予約のうえご利用ください。こちらも一度ご覧ください!

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<次回「Naturalist Web Magazine」のお知らせ>

~12月8日(火)配信予定 ~

次回の「Naturalist Web Magazine_Vol.33」では、

「冬ごもりのナチュラルライフ」をお届けします。

最近、新型コロナの感染者数が再び増えてきましたが、新しいライフスタイルに慣れてきたとはいえ、感染予防に気をつかい、ストレスとなっていませんか? 

あれこれ考えすぎず、自然にゆったりと感じる時間を持って、冬支度をかねたモノづくりで「ストレスケア」はいかがですか。手に入りやすい素材だけで、ご自宅でも簡単にできるキャンドル・リース・アロマクリームなどの作り方をご紹介します。

※ 次回予告内容は、変更になる場合がございますので、あらかじめご了承ください。

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~「Naturalist Web Magazine」は、毎週火曜日の配信予定~

今後も、自然の薬箱ならではの様々な情報を予定しています。どうぞお楽しみに。

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過去の<Naturalist Web Magazine>バックナンバー

Vol.31_呼吸の科学 ~鼻呼吸のメリット~

Vol.30_漢方薬剤師がお伝えします!~冬の養生法と症状別おすすめ漢方薬~

Vol.29_頑張りすぎて、くいしばっていませんか?

Vol.28_睡眠について考えてみよう!~身体や脳との関係~

Vol.27_薬膳で肺機能を高めて、免疫機能をアップ!

Vol.26_知ってほしい!骨とヨガの関係

Vol.25_「秋の憂い」を感じたときにおすすめ!「気」を整える漢方

Vol.24_「 秋は憂い(うれい)の季節 」東洋医学的ストレス解消のヒント!

Vol.23_アロマセラピストの本棚から

Vol.22_秋の養生 ~「温燥」のための薬膳 ~

Vol.21_まだまだ注意!秋の「脱水症状」

Vol.20_9月9日は重陽の節句!菊の伝統文化のたしなみと漢方薬のお話

Vol.19_季節の変わり目に知っておきたい!自律神経と目の関係って?

Vol.18_ブルーの精油『ジャーマンカモミール』の涼し気なアロマソープを手作りしよう!

Vol.17_残暑を乗り切るために!脾胃(ひい)を整えるための薬膳のススメ

Vol.16_ステイフォーム中にチャレンジ!コロナ太りを解消するには?

Vol.15_夏バテしている場合じゃない!夏に役立つ漢方薬

Vol.14_鍼灸師おすすめ!夏のマスク不調の解消&予防法!

Vol.13_健やかで美しい暮らしのためのあれこれ

Vol.12_薬膳で暑気払い!酷暑を乗り切ろう!

Vol.11_知っておきたい!東洋医学の知恵と夏の過ごし方

Vol.10_お顔と頭のツボでリフレッシュ!

Vol.9_今だから知っておきたい!運動と免疫の関係って?

Vol.8_ 手指消毒の手荒れが気になる今!ハンドケアアイテムを手作りしよう!

Vol.7_むくみを解消!内湿を取るための薬膳

Vol.6_長期戦に備えよう!慢性疾患のある方も必見!身体を整えるための漢方薬

Vol.5_巣ごもり不調を改善!〜セルフお灸のススメ<応用編>~

Vol.4_お灸で免疫機能アップ!~セルフお灸のススメ<基本編>~

Vol.3_ストレスに負けない!心と身体を作る小さなアイデア 

Vol.2_腸活で<免疫機能>をキープ&アップ! 

Vol.1_知っておきたい!肺炎と免疫機能のこと 

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